パーティの後で

前回までのあらすじ!


王子様に会ったよ!


重いお話を聞いたよ!


なななんと!クラスメイトが召喚されてきたよ!


以上!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁ…」


家に帰ってきて、すぐさまベッドに飛び込んだ。


まさか月原さんたちがこっちの世界に来てるだなんて。


シェリルも疲れてたし…


別に月原さんと目が合うのが怖いから逃げてきたわけじゃない。


あんまりあの王城にいたくなかったって言うのも本音だけど。


「でもまぁ…万が一ってこともあったし…」


レベルの高い鑑定を特典で貰ってるやつがいたらもしかして…


ってこともあるかもしれないから。


この選択でよかったんだと思う。多分…わかんないけど。


「さて。魔法学校入学試験の勉強…って言ってもなにするかわかんないけど」


そう言えばリリンさんが言ってたなぁ…。


『魔法学校入学試験は筆記と実技の試験がある』


って。


筆記はよく分かんないけど実技はなんとかなりそう。


シェリルが『魔法学校入学試験で戦いましょう』って


行ってたから多分対人戦になるのか…。


いやもしかしたらシェリルが言ってるだけでそんな制度はないのかもしれないけど。


「でも対人戦で有用なスキルを取得した方がいいかな…。」


生徒同士の対戦がないにしても先生と戦う…ってこともあるかもしれない。


とりあえず剣技のスキルが欲しいところだけど…


どうやったら手に入るのかな…?


風魔法のスキルはポーズを取って集中すれば取れたけど…


取り合えずなんとか頑張ってみよう。


「こうすればいいかな?」


リリンさんから借りた棒武器を構えてみる。


いつ私が襲われても対処できるように常備しているものらしい。


少しだけ借りるといって借りてきた。


棒武器を持って集中する。


精神を…統一して…


《スキル:棒術を取得しました》


ビンゴだ。


やっぱり武器をうまく扱うためのスキルが手に入った。


これは剣にも適応されるのかな?


剣を持てば剣術にクラスアップしたりするのかな?


それはおいおい確かめよう。


「この棒武器は後でリリンさんに返しに行くとして…


これも試してみようかな。」


私は一冊の本を取り出す。


前に風魔法の魔導書に載っていた魔法を全て習得したから


パーティに行く前に父親に報告して実際に見せたら


うちに代々伝わる水魔法の魔導書を貸してくれた。


正確には私が使ってるのは魔法と全く同じ効果のスキルだけど。


まぁ出しているのは魔法に変わりはないし問題ないでしょ。


とにかくやってみよう。


えっと…水の魔法を使うには…


「こうして…こう!」


魔導書に記載されていた風の時とは違うポーズを取ってみる。


シーーーーーーーーーーーーーーーーン。


「ありゃ?」


いつもみたいなスキル取得演出が来ない…。


このやり方じゃ魔法は使えないってこと?


はぁ…まじか…


家の秘伝の魔導書だから特別なやり方じゃないとダメってことなのかな?


「こうして…こう…」


もう一度集中してポーズを取る。


今度は深く…深く…


≪スキル:水初級魔法 ウォーターを取得しました≫


よし。今度は成功した。


「ウォーター」


≪スキル:水初級魔法 ウォーターを発動します。≫


発動と同時に勢いよく水の球が発射される。


壁は壊れなくて良かったけど床も壁もべちゃべちゃだ。


威力もコントロールもまだまだ鍛えないとダメか…。


それに少し体力が減った感じがするから多分無尽蔵に使えるわけではないようだ。


「つまり体力も付ける必要があるってことね…」


明日から走り込みも始めよう。


あとは…リリンさんに剣の指南でも頼もうかな?


リリンさんは私の護衛も兼ねてるって確か言ってたはずだし。


あとは…他の魔導書かなぁ。


でも魔導書ってどんくらいの価値なんだろう?


高価で希少だったら見つけるの大変そうだし…


見つかったとしても高過ぎて買えないかもしれない。


今更だけどこの世界の魔法は







の五つに大まかなカテゴライズがされていて


そこから細かい分類に分けられる。


ちなみに得意な魔法は家系ごとに違うらしい。


たとえばうちだったら水系の魔法。


シェリルの家だったら確か…雷の魔法だったはず。


かと言ってその系統の魔法しか使えないわけではない。


現にうちにも水以外の魔導書があったわけだし。


全ては本人の努力次第…ってことかな。


「雷の魔導書はシェリルに借りるとして…」


後は使えそうなスキルだけど…。


軽量化はどうだろう。


武器を軽く出来るのは確認してるけど…。


武器以外にも…例えば自分を軽くして避けるのを早くしたり出来ないかな?


「軽量化!」


《スキル:軽量化を発動します。》


自分に向けて軽量化を掛けてみるけど特に変わった感じはしない。


「ダメだったかー。」


どうやら人体に掛けても意味はないらしい。


次に行こう。


次は…消滅のスキルかな。


ハンマーの方は下手したら人を殺しかねないし…。


って言っても消滅のスキルも人に向けて撃ったら危ないのはあんまり変わんないけど。


消滅のスキルは魔法を打ち消すためだけに使おう。


ちょっと危なそうだし。


「さてと…後は新しいスキルだけど…」


こういう世界で使ってみたかったものと言えば…転移とかかなぁ。


一瞬で移動出来たらめっちゃ楽そうだよね。


まぁそのためには特訓して強くなろう。


水と風の魔法も使えるようになったし


あとは筆記の対策だけか…。


といっても筆記はどこの範囲が出るかとか分からないんだよなぁ。


ここもリリンさんに聞いてみよう。


…まさか異世界に来てまで勉強する羽目になるなんて…。


この世界で目覚めてはや数ヶ月…。


いろんなことを学んできたけど魔法の基礎とかはやってないからなぁ


「…と部屋を出てきたらもう朝だった。」


パーティから帰ってきて魔法の研究やらスキルの使い方やらを考えてたら


いつの間にか朝になっていたらしい。


とりあえず自分の部屋からリビングに移動してみると


既にリリンさんが起きていて掃除をしているところだった。


「お嬢様。おはようございます。今朝はずいぶんと早起きなんですね。」


「ええ。ちょっと目が覚めてしまいまして。朝食を頂けますか?」


そうお願いするとリリンさんは『畏まりました。』と言ってキッチンへ向かった。


そして数分経ったのちに帰ってきた。


「そうでした。リリンさん。」


「なんでしょうか?お嬢様。」


「私に剣の稽古をつけていただけませんか?」


「剣の?よろしいですがお嬢様は魔法学校に入学されるのですし


魔法の勉強をした方がいいのでは?」


「魔法の勉強も必要ですがもし魔法が使えない状況に陥ったら


剣の腕も重要になってくるでしょう?


そういう時の対策もしておきたいのです。」


魔法が封じられたとしても剣もあれば相手の不意を突けるということだ。


「なるほど。お嬢様がそんなことを言われるとは思いませんでしたが…


わかりました。私の指導は厳しいですが…付いてこれますかね?」


そう言ってリリンさんはニヤリと笑う。


「お手柔らかにお願いします。」


「ではまずはお嬢様の現状の剣の腕を確かめます。


付いてきてください。」


そう言ってリリンさんは移動は移動し始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私もそのあとを付いていくそこは私がいつも魔法の特訓をしている中庭だった。


「この木の剣を使ってください。」


そう言ってリリンさんは二本持ってきていたうちの一本を私に渡す。


どうやらこれで切りかかって来いということらしい。


「行きます。」


「どこからでもどうぞ。」


「はぁぁ!!!」


「っ!これは…」


リリンさんが何かを察知したような顔をするがまたすぐに戻った。


「まだまだ。甘いですね。」


何回も切りかかるが全てをことごとく防がれてしまう。


この人…めちゃくちゃ強い…!


それこそ私なんかとは強さが桁違いだ。


リリンさんには隙という隙が見えない。


「そこです。」


「ぐっ…」


それに一撃一撃がものすごく重い。


まるで本物の刃が付いた鉄の剣を相手にしているようだ。


「…お嬢様の力はよく分かりました。」


「私はどこを直せばいいのですか?」


「あまり直すところはありませんね…。


的確に私の急所を狙ってきてましたし。


なにより筋も良かった。


しかし力が弱いですね。


お嬢様は女の子なので仕方のないことかもしれませんが…」


「力…ですか。」


力かぁ…。


女の子だしムキムキになるのはちょっとなぁ


重さを調整するスキルとか手に入れば変わるのかな?


軽くするスキルは持ってるから重くするスキル…


《スキル:重化を取得しました。》


《軽量化と統合して重量変更を取得しました。》


統合?


対になるスキルを合体させて新たなスキルにするって感じかな?


結構よさそうなスキルだ。


「リリンさん。もう一本お願いします。」


「いいですがあと一本だけですよ?


私も仕事があるので」


「分かりました。じゃあいきます!」


そう言ってさっきと同じく木の剣を振り下ろした。


その攻撃は簡単に防がれる。


「ここです!」


《スキル:重量調整を発動します。》


剣と剣が重なり合ったタイミングで重量調整を発動して剣を重くする。


「っ!剣が…」


よし。このまま押し切って…


「このまま押し切って一本取れる…なんて思っている顔ですね?


お嬢様?」


「っ!」


勝てると思った瞬間。


リリンさんの気配が全く違うものになる。


そして…


私は気づかないうちに仰向けになって空を見上げていた。


「私は今でこそお嬢様のメイドや護衛をしていますが…


かつては剣聖と呼ばれた冒険者。


このくらいでは負けませんよ。


では私は仕事に戻りますね。」


そう言ってリリンさんは屋敷に戻っていった。


をんなリリンさんの言葉を聞いて強くなろうと


私は素振りを始めるのだった。







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