第14話 サントーンの街へ

 朝目が覚めると、目の前にふわふわもふもふが……。なんで私の顔の上で寝てるんだろう……。びっくりしたから、もふもふしちゃうぞー!


『く、くすぐったいくま~!』


「くっきーったらなんで私の顔の上にいたの~?」


『起こそうと思ったくまよ~』


「びっくりしたよぉ。もう1回もふもふしちゃうんだから~!」


『きゃーくまっ!』


「ふふふふふっ」


 くっきーと遊んでから、お着替えをして食堂へ向かう。ジークさんとレイナさんが居たので、挨拶をして椅子に座る。ご飯を持ってきて貰ったらみんなで一緒に食べ始める。


「今日はどうしますか?」


「今日は南にあるサントーンの街と連絡が取れなくなっているみたいなので、そちらに行こうと思ってます。本当は国王様も会いたがっているのですが、緊急度的にはサントーンの街ですね。それにまだ調べて貰っている途中なので……」


「なるほど。連絡が取れなくなってるのは心配ですね」


『それは心配くまね。また2人は馬で行くくま?』


「そうですね。馬も連れて行った方が良いかもしれませんね」


 ジークさんとレイナさんが馬で行くみたいなので、私もくっきーに乗せて貰って向かう感じかな。


「くっきー、アイテムボックスに薬草ってある?」


『少しだけくまね。20本もないくまよ』


「うーん……急いで行くのが良いのか、薬草を採取してから行くのが良いのか悩ましいですね……」


「そうですね、サラ様のおかげで少し回復はしましたが……王都でも王宮でもまだ足りてませんしね」


「サラ様、途中で少し歩いて採取しましょう」


「わかりました」


 ジークさんが採取をして行くと言ってくれたので、途中で少し歩いて採取しながら向かう事になりました。


 ご飯を食べ終わった後は、宿を一度出る手続きをしてから宿を出る。今日はサントーンの街へ行くので、南門へ向かう。南門で手続きをして貰い街の外へ出る。


 外に出て、まずは大きくなったくっきーに乗る。ジークさんとレイナさんは馬に乗ってまずは南へ向かって走らせていく。途中、馬を休憩させる時に薬草を採取する予定。


「そういえば、遠くの街との連絡ってどうやって取っているのかな?」


『ぼくはよく分からないくまね』


 くっきーがそう言うと、ジークさんが答えてくれる。


「王宮と両ギルドには手紙の内容を送れる魔道具があるのですよ」


「なるほど。ファックスみたいなものかな」


「ふぁっくすですか?」


「私が居た所にもそういう物があったのですよ。後は声でやり取り出来たりとか」


「サラ様のいた所は凄いのですね。声を遠くに届ける魔道具はまだないのですよね」


「そうなのですね~」


 ファックスみたいな魔道具があるのに、連絡が取れないってなんだか不安だね。みんなが無事でありますように……。


『サラ、大丈夫くま?』


「うん、大丈夫だよ。そんな魔道具があるのに連絡が取れないのが心配だなって思っただけだよ」


『そうくまね。なるべく早く行けると良いくまね』


「うん、でも私は乗せて貰っているだけだけど、くっきーとお馬さん達が大変だから無理しないようにね」


『ふふ、ありがとうくまよ~』


 スピードを上げたり緩めたりしながら走り続けて、そろそろ休憩だ。くっきーから降りてありがとうの感謝を込めてむぎゅっと抱き着く。決して私が抱き着きたかったわけでは……。


 くっきーのアイテムボックスからクッキーを出して貰って少し休憩。


「サラ様のクッキーは美味しいですね~」


「本当! こんな美味しいお菓子初めて食べましたよ!」


『ふふっ、クッキーぼくも好きくま~』


 にこにこ顔のレイナさんにジークさんも気に入ったみたいだ。この世界にあんまりお菓子はないのだろうか? 焼き菓子とか大好きなんだよね~。そういえば市場でお茶を見忘れた……しょんぼり。紅茶とか緑茶欲しいよー!



 少し休憩した所で、クッキーに全員鑑定を掛けて貰って薬草の採取をする。サントーンの街へ向けて歩きながら採取をする。


 馬も引かないとなので、2人で採取をしてなんとか200個くらい採取出来た。これで間に合うと良いなぁ。


「採取も大分出来たので、また馬で行きますか?」


「そうですね。くっきー様は大丈夫ですか?」


『任せるくま! サラを乗せて走るくらい余裕くまよ!』


「くっきー、お願いね」


 くっきーに乗り、2人もそれぞれ馬に乗ってまたサントーンの街を目指す。次の休憩はお昼ごはんかな。今日のお昼もまたくっきーに好きな物を出して貰おうかな。


 牛乳とか、バターとか手に入ったし、またお料理の幅が広がるよね。今度はクリームシチューを作ろうかなぁ。後は、パンにお肉と一緒にチーズを挟んでも美味しいね。


『なんだか、サラが美味しい物を考えている気がするくま!』


「えぇぇっ!? なんでわかったの?!」


『ふふふ、なんか伝わって来たくま』


(食いしん坊神獣恐るべし……)


「牛乳とかチーズとかがあるから、何を作ろうか考えていたんだよ~」


『くふふっ、楽しみくま!』


「くっきー様、それはとても楽しみですね!」


(ここにも食いしん坊さんがいたっ!)


『レイナもぼくの仲間くまね~』


「ふふっ、サラ様のお料理はどれも美味しいんですもの!」


「確かに、サラ様のご飯は美味しいですね」


(わぁ、ジークさんにも褒められたー!)


「美味しいご飯は元気が出ますからね~」


『お菓子も必要くま!』


「あははっ、確かにお菓子も欲しいね! オーブンが使えればもっと色々作れるんだけどね~」


『くまっ!? オーブン! サラ、買うくまよ!』


「いやいや、買っても置く場所がないよ?」


『しまうくま?』


「いやいやいや……難しいからね?」


 そういうとしょぼーんとしてしまった。


「え、えっと……そのうちお家を借りたり出来たら買おうね?」


『やったくま! サラ大好きくま~』


「ふふっ」


 そんな話をしながら進んで行くと、お昼休憩の時間になった。またくっきーにお昼ごはんを選んで貰おう。


「くっきー、お昼ごはんに食べたい物を出して貰って良いかな?」


『今日はこれとこれくまっ!』


 くっきーが今日選んだのは、トマトスープとジーン焼きを挟んだパンだった。ジーン焼きは美味しいよね!


 食べる準備をしている間、ジークさんとレイナさんはお馬さんにお水とかご飯をあげている。こっちも食べる準備が出来たら、みんなで一緒に食べ始める。


「ん! トマトのスープは初めてだけど、美味しいですね!」


「確かに、初めて食べるけど美味しいですね」


 レイナさんもジークさんも気に入って貰えて良かった。


『くまぁ~、美味しいくま~』


「美味しく食べて貰えて嬉しいな」


 そういえば、ここに来る間も沢山ドロップ品を拾っているからまたアイテムボックスの中が凄い事になってそうだね。


「くっきーのアイテムボックスにまたドロップ品が大量にあるのかな?」


『そうくま。沢山になったくまよ~』


「お肉とかもサントーンの街でみんなに食べて貰えるといいね」


『そうくまね~』


 お昼休憩を終えると、またくっきーと馬達に乗ってサントーンの街を目指す。もう少しで着くのかな? 少し走っていると、またくっきーが魔石を感知したみたい。


『くま! また魔石がある感じがするくま! 少し寄り道するくまよ!』


「くっきー様、お願いします!」


 ジークさんがそう言うと、くっきーは道から少し外れて走っていく。2人も遅れないようにしっかりとついてきている。


 10分くらい走らせると、ここにも洞窟があった。そして凄い数のドロップ品も……。くっきーから降りると今度は小さくなったくっきーを抱っこする。次々にあるドロップ品を仕舞いながら洞窟の中に入っていく。


 洞窟の中をくっきーが明るくしてくれると、さらに大量のドロップ品が……。この数は多すぎじゃない?!


 ジークさんを先頭に洞窟の奥へ入っていくと、すぐに行き止まりになった。ここにまた魔石があるだろうからみんなで探そう。


『サラはぼくと一緒に行くくまよ。結界を張っておくから大丈夫くまよ』


「うん、ありがとうね」


 みんなに結界を張ってくれて、助かった。誰かが怪我でもしたら大変だからね。少しすると、レイナさんが床に埋まっている魔石を見つけた。


『あったくまね』


 くっきーが魔法で掘り起こしてからアイテムボックスに仕舞う。


「でも、これでちょっと安心だね」


『そうくまね。早くサントーンの街へ向かうくまよ』


「そうですね」


「わかりました」


 洞窟の外に出ると、早速くっきーに乗ってサントーンの街へ行こう!

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