第37話 納骨費用

 納骨が終わってほっとしていると、後日、奥方から連絡があった。

 納骨費用を直接石屋に納めてくれ!と言う。

『んん?』

 本来なら、納骨当日に納めるべきだったらしい。

『なんと婆さん!前もって教えとけよ!不親切なんだよ!』

 私は心の中で叫んだ。

 それまで、法事を取りしきっていたのは祖母だった。

 それにしても、だ。

 母は経緯を少しは見ていなかったのだろうか……?

 あらかじめ、私に伝えておけばよかったのではないか?

「おいくらですか?」

「◯万円です」

 意地悪婆さんでは埒が明かないので、私は直接石屋に連絡した。

「住職の奥様に納骨費用を直接納めてくれと言われました」

 石屋が口座ふり込みではなく現金書留にしてくれと言うので、私は郵便局の窓口から◯万円を送付した。

 それにしても、だ……。

 不審に思ったので、いろいろ調べてみたのだが、法事費用(※納骨までの安置を含む)と納骨費用が別だとすると、法事費用が相場より高すぎやしないか?

 私は住職に

「全部やりますよ」

と言われたので◯0万円を納めたのだ。

 値切る前の向こうさんの提示額は、私が納めたお布施の2.5倍だった。

 祖母なら、ふたつ返事で納めたのだろうか?

 このご時世、そんな大金をホイホイ納める檀家がいるだろうか?

 坊主丸儲けとはよく言ったものだが、すべてが不透明で謎だった……。


 後日、石屋から領収書が送付されてきた。

 


 

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