第3話 アレクシス王国へ
朝、目が覚めるとくっきーを抱っこしたままだった。1人じゃなくて良かった、夢じゃなくて……召喚されたのは夢であって欲しかったけど……。
くっきーがすぴすぴ寝ている。可愛いなぁ……しかしくっきーはくまなのか、ぬいぐるみなのか……思わずつんつんしてみる。でもワタっぽくないんだよね。だからきっとぬいぐるみではないんだろう。抱っこすると温かいしね。
『サラ、おはようくま~』
「ふふ、おはよう」
着替えをして、出掛ける準備が出来たら食堂へ行って、2人で朝ごはんを食べる。宿を出る手続きをしてから宿を出る。
アズライトに行くので、まずは南門へ向かおう。南門で手続きをして貰うと、外へ出てアズライトに向けて歩き出した。
くっきーを抱っこして、ぽてぽて歩いて行く。歩いていると、次々と動物達がアイテムを持ってきてくれる。なんだか動物達に貢がれているようで、不思議な感じだ。
またくっきーが鑑定の魔法を掛けてくれたので、薬草とかお薬の材料になる草とかを採取しながら進んで行く。なんだか採取するものが色々あって、探しながら歩くのがとても楽しい。
採取した物はくっきーがアイテムボックスに仕舞ってくれる。こんなに自然の中にいる事がなかったからなんだかとても楽しい。
「あれ? 採取してたらどっちに行くか分からなくなっちゃった! くっきー、どうしようっ!?」
『くま? 大丈夫くまよ。ぼくが分かっているから任せてくまよ』
「はぁ……よかったぁ! 道もお願いしちゃうね」
『ふふ、大丈夫くまよ。だから安心して採取するといいくまよ~。ぼくは採取出来ないから任せるくま』
「ふふ、ありがとうね」
くっきーが道案内もしてくれるというので、そのまま歩いて行く。違う方向へ行くと修正してくれているみたいだ。くっきーに道はお任せして私は色々な物を採取していく。
そういえば、この7歳の身体だけどあんまり疲れないなぁ。いくらでも歩けそうな感じだ。
『サラ、そろそろ休憩するくま?』
「そうだね。お昼ごはん食べようか。くっきーは何が好きなの?」
『ぼくはそんなに食べなくても問題ないくまよ』
まだお昼だから、簡単に買ってきたお肉を挟んだパンを食べよう。くっきーのアイテムボックスからパンとコップを出して貰って、コップにはお水を魔法で出して貰った。
「いただきますっ! くっきーも半分どうぞ」
『サラが食べるくまよ?』
「一緒に食べた方が美味しいよ? 食べられないんだったら仕方ないけど、食べられるなら一緒に食べたいな」
『ふふ、サラは優しいくま。じゃぁ一緒に食べるくま~』
くっきーと2人、木を背もたれにして座って、もぐもぐ食べる。くっきーのぬいぐるみみたいな可愛い手でパンを持ってもきゅもきゅ食べる姿にきゅんきゅんしちゃう。
(可愛すぎる……お膝に乗せて一緒に食べても良かったかなぁ)
2人で美味しくご飯を食べた後は、お片付けをしてまたアズライトの街へ向けて歩き出す。くっきーがまた鑑定を掛けてくれたので、採取しながら進んで行く。
夕方になる頃、アズライトの街へ着いた。門番さんに手続きをして貰い街の中へ入る。ここでもローズ亭があると思うので、街を歩いて探してみると街の中心に近い辺りに見つけた。
「こんにちは、1泊お願いしたいのですが、空いてますか?」
「こんにちは。空いてますよ~」
空いていて良かった。手続きをして貰ってから、まずは食堂へ行ってお夕飯を食べる。今日はウルフ肉のステーキだった。
(ウルフって食べられるんだね)
「わぁ、くっきー。これ美味しいね!」
『そうくまね~』
2人で分けて食べてもお腹いっぱいだ。お部屋に入って、すぐにくっきーがクリーン魔法を掛けてくれた。ベッドでくっきーとお話をしていると、ふと思った事がある。
「魔法って覚えられないの?」
『覚えられる人もいるくまよ。でも、サラは魔力がないから無理くまね』
「えぇー! それは残念。魔法がある世界に来たのなら使ってみたかったなぁ」
『ぼくに任せるくまよ。でも、そのうち魔法が使える魔道具とか持ってみるといいくまよ』
「えっ? 魔力がないのに使えるの?」
『魔石が入っているのは使えるくまよ』
「わぁ、それは嬉しい! お金に余裕が出来たら探してみよう。ふふふ、楽しみだなぁ」
さすがに一日歩き通しだったからか、くっきーを抱っこして横になるとすぐに寝てしまった。
次の日、朝目が覚めてから特に準備がないので、くっきーにクリーンを掛けて貰ったら食堂へ行って朝ごはんを食べて、手続きをして貰ったら宿を出る。
この国で素材を買い取って貰うよりもアレクシス王国へ行ってから買い取って貰おうかな。国民に恨みはないけれど、気分的に何だか嫌だ。なのでアレクシス王国まではくっきーにそのままアイテムを仕舞っておいてもらう事にする。
ここアズライトの街から砦までは午前中歩くくらいで着くみたいなので、ささっと進んでアレクシス王国へ入ろう!
南門へ着くと、門番さんに手続きをして貰い外に出る。
(今日もがんばって歩くぞー!)
「今日もがんばろう!」
『くまーっ!』
くっきーを抱っこして、ぽてぽてと歩いて行く。今日もお天気が良くて助かったなぁ。またくっきーが鑑定を掛けてくれたので、採取をしながら進んで行く。
「そういえば、私が出来る事って何かないかなぁ?」
『何がやりたいくま?』
「特にこれっていうのはまだないんだけど……全部くっきーに甘えているだけじゃいけない気がするんだよね……」
『ぼくはサラに甘えて貰えるの嬉しいくまよ?』
「うっ……でも何も出来ないのがね……」
『ふふ、サラは良い子なのくま。だから余計にぼくは側にいたいと思うのくまよ。でも、サラは採取したり自分の出来る事やっているくまよ?』
「くっきー、ありがとう。何か他にも出来る事を見つけたいね」
『そうくまね~。それでサラの気持ちが楽になるならそれがいいくまね』
「ふふ、くっきーもとっても優しいよね。ありがとう!」
くっきーが私を認めてくれているのは、とても嬉しい。それだけで心が軽くなる。だけど、それに甘えるばかりじゃいけない気がするんだよね。自立もしないといけないよね!
「魔力がなくても出来る事を考えよう!」
『そうくまね』
そんな風にお話をしたり、採取したりして進んで行くと、お昼前には砦に辿り着けた。ドキドキでギルドカードを出して手続きをして貰った。
なんとかアレクシス王国に入る事が出来た。ちょっとほっとした。
「アレクシス王国に入れたね、良かった~!」
『ちょっと安心くまね。サラをいじめたあの国にはもう絶対行かないくま!』
「そうだね。くっきーも怒ってくれてありがとうね!」
『ふふ、これからは楽しく行くくまよ~!』
「おーっ!」
砦を無事に抜けられたので、まずはクロサイトの街を目指そう。相変わらず、歩いていると動物達がドロップ品を持ってきてくれるので、くっきーのアイテムボックスに大量のお肉とか魔石とか色々と溜まってきている気がする。
途中で休憩したり、ご飯を食べたりしながら進んで行くと、クロサイトの街が見えてきた。
「こっちの王国にもローズ亭はあるのかな?」
『どうくまかね~』
「門番さんに聞いてみようね」
『君たちはフェリク王国から来たのか?!』
「はい、そうですよ」
『そ、そうなのか……魔物は大丈夫だったか?』
「魔物? 大丈夫ですよ~」
なんだか驚かれたけれど、門番さんに手続きをして貰ってから宿について聞いてみると、この王国でもローズ亭があるらしい。ローズ亭凄いね! そしてローズ亭は大体冒険者ギルドと商業ギルドの近くにあるみたいだ。
街の中心に向かって歩いていると、ローズ亭を見つけた。今日はもうご飯を食べて休んじゃおう。
「こんにちは、とりあえず2泊お願いしたいのですが、空いてますか?」
「はい、こんにちは。空いているから大丈夫よ」
手続きをして貰ってから、まずはお夕飯を食べる事にする。今日のお夕飯はスープと炒め物とパンだった。
「美味しいね~」
『そうくまね~』
のんびりご飯を食べたら、お部屋に入る。お部屋に入ってくっきーにクリーン魔法を掛けて貰ってからベッドに座る。
「ねぇ、くっきー。なんだかこの街、元気がない感じがするのはなんでだろう?」
『それはぼくも感じたくまね。明日冒険者ギルドに行ってみるくまよ』
「あっ、そうだね。よし、じゃぁ今日はもう寝よう。おやすみなさい」
この街に着いた時、門番さんもなんだか疲れていたように感じた。街の中もなんだか活気が少ない気がした。フェリク王国の方が活気があった気がするんだよね。まずは、明日だね。
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