公爵家の娘に転生しました~スキルを駆使して無双したい~

ゆゆ

魔法の世界に転生したそうです

「ここ…は…」


目を覚ますと一番最初に入ったのは見慣れない天井…それと金髪のお姉さんだった。


「ーーーーーーーーーーーーーー!」


金髪のお姉さんは私に対して何かしゃべっているようだけど


何を言ってるのかわからない。


外人さんなのかな?


英語は少し習ったことがあるけどどれも聞いたことがない言葉。


「せめて言葉が分かればなぁ…」


≪スキル:翻訳を自動習得しますか?≫


言葉が分かればって口にしたら不思議な女の人の声がいきなり頭に響いてきた……。


というかえ?スキル?


スキルって言うとあのゲームとかラノベとかでよく聞くやつかな……?多分……?


炎が出たりする…。あれは魔法だっけ?…まぁいいか。それはどっちでも。


翻訳…ってことは言葉が日本語に変換されるってことかな…?


「取得します!」


《スキル;翻訳を取得しました。》


「ーーーーー!!ーーーーーーーーーーー???」


「だめだ…。わからない…」


『翻訳』のスキルとやらを取得してもお姉さんの言葉はまったく分からなかった。


ゲーム的に考えると私の経験…つまりレベルが低く、このお姉さんが相当の手練れで


レベル差があるからスキルが通用していないのかな……。


あるいはスキルを使うにはなにかトリガーが必要なのかな?


「例えば…『翻訳』発動!…とか?」


《スキル:翻訳をセットします。以後は常時発動になります。》


適当に言ってみたら当たっちゃった。


「大丈夫ですかお嬢様!?どこも痛いところはございませんか!?」


翻訳スキルが発動したことによって金髪のお姉さんの言っていることが分かるようになった。


というかお嬢…様?


誰が?…私が?


嘘でしょ…?


そんなこと誰にも言われたことないんだけど…。


家も大金持ちとは程遠い一般家庭だし。


「…人違いでは?」


そう否定してみたけど金髪のお姉さんは頭を傾げる。


「?何を仰ってるんですか?どこからどう見てもあなたはうちのお嬢様です!まさか頭を打って…お医者様を呼ばないと!」


「わー!待って待って!」


そんなことで医者なんて呼ばれたら完全に頭がおかしくなったみたいでいやだ!


どうにか引き止めないと……


「お医者さんは忙しいだろうから…ほら私はこの通り元気!」


マッチョな人がよくやってるマッスルのポーズをして元気さをアピールしてみる。


昔見たアニメでもこんなシーンあったし…


こうすれば元気なことが伝わるはず…!


≪称号:頭のやばい人を取得しました≫


おいこら誰が頭のヤバいやつだ。


だけど頭の中のアナウンスに突っ込んでる場合じゃない!


とりあえずこの人を誤魔化さないと……。


「お嬢様…なんです?その頭悪そうなポーズは…やっぱりお医者様呼んできますね?


待っててください!」


私のマッスルポーズを軽くスルーして金髪のお姉さんは出て行ってしまった。


なん…だと…?このマッスル元気ですポーズが効かない…だと?


くっ…こいつが効かない以上、私に出来ることはない。


あきらめよう。


≪称号:『メイドに屈服した主』を取得しました≫


え?なにその屈辱的な称号…。


貰っても全然うれしくないんだけど?


まぁこの先必要ないだろうしこの称号は心の中にしまっておこう。


うん。そうしよう。


「……ところでさっきは状況が状況だったからスルーしてたんだけど、このアナウンスさんはなんなんだろう?


スキル取得の時に出る感じなのかな?」


《私はマスターのスキルである叡知の王です。以後お見知りおきください。


叡知の王……?賢そうな名前だなぁ……。


…って


「会話できるの!?」


《はい。私は高位のスキルなので持ち主との会話が可能です。》



「へぇ…他には何ができるの?」


《私はマスターの望むスキルを取得したり


マスターの代わりに情報を調べたり整理したりすることができます。》


「なるほど……」


なにか制約があったとしても十分すごいスキルだ……。


試しになにかスキルを……と思ったところで廊下からドタドタと音がした。


あの金髪のお姉さん、ほんとにお医者さんを呼びに行っていたらしい。


詳しく聞くのは後にしよう。


「お嬢様ー!お医者様を連れてきましたよ!」


メイドさんはゾロゾロと白衣の男の人を連れて帰ってきた。


なんでこんなに必要なのかは分かんないけど。


それにしても早くない?


もしかして医師団の部屋が近くにあったりするの?


(とりあえず体調が悪いフリをしておこ)


私はとりあえず急いで布団に入って寝たふりをする。


なんとかこれで帰ってくれるまでやりすごせればいいんだけど。


「ああ……お布団をこんなに深くお被りになられて……よっぽど症状がキツイんですね……


お医者様…お嬢様は大丈夫でしょうか…?」


「昨日倒れてから何かありましたか?」


「…そう言えばなにかに魘されていました。『テストが…』とか『勉強はいやだ…』とか」


「…テストというと魔法学校入学試験のことですかね?」


え?魔法学校の入学試験?


なにそれ初耳なんだけど…。


まぁさっき目を覚ましたばっかりだから当たり前だけど……。


ちなみに私が嫌だって言ってたのは数学のテストのこと。


あのわけが分からない文字列なんて勉強したくないって思ってたら


気づいたらここで寝ていた。


記憶が混乱してて情報があんまり入ってこないからなぁ…。


落ち着いたら頭の中を整理してみよう。


「もしかしたら受験のプレッシャーに潰されそうなのかもしれませんね」


「昨日倒れたのもそういうことなのでしょうか…」


「まぁ本人にリラックスするのが一番だとお伝えください。


あと狸寝入りもほどほどに…とね」


そう言って医者は部屋を出て行ってしまった。


「狸…?まぁいっか。あ、旦那様からお使い頼まれてるんだった!


お嬢様への伝言はあとにしよっと!」


そう言ってメイドさんも駆け足で部屋を出て行ってしまった。


メイドさんが出て行ったあと私は布団から出て扉の方を見る。


さっきの医者は何者なんだろう…。


顔は見えなかったけど私が寝たふりをしていることに気が付いていたみたい。


あの角度じゃ私の顔も見えないはずなのに…


明らかに普通の医者じゃない…。


しかも狸寝入りって言ったよね?今?


うーん……。何者なんだ……。


「まぁそれは一旦置いといて……」


次に人が来る前に…


まずは整理しよう。


私は知らない間に別の人間に成り代わっていた。


少なくとも元の体ではないから転移では無い……。


憑依…でもないと思う。


目覚めた時に困惑はしたけど、人の体に入ったみたいな違和感は無かった。


まるで最初から私のために用意された体みたいな…。


ってまぁそれはいいけど。


ただ言えるのはここが明らかに日本じゃないってこと。


魔法とかスキルとかの単語が出てきた時点で薄々気づいてはいたけど。


ほんとに魔法の世界に来たんだ…。


来た…というよりは前世の記憶を思い出したって言った方が近いのかな?


まだ記憶が曖昧なところが多いんだけど。


とにかくこれからのことを考えよう。


「ねえ。叡知の王さん。」


《はい。》


「さっきメイドさんたちが言ってた試験ってなに?」


《この国の王都にある魔法の学校への入学試験のことだと思われます。


この国のエリートが集まる学校です。》


「私は魔法使えるの?まだ目覚めたときより前の記憶が曖昧で…」




《はい。スキル:魔導の真髄を取得すれば


あればありとあらゆる魔法を使うことが出来ます。


魔法の取得と鍛錬は必要ですが。》


「ありとあらゆる……うん!取得しようかな?」


《スキル:魔導の真髄を取得しました。》


これで魔法が使えるようになったわけなんだよね


「よし!今から特訓だ!」


そう意気込んだ刹那、ガチャりと扉が開いた。


「アリスゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」


開くと同時にそんな叫び声と共に何かが私目掛けて突っ込んできた!


避けきれなっ……!


グフゥッ!!!!!!!!!


私に100のダメージがッ!


≪スキル:激突耐性を獲得しました≫


うん…ありがとう…?いや…スキルどころじゃ…いたい…。


つっこんできた何かは私の腹から頭をどけると屈託のない笑顔をこちらに向ける。


それはまだあどけなさが残る12,3ほどの年齢の少女だった。


「アリス!今日は何して遊ぶのかしら!シェリル、模擬戦がいいわ!」


そう言って剣(多分木で作った模造品)をぶんぶん振り回している。


まだ記憶を整理できてないんだけど


状況から察するに……


アリスっていうのはここでの私の名前かな…。


シェリルというのがこの子の名前みたい。


容姿に反して活発的で奔放そうなお嬢様だ…


というかいきなり部屋に来て模擬戦申し込んでくるお嬢様とか今まで聞いたことないんですけど?


いったいいままでの私というかアリスはどういう遊びをしていたのだろうか。


というかどこでどうなったらこんな戦闘狂なお嬢様の友達が出来るんだろう。


とにかく遊ぶならもっと大人しいことを……。


例えばお茶会とかね。私はやったことないけど。


「今日はお部屋で遊びませんか?私、ちょうどティータイムにするところでしたので」


そういうとシェリルは不服そうな顔をしてたけどすぐに納得した顔になった。


「むー…。模擬戦はまた今度ですわね!魔法学校入学試験の時に…ね!」


どうやら危機は回避…というより延期に出来たらしい。


というか魔法学校入学試験で肉弾戦する気なの…この子…


絶対試験の意味わかってないよね。


私も分かってないけど。


こうして私はシェリルとの模擬戦を回避してお茶会を楽しんだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シェリルが帰った後…。


「さて…一人になったところでとりあえず記憶を整理しようかな。


叡智の王さん、私が目覚める前の記憶って整理できる?」


《既に完了しています。混乱を避けるために戻すのは控えていましたが》


「…早いね。」


《まぁ私、何でもできるので。マスターのおねしょの回数も分かりますよ?えっと…》


「公表しなくていいから。」


危ない危ない…変な情報が外に漏れるところだった。


まぁ部屋に私しかいないけど。


《冗談は置いておいて。記憶を更新しますか?》


「うん。お願い。」


とりあえず叡智の王さんの力で今までの記憶を思い出した。


思い出したくない記憶もあったけど…まぁそれは置いておこう。


思い出したことは色々あるけど一番重要なのは試験のことだ。


一年後に迫っている試験の勉強が嫌で逃げ出した直後に滑って頭打って気絶したんだ私…。


それで前世の記憶を思い出した…って感じかな。


でもとりあえず魔導の真髄のおかげで試験の心配はなくなったかな。


特訓は必要だけど。


それに前世を思い出したことによって前世の知識も手に入れたからね。


化学兵器とかも作れるようになったわけだ。


「ねぇチエちゃん。」


《?チエちゃん…とは私のことですか?》


「うん。叡智の王さんさんじゃ呼びにくかったから…ダメかな?」


《いえ。呼び方にこだわりはないのでマスターのお好きなように呼んでください。》


「ありがとう。じゃあ改めてチエちゃん。」


《はい。なんでしょうか?》


「この世界で戦車とか作れたりする?」


《はい。クリエイトというスキルを取得すれば作れます。取得しますか?》


「うん。お願い。」


《スキル:クリエイトを取得しました。》


「よしこれでオッケーかな。」


《これからどうするのですか?特訓ですか?》


「うん。これから試験まで山籠もりするよ」


チエちゃんがいるとはいえ油断は出来ない。


強さで言えば私は弱い方だし。


特訓は必要だと思う。


あとはクリエイトの研究もしたいからね。


「とりあえずお父さんのとこに行こっかな。」


私は決めたことを伝えるために父の下へと向かうのだった。


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