第4話その夜

「サリア、近づいてもいいか?」


そんな事聞かれたのは、ここに来て初めてです。


隣で寝ている、ナーバ皇子が聞いて来ました。


勿論、断ることは出来ません。


皇子の言葉ですから。


でも、なんでしょう・・・。顔がほころんできます。


「・・・はい」


頬が赤くなる。


そっと、私を抱きしめました。


胸がドキドキします。


「昼間のは、嫌ではなかったか?」


不安そうに聞いてこられたので、首を振りました。


「・・・いいえ。すみません、初めてだったので・・・どうしていいのか分からなくて・・・。凄くドキドキして・・・少し恥ずかしかったです」


「また・・・可愛いことを・・・。サリア、私の方を見てくれるか?」


「はい」


言わるように顔を少しあげると、ナーバ皇子と目があった。


真っ直ぐに私を見つめる瞳は、とても優しく、いつもの怖い感じはありませんでした。


「サリア、口を開けて」


「?」


意味が良く分かりませんでしたが、言われるように口を開けました。


すると、ナーバ皇子が、口づけと同時に舌を絡めて来ました。


「・・・!」


身体が痺れるような、甘い気持ちが、全身を走りました。


私を抱きしめる腕が、より私を引き寄せ、薄い夜着を通してナーバ皇子の大きな手が、腰から、背中を動いていきます。


絡めくる舌をどうしていいのか分かりませんでした。


もし、口づけをしていなかったら、きっと淫らな声が出ていたでしょう。


それくらい、絡めてくる舌が、わたしをおかしくしそうでした。


ナーバ皇子の前で、恥ずかしい事です。


ゆっくりとナーバ皇子は離れると、熱い眼差しを向けました。


「驚いた?」


「・・・はい。でも、少しずつ上手くなるよう努力致します。ですので・・・」


「ですので?」


「もう一度・・・」


知らず口から出ていました。


「サリア・・・ああ・・・なんてか可愛い事を・・・そんな顔で・・・」


その夜、幾度もナーバ皇子は私に口づけをし下さいました。


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