第8話別れ

それから何人か婚約者候補が来られました。

その度に、私の心は騒ぎます。

こんな気持ち初めてです。

どうしていいのか分からず、落ち込んでしまいます。

何故って。

ナーバ皇子が、他の女性と喋る度に、悲しくなります。

ナーバ皇子が、他の女性と喋る度に、辛くなります。

ナーバ皇子が、他の女性と喋る度に、胸が痛くなります。

ナーバ皇子が、他の女性と喋る度に、泣きたくなります。

どうしていいのか解りません。

「どうされました?なんだか・・・」

言葉を濁され、不安そうに私を見ました。

「・・・わかりません。ナーバ皇子が、他の女性の方と一緒にいるのがとても嫌なんです。分かっているんです。おかしな事を言ってるのは・・・でも・・・すごく、嫌な気持ちになります。私とだけ、お話しをして欲しいと思ってしまうんです・・・」

「・・・!」

申し訳ありません・・・。驚きますよね。なんて・・・なんて・・・我儘なんでしょう・・・

逃げたくて、離れようとしたら、抱きしめられました。

「・・・サリア、答えてください」

今までに聞いた事のない真摯な声が聞こえました。

「私が、貴女の事しか見ません、と言ったら、どうしますか?」

「・・・そんな、夢のような事があるのでしょうか?」

目と目が合った。

ナーバ皇子は優しく微笑むと、私を部屋の外に連れ出した。

「サリアを、屋敷に返しなさい」

・・・え・・・?

それだけ言うと、私の手を離し、扉を閉めた。

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