第19話


「ここは…」

気がついた俺。

そこは見慣れない白い天井、耳元でピーピーと機械音が聞こえる。

腕には沢山の点滴の線がいくつも繋がれている。

「…病気?」

気がついた時、俺がいたのは異世界ではなかった。


ーーー数時間前


「この数は流石に不利ですね」

ありがとう俺たちの同じ言葉を使う黒いドラゴンが言ってくる。

「じゃあ、尻尾巻いて逃げ出してくれるのかい」

「そうですね…」ドラゴンは何かを考えるように顎に手を当てる。

「いや、それは大丈夫ですかね」

なんだ?さっきの間はまだ沙月の実力を見せてないとしてもあの余裕…何か奥の手でもあるのか?

だが、ドラゴンはその後も避けるばかりで反撃の理一つもして来ない。

俺たちの体力を奪ってから攻撃する作戦なのか?けどそれにしたってなにもしてこないのも変じゃないか?

「なぁリズ」

隣に立っていたリズに話しかける。

「なに?」少し不機嫌そうに返事をされたが俺は気にせず続ける。

「あいつの動きを止めたりできないか?」

あいつがなにもして来ないにしてもこのまま続けても無駄だ。

だから、一瞬でも動きを止めることができたなら攻撃を当てることもできる。

そうすれば何かわかるかもしれないしな。

「できなくはないけど…」

「けど?」

「そんなに長く止められないかも」

「どれぐらい止められそうだ?」

「あいつ動き早いからね、捕られても7、8秒ぐらいかな」

「短いな、けどまぁそれぐらいあれば」

次に沙月の方に行き、リズに動きを止めてもらう事を教える。

「だから、その時なんでもいいからあいつに当たりそうな攻撃をしてくれ」

「うーん、わかった。やってみるね」


そしてリズの魔法でドラゴンの動きを止め、そこに沙月が持っていた武器を投げる。

「ぐぁっ!」

それはドラゴンを串刺しにする。

「やったか?」

地面へと落ち、腹を押さえながらフラフラと立ちたがる。

流石に一発じゃ無理か?

「フッハハハハハ」

黒いドラゴンが急に笑い始める。

なんだ?気でも狂ったか?

「まぁ最初から勝つことなんて考えていませんでしたよ…最初から負けるのは分かっていました…だからーーー」

そういうと何やら石のようなものを俺たちに見せつけてくる。

石?何か書いてあるようだが、

「アレは!」

リズや勇者達も何かを叫んでいたが。 

けど、もうその時には俺たちは光に包まれていた。


「そして気がついたら元の世界に帰ってきたいた…」

今、この状況を確認すると、俺は腹を怪我している。

これは沙月に斬られた傷だ。

「俺生きてたんだな…」

室内を見渡すが、他の患者さんはいない…

「もしかすると、“夢“だったのかもな」

そうあの異世界は俺の夢の中のことでアレは現実じゃない…

だって別の世界だなんてゲームでもあるまいし…

その時、病室のドアが開く。

「とも」

「っ!」

そこに立っている人物に驚き、あまり目を見開く。

「……リズ」

そうそこに立っていたのは異世界で一緒にいたリズだった。

「けど、お前ツノが」

魔族であるリズだがたしかについていたツノがなくなっている。

「何がどうやってるんだよ…」

「それはーー」

元の世界に帰ってきた…アレは夢じゃない

けど、このままでいいんだろうか?



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