第40話 試作をしよう

 次の日から薬草を採取したり、お店の準備をしたりしながら過ごして数日したら内装が完成した。

 ジークさんとレイナさんと一緒にお店を見に行くと、とっても素敵なお店になっていた。


 カウンターのくっきーの席もとっても可愛く出来ている。ここにくっきーが座ったら、カウンターに立つ私と同じくらいの高さになって、カウンター向こうのお客様とも楽しくお話が出来そうだ。


「ふふっ、ここがくっきーの席だね」


『くふふ、とっても嬉しいくま!』


「サラ様、とっても素敵なお店になりましたね」


「ジークさん、ありがとうございます」


「本当に素敵なお店です! サラ様のスープでみんな元気になって張り切ったから、凄い早さでお店が完成しましたね」


「そうなんですよね。もっとかかると思っていたからびっくりですよ」


「それに、とっても素敵なお店です! サラ様の作るお料理もお菓子も好きなので、とっても楽しみです!」


『ぼくの席があるから、レイナと一緒にも食べられるのくま!』


「ふふっ、それはとっても素敵ですね! 沢山美味しいもの頂きましょうね!」


『もちろんくま!』


 レイナさんとくっきーは相変わらずの仲の良さだね。でもとっても楽しそうで、こっちまでにこにこしちゃうね。


 キッチンを見てみると、オーブンも冷蔵庫や冷凍庫もすでに揃っている。これならすぐにお料理やお菓子を作れそうだ。


「そういえば、ジークさんとレイナさんの、私達の護衛はいつまでなのでしょう?」


「ずっとですが?」


「ずっとですね~」


「えぇぇぇ!? ず、ずっとなんですか!?」


「そうですよ。私はここに入り浸る気満々です!」


「いやいやいや、お店やってたら護衛必要なくないですか!?」


「神獣様と聖女様なので、そこは諦めましょう!」


(ジークさん、言い方っ! 諦めるってなにー!?)


「うぅ……ジークさんとレイナさんに申し訳なさすぎます……」


『ふふっ、ぼくがいるから護衛必要ないと思うけれど、ジークもレイナも好きだからぼくは良いくまよ~』


「それは私もジークさんもレイナさんも好きだけど、お仕事それで良いんですか?」


 近衛騎士団って国王様と守る為にいるのに、私の護衛なんてさせて良いんだろうか……他のお仕事も出来るように王城から近い所なのだろうけれど……。

 ジークさんが言うくらいだから、きっと諦めるしかないんだろうな……。それに、2人がいてくれるととっても心強いし、とっても安心するんだよね。


「もちろんです。くっきー様とサラ様をお守り致します」


「私もお2人をお守り致します!」


「ジークさんもレイナさんも、本当にありがとうございます。今までもとっても頼りにしていたので、いてくれると心強いです。これからもよろしくお願いします」


『ふふっ、よかったくまね。ジークもレイナも一緒にサラの美味しい物沢山食べるくまよー』


「ふふっ、楽しみにしてます!」


「それは楽しみですね」


 レイナさんもジークさんも楽しみにしてくれているので、がんばって色々作っちゃうぞー!


 今日からはお店が出来たので、宿じゃなくてここに住める事になってちょっと嬉しい。居場所が出来たってすごく嬉しいね。

 クローゼットも作ってくれているので、くっきーのアイテムボックスに仕舞ってあるお洋服も仕舞えて、自分で何があるのかが分かるようになった。

 それでもきっと、くっきーがこれ着て! って言うと思うけどね。


 この後は、まずはキッチンの整理をしてから何か作ってみようかな。調味料とか調理器具を出して貰い整理をしながら、何を作ろうか考えてみる。


 まだ焼き菓子を作りたくても、型がないんだよね。パンを焼くのに使う丸い型があるから、パウンドケーキを焼こうかな。


 後はクッキーも紅茶味とかレモンの味とか色々作ってみようかな。どんな形にするか悩ましいね。今度鍛冶屋さんに連れて行って貰って、型を作って貰おう。


 まずは、オーブンを予熱してから、パウンドケーキの材料を出して、生地を作ったらパンの型に流して焼いて行こう。ここのオーブンは魔道具だから、温度を設定できるんだよね。

 おかげで日本にいた時と同じように、簡単に作る事が出来てとっても助かる。しかも魔道具のオーブンだから、熱ムラがほとんどなくてとっても使い勝手が良いらしい。


 パウンドケーキが焼けたら、今度はクッキーを焼こう。やっぱりフライパンで焼くよりもきれいに焼けるよね。


『サラ、良い香りがするくま~』


「ふふっ、パウンドケーキを焼いているんだよ」


 レモンのシロップを掛けて、良い香りのパウンドケーキが出来た! まだほんのり温かいけれど、クッキーを焼いている間に紅茶を入れて、少しお茶にしようかな。


「少し休憩にしましょう」


「サラ様、これは何ですか?」


「これはパウンドケーキって言うお菓子です。本当は明日とかの方がもっとしっとりするとは思うんですけど、味見です!」


「それはステキなお仕事ですね、くっきー様!」


『くふふ、そうくまね! レイナ良い事言うくまね!』


「ふふっ、でもこの後クッキーも焼けるんだよ~?」


「もちろん頂きます!」


『もちろん食べるくまー!』


「ははっ、くっきー様とレイナは本当に仲が良いですね」


「ふふっ、本当ですよね~。でもおかげで和んじゃいますね」


「そうですね、サラ様は浄化で大変だったので、良い事だと思いますよ」


「ありがとうございます。また必要な時はいつでも言ってくださいね」


「ありがとうございます」


 4人でのんびりお茶をすると、ここの紅茶もとっても美味しい! パウンドケーキにもクッキーにも合っていて、この紅茶の葉はお店でも出せるね。


 オーブンで焼いたクッキーもとっても美味しく出来た。これもお店で出せそうだね。


「ここのオーブンは凄いね。温度が一定だから、とっても綺麗に焼けるんだよ!」


『ふふっ、サラが嬉しそうでぼくも嬉しいくま』


「お料理にもオーブンは使えるから、これから色々作るからね!」


『やったくまー! 楽しみにしてるくま!』


 オーブンがあれば、グラタンやキッシュ、ハンバーグもジューシーに作れるね。くっきーのアイテムボックスに大量のお肉が入っているから、ローストビーフっぽくも作れるなぁ……。


(やばい、お料理考えるの楽しすぎる!)


 キッチンのコンロとかオーブンとか幸せ過ぎて、お料理とかお菓子を考えるのが楽しすぎるよー!

 今日のお昼は試作も兼ねてスコーンを作ろう。スコーンは材料が冷えていれば結構すぐに作れるんだよね。バターと小麦粉をざくざくと合わせて牛乳を入れて生地を作って切り分けたら、牛乳を生地の上に塗ってオーブンで焼いたら完成!


 後は、蜂蜜とジャムを出して、生クリームを泡立てて付けて食べよう。


『サラ、これは何くま?』


「これはスコーンって言うんだよ。ジャムやクリームを付けて食べるんだ~」


「美味しそうですね!」


「試作を兼ねて作っちゃいました。パンとかもくっきーのアイテムボックスにあると思うので、足りなかったら食べて下さいね」


「ありがとうございます」


 スコーンも問題なく焼けたので嬉しい。スコーンを作るのに、丸い抜き型が欲しいなぁ。色々作って欲しい物があるなぁ。


 午後は、鍛冶屋さんに連れて行って貰おうかな。型が色々あると作れるものの幅も広がっていくもんね。抜き型は大きさの違う丸がいくつかあればそれでなんとかなるだろう。焼き型が問題だよね……四角があればパウンドケーキもケーキも切り分けやすいかな。


 後は、マドレーヌとかフィナンシェを焼く型をどうしようかな。小さい四角い型をいくつか作って貰ってもいいかもしれないね。


 作っていてそのうち他の型も作って貰えば良いかな。


「お昼を食べたら、鍛冶屋さんに行きたいのですが、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ、行きましょう。でも、何が必要なのですか?」


「お菓子の型がいくつかとりあえず欲しくって……」


「それは重要ですね、くっきー様!」


『そうくまね!』


「では、食べたら行きましょうか」


「はいっ、よろしくお願いします!」


 くっきーを抱っこして、鍛冶屋さんに行こう!

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