第41話 お店の準備をしよう

 くっきーを抱っこして、みんなで鍛冶屋さんに行こう。型が他にも色々あると良いのだけど、どうだろうなぁ。鍛冶屋さんがとっても楽しみだ!


 ぽてぽてと歩いて鍛冶屋さんに付くと、ここの鍛冶屋さんはキッチン用品を主に作っているみたいで、色々な物が沢山あった。お店の中をきょろきょろしてみていると、焼き型にちょうど良い四角い型を見つけた。

 

 足りない抜き型とかは細かく指定をして、注文させて貰った。天板にくぼみをつけて焼き菓子を焼けるのも注文させて貰った。後は、私の手に合わせた泡だて器を注文した。


 抜き型も説明をしたらすぐにわかってくれたので、出来上がりがとても楽しみだ。




 数日後、鍛冶屋さんに受け取りに行くと、私が注文した通りの抜き型と泡だて器が出来ていて、とても嬉しくなった。まだ次もよろしくお願いします!


 お店に帰って、抜き型を使ってスコーンとクッキーを焼いてみんなでお茶にしよう。


『ふふっ、サラ。この丸いスコーン美味しくて可愛いくまね』


「うん、そうだよね。丸いとなんかコロンと可愛いよね」


『そして美味しいのくま!』


「これもお店で出せるといいなと思ってるんだ~」


「良いと思います! サラ様、これはとても美味しいです!」


 レイナさんも気に入ってくれたので、とても嬉しい。今日はジークさんは王城でお仕事だそうだ。

 大体お店に何を出すか決まって来たので、3日後にお店をオープンさせようかな。


「3日後にお店をオープンさせようと思うんだけど、どうかな?」


『良いと思うくまよ』


「そうですね。良いと思いますよ」


「よし、クッキーとか日持ちのするお菓子を焼いていかないとだね~」


『サラ、多く作っておいてぼくのアイテムボックスに仕舞っておけばいいくまよ』


「あっ、そうだね。時間停止だもんね、お願いします!」


 くっきーのアイテムボックスに仕舞って貰えば、在庫のクッキーとか沢山焼いておけるんだよね。焼き菓子も焼いて仕舞っておいてもらおう。

 後は大きなお鍋にスープも作って、仕舞っておいてもらおう。日本にいる時と違って、くっきーのアイテムボックスがあるから、食材を無駄にすることがないのがとても助かる。

 やっぱり食品ロスが困るからね。安心してお店が出来るよね~。


 色々お菓子を焼いていくけれど、くっきーとレイナさんのキラキラの目に勝てなくて試食をあげちゃうんだよね。私も味見をしちゃうんだけど、太りそうだよね……まぁ7歳だから多少は大丈夫なはず!


 どうしよう……丸いくっきーになったら……ん? それはそれで可愛い? 丸っこいくま……うん、可愛いね!


「サラ、何を考えてるくま?」


 ジトーっとした目で見つめられちゃった。


「え……えへっ?」


「なにくまー!?」


「いやぁ……そんなに試食食べてて太らないかなって、丸いくっきーもちょっとかわいいなって思っちゃっただけだよ?」


 私の言葉にくっきーとレイナさんがガーン!! とショックを受けた顔をしている。


「えっ!? さ、サラさま? 太る?」


「甘いものは食べ過ぎちゃダメですよ~?」


 さらにガーン! とショックな顔をした2人。


「ふふっ、でもレイナさんは騎士さんで動いているから、大丈夫そうですけどね~」


『サラ? ぼく……ぼくは?』


「え~っと、まるっとしてもきっと可愛いよ?」


『くまーっ!?』


「えへっ?」


 だって、あんなに試食ばかりするんだもん。そりゃぽちゃっとしますのよ? でもきっと神獣様だから大丈夫なんだろうけどね。


 あまりにも2人が可愛らしかったので、ちょっと言いたかっただけなんだよ? だって、2人してにこにこして試食してくれるんだもん。一見かっこいい見た目のきりっとしたレイナさんが、くっきーと2人でにこにこおやつを食べてるんだもん。


 そんな話をして、2人がワタワタしていると、ジークさんが慌ててお店に入って来た。


「サラ様! スープを作って貰って良いですか?」


「誰か怪我しましたか?」


「はい!」


「すぐに準備しますね!」


 スープを煮ている間にジークさんに聞いてみると、訓練中に魔法を跳ね返したら、他の訓練中の人達に当たっちゃったんだそうだ。


 そして、それをやったのがロルフ団長だったみたいで……怪我が治って、また訓練が出来るってはしゃいだようです。団長さん、カッコ良かったのにちょっと残念な感じなのでは?

 でも、片足を失っていたわけだから……それだけはしゃいじゃうのも分かる気がするね。


 そういえば、持って行くのはどうするんだろう? ジークさんがお鍋を持って行くの?

 ちょっとそれは止めて欲しい気がするけど……。


「ジークさん、スープ出来ましたけど……どうしましょう?」


『ぼくが持って行くくま?』


「そうですね……くっきー様お願いしても宜しいですか?」


『任せるくまよ!』


 そういうとくっきーは、お鍋とカップをアイテムボックスに仕舞ってくれた。私はくっきーを抱っこすると、ジークさんとレイナさんと一緒に王城へ向かう。

 王城から3軒目なのですぐに王城に着いた。やっぱり近い所にしておいて良かったね。


「サラ様、失礼します」


 王城に着くと、ジークさんに抱き上げられた。確かに私が歩くより速いですよね。

 でもちょっと視点が高くなって、凄いスピードで駆け抜けていくのでちょっと楽しいです!


「団長!」


「ジーク、すまんな! くっきー様、サラ様も申し訳ありません」


「いいえ、気にしないでください。まずはスープを飲んで貰いましょう!」


「ありがとうございます!」


 くっきーにスープとカップを出して貰うと、スープをよそって渡していく。みんなが手伝ってくれて、怪我をした人に飲ませてくれる。


 飲んだ人から身体が一瞬光り、次々に怪我が治っていく。いつ見ても凄い光景だよね。


「「「サラ様、ありがとうございました」」」


「みなさんの怪我が治って良かったです。また何かあれば呼んで下さいね」


 お片付けをしたらまたくっきーを抱っこしてお店に戻ろう。


「みなさん、訓練お疲れ様です。頑張ってくださいね」


 そう言って訓練場を後にしたら、後ろから大歓声が聞こえてびっくりした。

 びっくりしてジークさんを見上げると、気にしないで良いですと言われた。何があったんだろう?


『くふふ、サラの人気が上がっていくくまね~』


「そうですね」


「サラ様ですから」


「えっ!? そんな事はないと思うけど?」


「サラ様。気にせず、お店に戻りましょう」


 き、気にしなくていいの? 本当かな……なんか私だけ分かってない感じなのはなんでかな?


 お店に戻ると、お菓子を作ったりお料理を作ったりしながら過ごした。

 ジークさんとレイナさんがいると、一緒に旅をしていたのもあってやっぱり安心するね。

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