第11話 西のダンジョンへ

 朝起きて、くっきーにお着替えを出して貰い着替えてから、食堂へ向かう。食堂へ着くとジークさんももう来ていてレイナさんと待っていてくれた。


 一緒に朝ごはんを食べて宿を出る。宿を出たら今日は西のダンジョンなので、街の西門から外に出る。


 西門から出たら少し北の方へ向かうとダンジョンがあるみたいだ。ぽてぽてと歩いて行くとダンジョンに着いた。ここまでも凄い量のドロップ品だ。


「なんだか洞窟よりも凄い数だよね?」


『そうくまね。これはやっぱりここにもあるんだと思うくま』


「こんなにいるという事は中も……?」


 ジークさんもレイナさんも驚いているけれど、いつもの洞窟前以上にドロップ品が散らばっている。思わずくっきーを抱きしめる手に力が入る。


『サラ、大丈夫くまよ。ぼくがいるから安心するくまよ~』


「ふふっ、ありがとう」


 ダンジョンの中に入ってみると、一瞬魔物が見えた気がするけれど、ぽふん! とアイテムに変わっていく。ぱらぱらっと地面に転がっていく。


「くっきー、やっぱりすごいんだね。今一瞬何か居た気がするんだけど、分からなかったよ?」


『くふふ、もっと褒めてくまー!』


「ふふっ、くっきー凄い! かわいいっ! ふわっふわ!」


『サラ~、ふわっふわってなにくまー! それにかっこいいがいいくまよ~?』


「ふふっ、かっこいいよ?」


『なんで疑問形なのくまー!』


「あははっ」


「ふふっ」


「ははっ」


 みんなに笑われてちょっとしょんぼりモードのくっきーをむぎゅっと抱っこする。


「でも、いつも助けてくれる私のヒーローはくっきーだよ。いつも助けてくれてありがとうね」


「えへへ、うれいしくま~」


(こういうところが可愛いって言うんだと思うよ?)


 くっきーがアイテムをアイテムボックスに仕舞いながら先に進んで行く。ついついダンジョンって聞くとキョロキョロしてしまうね。


 魔物も出ないから普通に洞窟みたいなんだけど、明るいんだよね。ダンジョンって不思議だなぁ。


「ダンジョンってどうして明るいんだろうね?」


『人が来てくれないとダンジョンも困っちゃうからだと思うくまよ』


「困る?」


『ダンジョンは床とか壁から力を吸収しているって聞くくまよ。だからなるべく人が来てくれると、魔法とかも吸収して力に出来るんだと思うくま』


「なるほど~」


『人も……むぐっ!?』


「くっきー様。サラ様にそこまでは……」


「?」


『そうくまね。つい言いそうになったくま』


「えっ、何が?」


「サラ様、聞かない方が良い事もありますよ」


「そ、そう……ですね」


 うん、大体聞いちゃいけないあたりで分かった気がする。うん、聞かない聞かないっ!!


「え、えーっと、先に進もう!」


「ふふっ、そうですね」


「そうですね、そうしましょう!」


 そういえば、ダンジョンは罠とかもあるんだよね。気を付けよう。とりあえずみんなの話をちゃんと聞いておけば大丈夫かな。


 その後も次々とくっきーがアイテムを仕舞いながら先に進んで行く。半分くらいまでは罠はないみたい。15階以上になると罠もあるみたいだから本当に気を付けよう。


 ジークさんとレイナさんが階段の場所が大体覚えているみたいなのと、20階まではフロアも少し狭いので、さくさくっと進んで行けた。途中休憩をしながらも、お昼までに15階まで着けた。


「サラ様、そろそろお昼休憩しましょう」


「そうですね」


『やった、お昼くまー!』


「階段の近くの安全エリアに行きましょう」


 安全エリアについてから、ご飯の準備をする。今日はどれを食べようか?


『ハル! ジーン焼きサンドがいいくまっ!』


「くっきー様、それはいいですね!」


 昨日作るのを見ていたくっきーとレイナさんはジーン焼きが昨日から気になっていたのだろう。味見くらい言えばあげたのになぁ。


「じーんやきさんど?」


「昨日サラ様が作っていたのが、とても美味しそうだったんですよ!」


「それは楽しみですね」


 お昼ごはんだからスープは夜に取っておこうかな。お昼は簡単にジーン焼きサンドだけでいいかな。私はくっきーと半分こして食べる。


『サラ、これ美味しいくま~!』


「サラ様、これは美味しいです! 昨日から凄くお腹の空く良い匂いで気になっていたんです!」


「ふふっ、美味しく食べて貰えて嬉しいです!」


「サラ様、これは身体も温まる感じですね」


「ジーンが身体を温めてくれるので、こういうところで食べるなら良いかなと思ったんです」


「なるほど」


 ジークさんはそういうと、ぱくぱくと食べ始めた。うん、男の人は食べるの早いというか一口が大きい。あの一口で私は3口以上かかりそうだ。


 レイナさんは上品に食べているように見えるのに凄く早い。どうしてあんなに優雅に食べている感じになるんだろう? 


 お昼ごはんを食べた後は、今度は罠もあるかもしれないから慎重に進む事になった。


「サラ様、私とジークの間を歩いてくださいね」


「はい、お願いします!」


 くっきーを抱っこする手についつい力が入るけれど、頑張るぞ! そうするとくっきーが私の手をぽふぽふと優しく叩いて大丈夫って示してくれる。


 緊張感はとてもあるけれど、5階層ごとにいるボスも倒されているから何がいたのか分からないけれど、こんな簡単なダンジョン攻略って良いんだろうか??


(歩いているだけでダンジョンクリアしていくのってすごくない?!)


 その後も順調に進んで、お夕飯の時間になる頃には25階まで行けた。安全エリアまで行ってほっと一息。


 お夕飯は何にしようかな。


「くっきー、どのスープにしようか?」


『この野菜スープが美味しそうだったくま! 後はお肉でも焼くくま?』


「そうだね、時間もありそうだから焼こうか!」


『やったくまー!』


 材料とコンロとフライパンを出して貰い、お肉の準備だ。昨日スパイスも買えたので、今日はピリ辛でお肉を焼こう!


 お肉に下味をつけて少しなじませてから、フライパンで焼いていく。ん~、美味しそうな匂いがする~!!


「サ、サラ様っ! とてもお腹が空く香りが……」


「もうすぐ出来ますよ~」


 レイナさんは腹ペコキャラなのだね~。美味しそうに食べてくれるのが凄く嬉しい。


「レイナ、落ち着け」


 ジークさんは逆に落ち着いた人だよね。見た目は逆に見えるから不思議だ。くっきーはもちろん腹ペコくんだよ。そのうち甘い物も作ってあげたいなぁ。


「さて、食べましょう~!」


『美味しそうくま~!』


 ご挨拶をしてみんなでご飯を食べ始める。レイナさんはピリ辛のお肉が気に入ったみたい。


「サラ様、これ美味しいです!!」


「昨日スパイスが買えたので、気に入って貰えて良かったです」


『ハル、これぼくも好きくまよー!!』


「ふふ、また作ろうね!」


「サラ様は凄いですね。このスープも凄く美味しいですし、このお肉もピリ辛でとっても美味しいです」


「良かったです。お代わりもあるのでどうぞですよ~」


 私以外のみんなはお代わりをしてキレイに食べてくれた。うん、美味しそうに食べてくれるのはとても嬉しいね。明日もお料理がんばろう~!


「そういえば、お2人はどこに寝るのですか?」


「我々はそこら辺で適当に」


「明日、大丈夫なのですか?」


「もともと野営の時は見張りが必要ですからね」


『結界張っておくから見張りはいらないくまよ』


「えぇ?!」


「さすがくっきー様ですね」


 くっきーが結界を張ってくれるので、みんな休める事になった。やっぱりテントいるんじゃないかな?


『サラはこの間と同じくまよ』


「わぁい、うれしいっ!」


 そう言うと、くっきーは大きくなって私を抱っこしてくれた。


(うふふ、大きなくまちゃん。抱き着いても手が回らないけど、もふもふ気持ちいいよぉ~!)


 むぎゅっと抱っこされるとすぐに眠くなってしまった。まだジークさん達が何か話しているけれど、もう聞こえないや……おやすみなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る