第35話 空中庭園をお散歩しよう
お昼ごはんを食べたので、またお城の中を見て回ろう。くっきーを抱っこして、ショコラを肩に乗せて、ジークさんとレイナさんと一緒にお城の中を探検していく。
特に変わった物は見当たらなかったので、今度は街の中を見て回ろうかな。
お城を出て街を歩くと、街の端っこの方にあった畑に着いた。畑には色々植わっているみたいだけど、雑草がないのはなんでなんだろう?? きちんと手入れをされた畑そのものが広がっている……。
「バラ園でも思ったけれど、どうして雑草とか生えてないんだろう?」
「確かにそうですね……」
「まるで時間が止まっているかのようですね」
「やっぱりそう思いますよね~」
『ここを出る時に時を止めるような細工をして行ったんだと思うくまよ』
『そうぴよね。少し魔力が残っているぴよね』
「わぁ、2人ともそんな事まで分かるの凄いね!」
そういうと、もじもじと照れ出す2人が可愛くて、むぎゅっとしてなでなでしちゃう!
でも、ここに植わっている物が……薬草っぽいものと、里芋、サツマイモ、じゃがいも、玉ねぎが植わっている。
「どうしよう……これ少し貰って行っちゃダメかなぁ?」
『どうしたくま?』
「私が日本にいた時に使っていた野菜ばかりなんだよ~」
『貰って行けばいいと思うぴよよ』
「それは、少し貰って行きましょう!」
「食べる分と増やす分を貰っていくのはどうでしょう? 少しあれば増やせるのではないですか?」
「わぁ、ジークさん。それは良い考えです! そうしましょう!」
それから、みんなで収穫していく。私の後にも日本人が来た時の為に残しておいてあげたいので、全部は取らないで最小限にしておいた。
じゃがいもと玉ねぎはこの世界でもあるみたいなので、少し多めに貰っておいた。サツマイモと里芋は嬉しいなぁ。サツマイモがあったらおかずにもお菓子にも出来るから嬉しいね。
収穫した物はくっきーがアイテムボックスに仕舞ってくれるので、ダメになる心配はないしとっても助かるね。
「そういえば、この薬草みたいなのは何だろう?」
『それは魔力草くまね』
「まりょくそう?」
『魔力回復ポーションの材料ぴよよ』
「「えぇっ!?」」
ジークさんとレイナさんが驚いているけれど、なんでだろう?
「お2人ともどうしたんですか?」
「サラ様。魔力草は栽培が凄く難しいんです」
「えぇっ!」
「今まで栽培をしようと研究しているのですが、なかなか上手く育たないんです」
「わぁ、ここはこんなに栽培出来ているのは凄い事なんですね!」
「そうですね」
『だったら、土ごと少し持って行くといいくまよ。そしたら研究も出来るんじゃないくま?』
「そうですね。くっきー様お願いしても宜しいですか?」
『任せるくまよ!』
ジークさんはそう言うと、土ごといくつか魔力草を採取してくっきーに渡してくれる。くっきーがアイテムボックスに仕舞って持って帰ってくれるみたいだ。魔力回復ポーション……もしかして、これでお料理をすると魔力が回復するお料理が出来る?
『サラ、どうしたぴよ?』
「うん、これでお料理したら魔力が回復するかなって思ったの」
『あっ! サラだったらきっと回復するお料理が作れると思うくまよ』
魔力草が沢山あるので、少し多めに採取させて貰った。私もどこかに畑を作らないとダメかなぁ……里芋もサツマイモも沢山欲しい……。王都に帰ったら相談してみよう。
民家も見てみるけれど、特に面白そうな物は見当たらなかった。薄暗くなってきてしまったので、今日はこのままここに泊る事にした。今日はお城にあったこたつのある部屋に泊めさせて貰う事にした。
暗くなる前にお城に移動して、こたつのある部屋に行ってからのんびりする。
「なんだかここが空中都市の部屋の中だとは思えませんね」
「そうですね~。なんだか普通に部屋だからのんびりしちゃいますね」
なんだかこたつがあって懐かしい感じもするから、凄くお部屋が落ち着く感じなのだよね。こたつが温かくなったらさらにステキなのに、残念な事にスイッチがなくて温かくならなかったんだよね。
「よし、こっちのバルコニーでお料理作っちゃいますね」
そう言ってバルコニーに出ると、目の前の光景に驚いて声が出なかった……。
「凄い……」
目の前には沢山の光の粒が舞っている幻想的な光景が広がっている。ふと我に返ると、みんなを急いで呼ぶ。
「サラ様、どうしましたか!?」
「こっちに出てみてください!」
「わっ……これは……幻想的ですね……」
「わぁ、凄い綺麗ですね!」
ジークさんとレイナさんもびっくりしていると、くっきーとショコラも来てあの光が何かを教えてくれる。
『サラ、あれは妖精くまよ』
「妖精? わぁ、ファンタジーだね~」
『きっとここは妖精が産まれる場所なのくまよ』
『そうぴよね。あれは妖精が産まれる時の光ぴよ』
「妖精ってどうやって産まれるの?」
『よく分からないくまね。でも、あの光で妖精が産まれているって言われているくま』
「そうなんだぁ。凄く良い物を見せて貰って嬉しいね」
こんな素敵な景色を見ながらお夕飯に出来るなんて、凄く幸せな気分だね。じゃがいもと玉ねぎを入れたスープを作って、パンにはお肉を焼いて挟もう。
ご飯を作っていると、私の周りにキラキラ光りが集まっている気がする。美味しい物に集まっているのか、今日収穫したじゃがいもと玉ねぎを使っているからなのか分からないけれど、なんだか楽しくなっちゃうね。
ご飯の準備をして食べようとしたら、スープがキラキラしてる……。ここでも妖精さん産まれてる?
「なんかスープがキラキラに?」
『妖精さんが気に入っているみたいくまね』
「わぁ、それはなんだか嬉しいね。妖精さんって食べられるのかな?」
『それは分からないぴよね』
「サラ様……これは食べられないですね……」
レイナさんがしょんぼりそういうと、確かにスープに妖精さんの光が沢山で食べにくいです。食べていいものかちょっと悩ましいです……。
「そうですね……食べて良いのかちょっと考えちゃいますね」
そう言うと、ふわっと光がどこかに飛んで行った。
「あれ? 飛んで行ったね」
『ふふ、もう食べて大丈夫ぴよよ』
「そうなの?」
『妖精さん達がスープをさらに美味しくしてくれたみたいくまね』
「そうなんだ! 妖精さん達凄いね~」
「サラ様と一緒にいると不思議な事が沢山ですね」
「わ、私のせいではないですよ? た、多分……」
ジークさんにそう言われたけれど、私は何もしてないんだよ!?
スープを飲んでみると、味見をしたときよりも美味しくなっていた。妖精さん達凄い!
「わぁ、本当にスープが美味しくなってるよ。妖精さん達凄いね~!」
「くっきー様、サラ様。美味しいですね!」
『おいしいくまね!』
『おいしいぴよっ!』
妖精さんが美味しくしてくれたスープはとても美味しかったので、食べ終わってから妖精さんにお礼を言ったらまた光がキラキラしてとても綺麗だった。
「明日はもう少し街を見て回りますか?」
「そうですね。また畑とかあるかもですしね」
「ふふ、サラ様の美味しい物とても楽しみです!」
『ね~くま!』
『サラのご飯、私もすきぴよっ!』
美味しく食べて貰えて良かった。妖精さんの光もステキだったなぁ、ここは不思議な場所だよね。
「サラ様、そろそろ休みましょう」
「そうですね」
『サラ、一緒に寝るくまよ~』
「うんっ! ショコラもおいで」
『ぴよっ!』
くっきーはショコラを抱っこした私を抱っこしてくれて、ゴロンと横になってベッドになってくれた。ふわっふわのもふっもふが気持ち良くて幸せ。おやすみなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます