電撃文庫作家のお墨付きの一言が無ければもっと楽しめた

 普段はなろうを徘徊しておりますが、「#RTした人の小説を読みに行く」のタグでよく応募している人なのでよっぽど自信がある方なのかと思い、試しに登録して読みに参りました。

 内容は良い。文章に自信があると断言するだけあって主人公の力強さや迫力は伝わったと思う。
 しかし「プロ並みの文章力で綴る」というキャッチコピーや「電撃文庫作家のお墨付き」という読書依頼時のツイートが残念でならないと思ったので★を一つ減らした。

 残念だと思った理由はこのコピーがあることで読書の最中、私の脳内に常に「プロ並みの文章とはいかほどか」と批評する意識が生まれてしまったことによって純粋に物語の進行に集中できなかった点にある。
 Twitterで辛口評価を求めるツイートをしていらっしゃるのを拝見したが、絶対的な自信と誇りを感じさせるこのコピーでは安易な辛口評価は逆鱗に触れると懸念されてしまい兼ねないと感じた。

 また性表現に違和感を感じたため★をもう一つ減らした。
具体的な例としては依頼主が発症者たちに惨殺される場面で殺意の塊の様に描写されていた発症者たちが、一度依頼主の女子高生を脱がしてから殺している場面に違和感を感じた。女性の殺傷が第一の目的であるのに服だけを一旦引き裂くという行為は一種の理性であるように感じられたからだ。
 発症者たちは原始欲求しかもっていないというような設定が読者に説明されていれば、性欲を満たした後に食欲を感じて噛み殺したという流れで受け入れられたかもしれないが、作中で一貫して強調されていた発症者たちの特徴は理性の無さと残虐性である。
 性表現でもう一つ残念に感じたのは主人公の女性の性欲の「質」だ。彼女が女性の恋人に見せる性衝動は胸を揉みしだく等の男性のそれに近いものが多い。主人公がLGBTQのトランスジェンダーに当たると示されて入れば精神的には男性であるので自然に受け入れられたと思うし、女性としての性質を主人公が残しているのであればレズビアンとしての愛し合い方を調べて描いた方が良かったように思える。

 結果として実力があるにも関わらず、性描写を求めるネット小説の読者層に媚びてしまったように感じられて非常に惜しかった。


 これらが無く、もっと物語の魅力そのもので私を惹きつけてくださっていれば文句なしの★3、なろうであれば★5を付けていたと思う。

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