マヂ友情だから


「そういやランクって何のためにあるの?」

「ランクでギルドのできる仕事が変わってくるんだ。弱い人に強いモンスターの討伐は任せられないからね」

「おばあちゃんがスマホを使いこなせないみたいな感じ?」

「例えが微妙だな……まあ、君は最高レベルとはいえ、まだ慣れてないからグループギルドに加入した方がいいよ」


あたしは部屋を移動した

最上位ギルド室って書いてある部屋の前に来た


「めっちゃ広い」

学校のクラスルーム二つ分くらい?赤いカーペットが引いてあるし上にはシャンデリアが下がってる

「ここは最上ランクの人しか入れない場所だよ」

「まじ?VIPじゃん」

ホテルの中みたい

星野リゾートじゃん。行ったことないけど


「お前がSSSランクの女か?」

キョロキョロしてたらなんか話しかけられた

金髪の釣り目のイケメンだった


「俺のことは知ってると思うが改めて言ってやる。ウェイス・アルガリオだ」

え、知らん誰?

「お前がなあ……はッ、笑わせるぜ。イヴァール人でもない異国のお前が最強なんてな」

ウェイスはそう言って一人でなんかウケてる

クマに話しかけた

「どうしよ、あたし美女だからナンパされてる」

「違うよ。君が強いのか疑ってるんだよ。君はSSSランクだからね」

「え、あたし超有名人になったの?やば、サイン書く練習しとけばよかった」

「君のランク情報は一部のランク上位層しか知らないよ。SSSランクなんて一般の人に知れたらパニックになっちゃうからね」

「サインしたかった・・・」

あたしたちが話してるとウェイスが勝手に話を進めた

「お前ギルドも知らないんだってな。丁度いい。俺のメンバーを見せてやる」

「え、別にいいんだけど」

「よし、こっちに来い」

話聞かないタイプ・・・

ウェイスとかいうやつにずるずると引っ張られて仲間のいるところに連れていかれた

なんか面倒なことになった・・・

「お前ら!こいつがSSSランクの女だ」

「俺たちのギルドメンバーを紹介する。まずはこの俺、剣士職のウェイス・アルガリオ。知っているだろうが我がアルガリオ家はイヴァールでも三大貴族と言われている。その中で最も名誉ある一族だ」

なんか難しいこと言ってる・・・

すごい偉い地位の人って感じ?

あたしも対抗して言ってみた

「あたし福田家。真由美と博の娘。特技はキメ顔。好きなのはタピオカ。あ、でも冬はタピオカ飲まない。寒いから」

クマが呟いた

「圧倒的にしょぼい……」

ウェイスから4人くらいメンバー紹介されたけど覚えきれなかった


ウェイスがギルドの受付に行って戻ってきた

「おい、女。お前をメンバーに加入させた。どれほど強いのかお手並み拝見だ」

勝手にメンバーにされてる・・・

「集まって何やるの?バンド?」

「なんだそれは?やるのは太古龍討伐だ」

ウェイスが紙を見せてきた

龍のイラストが描いてある

「討伐先は超伝説太古龍だ。近頃暴れるようになって被害者が続出してる。早めに狩っておかないとな」

ウェイスがメンバーとあたしに向かって言った

「太古龍はものすごくデカい。その大きさは成獣のエピソピソに匹敵する。マッピョしてくるからソオーンしておけよ」

用語が専門的で意味わかんない・・・つら・・・

「女、ぼーっとしてるが理解できたか?」

「とりま倒せばいいでしょ?」

「フン、説明もいらないなんてな……頼もしいことだな」

「えへ」

クマが言った

「嫌味を言われてるんだよ」


討伐開始になって太古龍のいる谷に向かった

登山したことないから楽しみにしてたら転送魔法で近くまで送られた

ショック

森の中だと思ってたけど岩だらけで木が全然ない

「ハイキングできると思ったのに」

クマが言った

「遊びじゃないんだから」

ウェイスが岩山の中の一番でかい岩を指さした

「いた。あれが太古龍だ」

「え、岩じゃん」

近くに見に行こうとするとウェイスが止めた

「普段は岩山に擬態してる。獲物が近づくと攻撃してくる」

見てたらそれが動いた

アルマジロみたいに丸まってた

立ち上がると一軒家くらいの大きさになった

太古龍でか

岩みたいな肌してるから堅そう

「こっちに気づいたか!ここは俺様に任せろ!グロウ・ライトアロー!」

なんか指先が光ってかっこいい技出した


弓みたいな形の金色の光が太古龍めがけて飛んだ


うわ、めっちゃきれい。合コンでやったらウケそう


カキン


光が太古龍の鱗に弾かれていい音がした


「何っ!」

ウェイスがびっくりした


ドラゴンの体に紫色に光る筋が走る

あれみたい、葉っぱの筋

何かキモイ

「なんだこいつ……!こんな姿見たことがない!……グロウ・ライトアロー!」


カキン

カキン

カキン


いっぱい手から光出したけど全部跳ね返されてる


「くそっ!硬化した鱗が手強い!魔法耐性がある!」

ドラゴンが口から黒い炎を吐いた

「くっ、インフィニティ・ライト!」

ウェイスが光るガードを出した

ガードが炎を遮る

炎がウェイスの姿を包んだけれどガードのおかげで無事だった

ウェイスがこっち見て叫んだ

「女!こいつは危険だ!闇のドラゴンの影響で強くなってる!……っくッ!」

太古龍のしっぽがウェイス目掛けて振り下ろされた


ガシャーン


ウェイスは間一髪ギリギリセーフでよけた

しっぽが地面をたたき割る

地面めっちゃ揺れる

太古龍こわ

メンバーのみんなも魔法を太古龍に飛ばすけどみんな弾かれてる


あたしも技出そ

「あついやつ!」


ドーン


太古龍は死んだ


周りが静まり返った


みんな呆然として言った

「え……?今の何……?夢……?」


全員ぽかんとしてる


え、気まず・・・


「なんかしらけた空気になった・・・」

「うん……君は悪くはないけど……」


つら・・・・・・


微妙な空気になってみんなギルド本部へ帰っていった


あたしも帰ろ・・・

そのとき、残っていたウェイスが声をかけてきた

「おい」

「え、なに」

ウェイスが何か言いたそうにしてる

クマに聞いた

「あたし告白される?」

「それはないと思う」

ウェイスが口を開いた

「悪かったな」

「なんで?」

「お前はイヴァール人でもない、ましてハンターでもなかった。それでお前を認めたくなかった。けれどここまでアホみたいに強いと張り合うこともバカバカしくなった。悪かったよ。詫びになんだが……これをやる」

貰ったのは鍵の形のペンダントだった

「え、プロポーズされた」

クマが首を横に振った

「違うよ」

真ん中にドクロがついてる

キモかわいい

リボン付けたらイケてるかも

「これは闇のドラゴンの結界を解くカギだ」

「へえ、キーホルダーにしよ」

クマが言った

「もっと丁寧に扱ってよ」

「俺たちが闇のドラゴンはSランク最上位の俺たちが討伐しに行くつもりだったがお前が持っていたほうが相応しい」

「ありがと」

「あの……俺でよければ正式なお前の仲間にしてくれないか。お前の強さに惚れた。お前に付いていきたい」

「え?」

「いや、お前じゃないな。……勇者」

「いまさら仲間にするの?なんで?」

「……そうだよな。俺が今更こんな……」

「もう仲間じゃん。うちら」

「お前……」

あたしは言った

「一緒にバトった仲っしょ。ダチだよ」

ウェイスがハッとした顔になる

「あ……ああ……!」

ウェイスの目に涙が浮かんだ

やば、あたしもなんか涙出そう

横でクマがつぶやく

「なにこれ?ここ感動するシーンなの?」

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