第10話 街へ帰ってお買い物をしよう!
洞窟から出た所で、お昼ごはんを食べて休憩してから帰る事になった。
「お2人はご飯はどうしますか?」
「私達は簡易食を持ってますから、くっきー様とサラ様はゆっくりお食べ下さい」
『サラはどうするくま?』
「今日はパンを買ってきてないから、ささっとスープ作っちゃおうか?」
『やったくま~。サラのスープ美味しかったくま』
くっきーに調理道具と材料を出して貰い、ささっと野菜スープを作っちゃおう。ついでにジークさんとレイナさんの分も作ろうかな。要らなかったらアイテムボックスに仕舞っておいてもらったら良いしね。
『サラっ! 今日はスープだけなのくま??』
くっきーがこてん! と首をかしげる仕草をする。
(か、かわいいっ!)
「何が食べたいの?」
『くふふっ、お肉焼いたの美味しかったのくまー! 食べたいくまー!』
「あははっ、いいよ~。じゃぁ、お肉も出して貰っていいかな?」
『サラ、大好きくまー!』
「くっきー、それは「サラ、お肉大好きくまー」って聞こえた気がするよ?!」
『ち、ちがうくまよ~』
横を向いて口笛を吹く真似をするくっきー。どこで習ったのよ、それ?
「ふふふっ、お2人は本当に仲良しなのですね」
「ははっ、本当に仲が良くて微笑ましいですね」
「しまった! ついいつもの癖で……」
(ジークさんとレイナさんが居るのを忘れてついつい遊んじゃったよ)
『2人も一緒に食べると良いくまよ~。一緒に食べる方が美味しいくまよ?』
「ふふっ、ありがとうございます。では何かお手伝いをしましょうか?」
「そ、それはっ!! レイナに調理は任せてはダメです!」
「えっ?」
「ジーク? な・に・か?」
「うっ……だ、だが……あれをくっきー様とサラ様に食べさせては……」
(えっ? 一体どんな料理なの?!)
そう思っていたら、くっきーがこそっと話しかけてきた。
『サラ、早く作ったらいいと思うくま……何か危ない感じくま……』
「う、うん……」
ジークさんとレイナさんが話をしている間にさくっと作っちゃおう。とりあえず、スープはもう出来たので後はお肉を焼くだけなので待っていてもらおう。
(うん、私も手伝って貰ったらダメだと思う……ジークさんのあの慌てっぷりは、かなりやばいんだろう……)
お料理が出来たので、全員で食べる事になった。うん、スープで身体が温まって良いね。
「サラ様はお料理が上手ですね」
ジークさんはホッとした顔でスープを飲んでいる。うん、スープって簡単だと思うんだよ? まずくならない……よね?
「サラ様の料理は本当に美味しいですね。凄いです!」
「ありがとうございます。やっぱり一緒に食べると美味しいですね」
みんなでにこにことご飯を食べる。やっぱり今日街へ帰ったらもう少し食材を買っておこう。パンも買っておきたいね。私とくっきーじゃ要らないだろうけど、ジークさんとレイナさんにはパンも必要だろう。
お片付けをしたから街へ帰ろう。報告はジークさんがしてくれる事になった。レイナさんはそのまま一緒にいてくれるんだそう。
くっきーを抱っこして歩こうとしたら、ジークさんに呼び止められた。
「ひゃっ!」
「帰りはお任せください。捕まっていて下さいね」
ジークさんに問答無用で抱っこされた。
「えっと、まだ歩けますよ? 先日はくっきー様の背で寝たと聞いてます。頑張りすぎはいけませんよ」
「はう……でも、騎士様に抱っこされるのは申し訳ない気が……」
「小さい子をずっと歩かせている方が申し訳ないですよ」
『ハル、甘えておくといいくまよ~』
「う~……でも……えーっと……じゃぁ、少しだけお願いします?」
「ははっ、気にしなくて良いですよ。サラ様もくっきー様も軽いですから、全然余裕です」
まさか抱っこされるとは思わなかった。イケメン騎士様に抱っこされるとかどんなラノベなのー?! そのままジークさんとレイナさんの歩く速度がかなり早くなった。
(そっか……やっぱり遅いのか……そうだよね。2人ともスタイルが良くて足も長いから速いのか!)
大人しく抱っこされておこう……くっきーをむぎゅっと抱っこしたままジークさんに抱っこされていたら……この揺れやばい……眠い。
そのままうとうとと寝てしまった。くっきーに起こされてジークさんにすっごく謝った。
「わわっ、まさか寝ちゃうとは……しかも街まで抱っこ……ごめんなさいっ!」
街まで2時間くらい掛かるって言ってたよね!? 申し訳なさすぎる!!
「ははっ、サラ様大丈夫ですよ。くっきー様とサラ様のおかげで浄化も出来ましたから、これくらい全然平気ですよ」
「うぅ……ありがとうございます」
「サラ様大丈夫ですよ。ジークは強いので抱っこするくらいじゃ全然問題なしです!」
「ジークさんも、レイナさんもありがとうございます」
王都に入ると、ジークさんはそのまま王宮に一度帰り、国王様に報告をしに行くんだそう。レイナさんと一緒に市場を見て回る事にする。
お肉はドロップ品があるので、お野菜を色々買って行こう。後は調味料ももう少し欲しいなぁ。後はパンかな。
「ふふっ、市場は楽しいね~」
『そうくまね。サラ、好きなの買うといいくまよ~。ぼくもサラのご飯好きだから嬉しいくま』
「うん、ありがとうね」
「サラ様はお料理が好きなのですね。とても楽しそうです」
「はいっ、お料理大好きですよ~」
お野菜とか調味料を食材屋さんで沢山買ってから、調理器具を売っているお店に向かう。ここでももう1つコンロを買ったり、フライパンを買ったりと沢山買っちゃった。
買ったものは全部くっきーのアイテムボックスに仕舞って貰っている。自分で出せないのは不便だけど、持って歩かなくて良いだけでとてもとてもありがたい。
「そういえば、明日は西のダンジョンですよね?」
「えぇ、そうです」
「ダンジョンって何階まであるんですか?」
「30階ですね」
「わぁ、そんなにあるんですね!」
『サラ、パンをもっと買っておく方が良いと思うくま』
「うん、そうだね」
10個買ったけど、それじゃ足りない気がする。食料はちゃんと持っておかないとダメだ。それに調理出来るかも分からないから、多めに買っておこう。
「くっきー、お鍋のままいくつも入れられる?」
『大丈夫くまよ。容量気にしなくて大丈夫くまよ』
くっきーのアイテムボックスは容量無制限、時間停止らしいので、安心して預けておける。
「帰ったらいくつかスープ類を作って入れておいて貰える?」
『任せるくまよ』
「ありがとう!」
パンとお鍋とお皿をいくつか買い足してから、宿に帰る。レイナさんもここの宿に泊まる事になっているんだそう。
宿の女将さんにお部屋でお料理して良いか聞いたら食堂なら良いと許可を貰ったので、食堂の片隅でお料理を始める。レイナさんもくっきーと一緒にお料理を作るのを見ている。
くっきーに材料を出して貰い、具材と味を変えたスープを次々に作る。後はすぐに食べられる物を作っておこうかな。お肉を薄く切って焼いて、レタスと一緒にパンに挟んで完成。これもくっきーに仕舞っておいてもらう。
後は何を作ろうかな。
「サラ様は本当にお料理が好きですね。さっきからとても楽しそうです」
「ふふっ、それにジークさんとレイナさんが食べてくれるのが嬉しいので余計張り切っちゃいます」
『サラ、後は何を作るくま?』
「さっき、この生姜じゃなくてジーンを買ったから塩味のジーン焼きも作っちゃおう!」
『それは美味しいのくま?』
「うん、私は好きだよー」
(でもお醤油味の生姜焼きが食べたいけどね!)
ジーン焼きを作っていると、ジーンの香りにつられて宿の料理人である旦那さんが出てきた。
「この旨そうな匂いはなんだ!?」
「わっ、お邪魔してしまってすみません。今ジーン焼きを作ってて匂いがしちゃいますよね」
「いや、それは良いんだが……味見させて貰っていいか?」
「はい、どうぞ」
旦那さんにジーン焼きをお皿に乗せて差し出すと、美味しかったみたいで作り方を教える事になった。
「いやぁ、新しい料理は嬉しいな! これは宿で出してもいいか?」
「良いですよ~。気に入って貰えると良いのですが」
ジーン焼きも半分はパンに挟んでくっきーに仕舞っておいてもらう。
「パンに挟めるのか!」
「そうするとパンも食べやすくなるし、外でも食べやすくなるんです」
「そいつはいい! ありがとよ!」
旦那さんとのお話が終わって、私もお料理を作り終わるともうお夕飯の時間だ。
『サラ~、お腹すいたくまよ~』
「そうだね。もうお夕飯だものね」
『違うくまー! サラが美味しそうな物ばかり作るから食べたくなるのくまよ!』
「くっきー様、本当にお腹空きましたよね」
「あはは、ごめんね。でももうお夕飯だから食べよう!」
「ふふっ、サラ様のお料理はどれも美味しそうな香りでお腹がペコペコですよ」
「ふふっ、明日からのダンジョンで食べるので待っててくださいね~」
『楽しみくまね~』
3人でお夕飯を食べて、部屋に入る。レイナさんはお隣の部屋だそう。
部屋に入ると、くっきーがクリーン魔法を掛けてくれてお部屋着を出してくれた。お部屋着に着替えてくっきーを抱っこしてお布団に入る。
「明日は初めてのダンジョンで楽しみだなぁ」
『サラ。でも魔物は居ないくまよ』
「あっ、そうだね。でもその方が安心だよね」
『でも罠があるかもしれないから気を付けるくまよ』
「わわっ、そうなんだね。気を付けるよ!」
くっきーをもふもふすりすりしてからおやすみなさい!
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