暗黒に落ちて、復讐が始まります

田中 幸樹

第1話

  フォーネ王国 王都


 スラム街の入り口 影の中で私は立つ


男が近づいて来た


私は、指を3本立てる


男は銅貨3枚を差し出した



 男が去っていく


子供がやって来て 私は銅貨1枚を渡す


先程の男で、今日は3人 銅貨6枚の収入




 「明日も、生きてられるか・・・・」




自分自身でもわからない、独り言 ホッとしたのか 






 残念なのか



屑野菜、屑肉を煮込んだスープ 銅貨2枚 カビた部分を削った固い屑パン 銅貨1枚


 それを、昼と夕方に食べる


男が来ないと 夕方だけ 悪ければ 食事はなしだ


明日の糧も稼げたので 寝床にもどる


スライム街のボロボロの3階建ての建物


1階には、ハンター崩れの男達が酒を飲んでいる


男達の間を抜け 階段を上がり 寝床でうずくまる

 


 少し離れた場所から 咳が聞こえる




 「ゴフォ、ゴフォ、ゴフォ」


たしか、あそこは猫獣人の女の寝床だ


3日前くらいから、時折咳き込んでいる


あの猫獣人の女は今日はとうとう稼ぎに出なかったようだ



 このまま、終わりかな 



どのみち、明日 稼ぎに出なければ路上に捨てられるか川にでも捨てられるか




 「ゴフォ、ゴフォ、ゴフォ」


咳が止まらないようだ、ただ ただ うるさい



 立ち上がり、猫獣人に近づく 


 「ハー、ハー、ハー、ゴフォ、ゴフォ、ゴフォ」


 ああ、もう駄目だ


 死相がでている


 死ぬのか、、、、、、楽になるのか、、、、、


 楽になるなんて、許さない。


 「この者に慈愛を、癒しの光・・・・・」


 何も起こらない。



  そうだろう そうだろう



  聖女だったのは はるか昔の事だ


 ああ、このままでは死んで楽になってしまう


 もっと もっと生きて一緒に苦しもうよ



  (スキル 水葬 を習得しました)

  (対象を水で包み 窒息死させます)



あらら、何十年ぶりかに メッセージが脳内に流れる



 要らない 


だって死んで欲しくないのだから


  ザーーーーーー ザザーーーーーザザザ



  (スキル 苦痛の癒し を習得しました)

  (対象の怪我 病を癒しますが 苦痛はそのまま残ります)


 ああ、感謝します。



 「この哀れな獣人に苦しみを 苦痛の癒し」


獣人の女を闇が包む


闇が晴れると、獣人の女からは死相が取れ 安らかな顔をしていた


 呼吸は正常で咳は止まったようだ


目を開けると、胸を押さえ苦痛に顔を歪ませた


 「クルシイ、イタイ、イタイ」


 「もう大丈夫 病は癒えたわよ、死んだら駄目よ」


 「クルシイ、モウ コロシテ」




 「嫌よ」




 若さを失った獣人の女には、なかなか稼げない仕事だ 辛いのでしょうね


獣人の女は涙を滲ませ目で見てきたが、すぐ目を閉じて丸まって痛みを堪えだした。



 聖女だったのは、遥か昔 20年も前の話だ


貧乏貴族の家に生まれた、豊かでなかったが愛されて育ったと思う。


15歳の洗礼の義で神託が下り聖女に選ばれた 使命も授けられた勇者と共に魔王を討伐せよと。


同じく神託を受けた勇者と神に選ばれた上級職でパーティを組んで、魔物討伐をしながら魔王の討伐情報を集めだした。




 女剣聖 女聖騎士 女賢者 と男勇者と私聖女の5人パーティだった。


 私はパーティ結成して間もなく勇者から、告白された。


  「君の事を愛してる、こんな困難な状況だけど君が一緒にいてくれたら 必ず 魔王を討伐して平和な世界にしてみせる」


  「うん、私も愛してます いつまでも あなたの傍にいます」


勇者は優しく美しい少年だった、私も一目惚れだった。


告白から数日で男と女の関係になった、幸せだった。



 でも 勇者は勇者だった。



女剣聖 女聖騎士 女賢者が勇者に告白した、そしてハーレムパーティになった。




 「私は貴方一人を愛しています、だから 貴方も私一人を愛して欲しいのです」




 勇者は優しい笑顔で、




 「勇者として、僕が愛し僕を愛してくれる女性は全て妻にするつもりだよ、それに魔王討伐が達成した暁には、上級貴族に任命され王族の女性を正妻に迎える事は決まってるしね」




 ああ、最初から愛妾枠の一人だったんだ・・・・・・・




 女剣聖 女聖騎士 女賢者は、納得どころか当然な事として捉えているようで、横で私と勇者の話を聞いていた。




 私には無理だった・・・・・・・・




 勇者パーティを抜けた。




 そして、聖女の力は失われ魔力もない私は ただの平凡な女にもどった。


自宅は豪華な屋敷になっていた。


私が聖女になったことで、王家から 貴族から 神殿から多額の金銭が送られていた


家族は聖女でなくなった私に恐怖した


質素で倹約して暮らしていた貧乏貴族の家族は、多額の金銭を得て溺れて腐っていた。


さすがに、王家や神殿からはなかったが、貴族からは聖女で無くなったからと、送った金銭を回収しにきた それどころか 送った金以上をむしり取っていった。


権勢を待たない金を持った下級貴族など、上級貴族から見れば良い金ずるだったのだろう。


自宅の維持の為に、金持ちの太った中年商人の愛妾になった元聖女なので高く売れたと思う。




 10年で飽きられ、娼館に売られた・・・・・・・すでに、実家は破産して離散していた。


そして、娼館で10年近く働き お客が付かなくなった頃


 「ここで処分されるか、スラムに行くか選べ」


娼館の主から言われた。




 そして、スラムに流れた。




 スラムでは生きていくためにハンター崩れ達が仕切る組織に入り、スラム入り口近くの陰で安い金で男の相手をした。



スキルを得ることは非常に珍しい スキルはⅯPを消費せずに使用できるが、一日の使用回数に制限があったり、リキャストタイムが有るのが一般的だ。


また、通常スキルを得るには長い修行が必要だ、人なら一生を費やしても得られない時もある。




 ただ、神から選ばれる職業持ち 所謂 上級職業持ちは簡単に職業に必要なスキルが得られる、その事から私は何らかの職業を得て、スキルを得たと思う。




 が、スキルの内容から普通の神でもなく 職業もないだろう。


さて、職業とスキルを得れたら、もう ここに居る必要もないだろう


まだ、男待ちしている仲間が帰ってくる前に出ていこう。


一階に降りると、ハンター崩れ達がまだ酒を飲んでいた、女を食い物にして飲む酒は美味しいのだろう、楽しいのだろう。




 楽しそうだから、死んで欲しい。




 「水葬」




 5名いた男たちに水の塊が纏わりつき、口元に近ずいていく。




 水の塊はどんどん体積を増やして、男たちの顔を覆った 慌てて顔を覆う水を手で払うが すぐ水が覆う。




 たまに、息が吸えるので なかなか死なないが、その分苦しみが長引いてくれる酸欠で顔を真っ赤にした苦痛の顔を見せる。




 楽しい・・・・・・・苦しめ・・・・・・・・苦しめ






 死んだ




  スラム街を出ていく、スラム入り口の影から男待ちの仲間達が見送ってくれた。






 一般住民の街に入ると、健康そうな人たちが沢山笑顔でいた。


まだ、日が沈んで間もないので これから夕食を仲間と食べに行ったり、自宅で家族そろっての夕食かな




 全部 燃えてしまえばいいのに、、、、、




  (スキル タンポポ を習得しました)

  (フーと息を吹きかけると タンポポの種が風に乗って願いを運びます)






  「タンポポ」


手の中にタンポポが現れた


フーと息を吹きかけると タンポポの種が空に舞い上がり 綿の部分が燃え盛る そして風にのり街に広がっていく




 綺麗




 「タンポポ」




 フー




 「タンポポ」




 フー




 ・


 ・ 


 ・


 ・


 ・


 何度もスキル発動し、フーと息を吹きかける。


使用回数もリキャストタイムも無いかのように、タンポポは現れる。


周りに目を向ければ、いたる所から火と煙が上がっている。




 街の人達が、キャーキャー言いながら走っている、楽しそうだ。




 不幸になって欲しい。




 「タンポポ 苦痛」




  フー




 ・




 ・




 ・




 ・




  街中は火と煙、苦痛で倒れて苦しむ人で溢れだした。




 「お前、何をしている」


あらら、衛兵さんとハンターさんが周りを囲んでます。




 「フー フーしてますよ」


 「拘束しろ」


あら、素早い判断ですが


間違いですよ、殺さないと止まりませんよ




 「水葬」


周りを囲んだ皆さんが、顔を水に覆われ踊ります 踊ります 踊ります


 楽しいパーティーの始まりですね。



 さて、次は貴族達の街 そして神殿 王城 久しぶりに王都散策しましょう。


  フー、フー、フーーーーー


火のタンポポ、苦痛のタンポポを歩きながら息を吹きかけます。


火と煙と苦痛の声が、私に歓喜を与えます。



 貴族街の入り口には、5人のパーティが待ち構えています。


男一人 女4人 ・・・・・・・


若く美しい少年 あの人の面影が




 勇者の子供


ああ、私もあのハーレムパーティにいれば こんな子供が・・・・




 無いわ~~~~~!!




 燃えろ~~~!!




  (スキル 苦痛の炎 を習得しました)

  (炎が皮膚を焼く 永遠の痛みと痕を与えます 治療不可)


 「ハーレムパーティは嫌いなの、燃えろ女 苦痛の炎」


炎はさほど大きくはないが、女4人に複数個ずつ 炎が発生した。




 「キャー」




 「熱い~~~」「痛い」




 4人の女は、地面を転げまわっている 火を消すのに必死のようだ


消しても、痛みと火傷の痕は残るから 頑張って生きてね。




 少年が、助けようとオロオロしている。


ガバッと、少年を捕まえる、抱きしめる、締め上げる。




 「ねえ、お父さんは?」


 耳を噛んで舐める


 「はう、父は王城に母達と共に警護に、、、」


 唇を重ね、舌を入れる そして 舌はカラミ暴れだす。




  ああああああ 子供欲しい




  (スキル 子種完全奪取 を習得しました)

  (対象の子種を完全に全て奪い、その後生産不可にします)




 舌を抜いて 




 「子種完全奪取」




 「おううううう」




 少年が股を両手で抑えうずくまり悶えてます。




 少年の髪を掴み、顔を上げ




 「どの女の子供?」




 「・・・・・・・・・・・・・」




 うひうひひ 楽しくなりそう。



少年は、股間から手をはなし、腕を振り上げました。




 その手には、聖剣 ユニバース 生命の光を刀身に宿せし世界剣


振り上げた剣は、天を差し世界が光を放つと光が刀身に集まり




 振り落とされた。



左腕で、防御したら間合いが悪かったのか掠っただけでしたが


あらら、剣が当たった左腕が刀身からの光が移り光になっていきます。




 綺麗です。




 反吐が出るわ~~~~!!


光に包まれ分解されていく左腕


左腕を肩口から、もぎ取ってやりました





  少年から飛びのいて距離を取ります。




聖剣に更に光を集めています、勇者覚醒かな。






  今、滅ぼされるのは嫌かな




 もっと、悲しい顔が見たい もっと 苦しむ顔が見たい






  全てに絶望した勇者の あの人の顔が見たい






 萌える~~~股から頭のてっぺんに快楽の波動が突き抜ける~~~~~




  「タンポポ」




 目の前には、優しく柔らかなタンポポが大量に広がります






 フ~~~~~~~~~~~~~






 右から左にタンポポの種を息を吹きかけ飛ばします  


少年との間は、火の壁が出来上がり


さらに種が空に舞い 貴族街に広がり 燃え上がります。






  逃走








  今、目の前に魔王が王座に腰かけ私を見下ろしています。


その魔王の目は、全ての生きとし生ける者に絶望し、ただただ終末を望むものです




 私は跪き頭を垂れます、その絶望の魔王の瞳に




そして、今後の私の計画に対して協力を得ることが出来ました。




 そう、高齢出産計画です。


勇者の孫にして 将来の女王の孫です。


あの少年勇者の母は王の一人娘で、後の女王になる姫でした。


沢山産んで、大暴れさせて子殺し孫殺しをして貰い、絶望してもらいましょう。




 今から、ワクワクが止まりません。


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