第18話 子供達とパンケーキ

 くっきーの背中に乗ってサントーンの街へ向かう。少し走るともうサントーンの街だ。門番さんに中に入れて貰うと、冒険者ギルドまでくっきーを抱っこして向かう。


「サラ様! ご無事でしたか」


「ジークさん、ただいまです。大丈夫ですよ~」


 よっぽど心配を掛けたみたいで、かなり申し訳なくなってしまった……。


「王都からの支援は届きましたか?」


「それがまだなんです。もうそろそろ着いてもいいとは思うのですが……」


「よし、ではお昼ごはんを作っちゃいましょうか!」


「サラ様、お昼はみんな食べないで働けますから大丈夫ですよ」


「えぇぇ?! でもみなさん力仕事なのに?」


「それが、朝ごはんで元気いっぱいになったみたいで、みんな大張り切りなんです」


「わぁ、そうなんですね。だったら子供達におやつを作ってあげてもいいですか?」


「おやつですか? それはきっと子供達喜びますね」


 許可を得たので、子供達のおやつを作ろう。今回はパンケーキを焼くよー! でもその前にベリーソースを作ろう。


 くっきーに木苺とお砂糖を出して貰い、クリーンをかけて貰ってからお鍋にお砂糖と一緒に入れる。火にかけてベリーソースを作る。とっても甘酸っぱい美味しそうな香り!


 くっきーが見つけてくれた木の実は、外の殻を割って中の粉を使うんだそう。小麦粉、木の実、卵、牛乳、お砂糖でパンケーキを焼いて行く。近くで作業していた人が鉄板を火にかけてくれたので、次々にパンケーキを焼いていく。


「サラさまは何をしているんですか?」


「今、おやつを作っているので、子供達を呼んできて貰っていいかな?」


「おやつ! 行ってきます!」


 言っている私も子供だけど、小学生くらいの子供が見に来たのでみんなを呼んで貰うようにお願いをした。その間にもパンケーキをどんどん焼いて行く。2つは先に作ってくっきーのアイテムボックスに仕舞っておいて貰う。後でジークさんとレイナさんにあげよう!


「サラさま~」


「サラしゃま~」


(うん、小さい子に呼ばれるのきゅんってしちゃうよ~! か~わいい~)


「みんなでおやつを食べようね。もう少し待っていてね」


「あいっ!」

「はいっ!」


(わぁ、かわいいよ~!!)


 パンケーキを焼いている間に、お皿に乗せてベリーソースを掛ける。


「わぁ、サラ様。美味しそうですね! 盛り付けを手伝いますね」


「ありがとうございます」


 焼くのも盛り付けも街のお母さん達が手伝ってくれる。子供達が喜んでくれるといいなぁ。小さい子はお母さんと一緒に、少し大きい子は自分で運んで食べて貰う。


「サラさま、おいしいっ!」


「サラしゃま、おいち!」


「おいしいですっ!」


「ふふっ、まだあるから沢山食べてね!」


『いっぱい食べるくまよ~』


「ふふっ、可愛いね!」


『そうくまね~!』


 みんなに渡ったみたいなので、くっきーにも食べさせてあげよう。お皿に乗せて、切り分けてあげる。


「くっきーもお疲れ様でした。待っててくれてありがとうね。はい、あーんっ!」


『くふふっ、甘酸っぱくておいしいくま~!!』


「ふふ、くっきーが沢山採ってくれたからだよ、ありがとうね。みんな喜んでくれて良かったね!」


『くふふ、嬉しいくまね!』


 みんなにこにこで食べてくれている。少しでも元気が出てくれたら良いな。まだまだ復興に時間が掛かるだろうけど、元気に頑張って欲しい。


「サラ様、支援が届きました!」


「ジークさん、教えてくれてありがとうございます! 良かったですね!」


 ジークさんが支援物資が届いたと教えに来てくれた。今日山まで行けるかな? 明日にした方が良さそうだね


「ジークさん、山は明日にしますか? まだ、レイナさんも来ませんし」


「そうですね。明日にしましょうか。サラ様は少し休憩していて下さいね」


「お手伝いが必要な時は呼んで下さいね」


 さて、今日はどうしようか。私に何か手伝える事はあるかなぁ? ちょっとレイナさんの様子を見に行こうかな。


 くっきーを抱っこして、商業ギルドへ向かう。商業ギルドに入ると、ギルドの建物を修理している人達が沢山いる。


「サラ様、お疲れ様です!」


「お疲れ様です。気を付けて作業をしてくださいね」


 修理している人達に声を掛けられながら中に進んで行くと、カウンターの中にレイナさんを見つけた。


「レイナさん、お疲れ様です。何かお手伝いありますか?」


「サラ様! 今は連絡待ちなので大丈夫ですよ」


「何かやる事があったらいつでも言ってくださいね。後、支援が届きましたよ。それで、今日はもう遅くなってしまったので、山には明日行く事になりました~」


「はい、分かりました。ありがとうございます」


「それで、レイナさんはご飯を食べました?」


「いいえ。午前中は連絡が沢山あったのでまだですね」


 くっきーのアイテムボックスからパンケーキを出して貰ってレイナさんに渡す。


「はい、どうぞ。今日の子供達のおやつだったのですが、レイナさんの分とジークさんの分も作っておいたんです。こっそり食べてくださいね」


「わぁ、美味しそうです! ふふっ、こっそり食べちゃいますね」


『くふふっ、それ美味しかったくまよ!』


「それは楽しみです! サラ様、ありがとうございます」


 忙しそうなので、商業ギルドを後にしたけれど……これから何をしよう?


「くっきー、これからどうしようか?」


『そうくまねぇ』


「お夕飯の準備しちゃおうか!」


『それが良いかもしれないくまね!』


 私がいても特に手伝える事がないので、みんなのご飯の準備をするのが一番いい気がする。さっき採って来た山芋は何にしようかなぁ。


「今日採って来た山芋でお料理しようか」


『それは良いくまね。身体に良いって言ってたくまね』


「うんうん。摺り下ろしたいけどこの量はきついかなぁ……」


『すりおろすくま?』


「うん、こまかーくしたいけどさすがにこんなにあると難しいかなって思って……」


『魔法でやるくま?』


「えっ、出来るの!?」


『任せるくま~』


 大きなボウルに山芋の皮をむいて入れていく。くっきーに細かくして貰っている間に、キャベツを刻む。他のお野菜も小さく刻んで、後はチーズも入れちゃおう!


 焼いたらそのまま食べられるように、味付けもしようかな。小さい子用にも少し取っておいてチーズだけで味付けにしよう。大きなボウル5個に出来たので、後で鉄板で焼こう!


 後はまたスープにしようか、と考えていたらジークさんが来た。


「サラ様。野菜などが届きましたが、何があるか見てみますか?」


「わぁ、お願いします!」


 くっきーを抱っこして、ジークさんと王都から来た野菜を見に行く。お肉も後で鉄板で焼いてもらうから、後はスープが作れればいい。なるべく野菜は少しずつ使わないと足りなくなってしまう。


 馬車から降ろした野菜を見てみると、結構な量の野菜があった。お肉はくっきーが持っているからと野菜を多めにして貰ったからだろう。


 少しお野菜を貰って行ってスープにしよう。今日は山芋のお好み焼き風とお肉があるからスープにお団子入れなくて大丈夫かな? 


 お野菜を持って行こうと思ったら、ジークさんが持ってくれた。ありがとうございます!


「サラ様。今日は何を作るのですか?」


「今日は山芋を採って来たのでお焼きにするのと、お肉とスープですね~」


「また美味しそうですね」


「そうだ、ジークさんはご飯食べましたか?」


「いいえ、まだですね」


「じゃぁ、今日作ったパンケーキをどうぞ。作業台の辺りならこそっと食べられますから!」


「ふふっ、ありがとうございます」


 作業台に野菜を置いてくれたので、くっきーにパンケーキを出して貰いジークさんに渡して貰う。私はお野菜を刻んでスープを作ろう。今日も大鍋5個に作ったら良いかな。


「サラ様、これは美味しいですね」


「今日採って来たベリーと木の実を使ったんです。ジークさんも食べないと体力が持たなくなってしまうので、ちゃんと食べて下さいね」


「ありがとうございます」


 そう言いながらも、くっきーの視線に勝てなかったジークさんはくっきーのお口にパンケーキを運んでいる。


「くっきー、ジークさんのだよ~」


『くふふ。だって美味しかったのくまよ』


「よし、私はこの美味しそうなくっきーをあーん!」


『きゃーくま!』


「アイテムボックスにあるクッキーを食べていいよ?」


『ふふ、サラ大好きくま~』


「だからパンケーキはジークさんにあげてね」


『くまっ!』


 はいっ! と手を元気に上げるくっきーが可愛かった。くっきーの可愛い仕草で癒されたので、スープを作っていこう!


「サラ様、ごちそうさまでした。ではまた作業をしてきます」


「はい、頑張ってくださいね!」


 私がスープを作っていると、見つけた人達が次々にお手伝いに入ってくれる。とっても有難いです。みんなでわいわいスープを作る。一緒に来ていた小さい子達はくっきーと一緒に遊んでいる。


(可愛いです、癒されるです~!!)


 スープが出来たらみなさんで少し休憩です!

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