セオリー通りの泰山ディック

 世に住む神獣の話をしようではないか。

 それは雲の上に住み、我らを見下ろしている。その角には聖液がみなぎり、神々しい光が宿る。

 いななく声は天を割り、あらゆる悪天をものともしない。

 それは我ら人間とは道理を相入れないものである。それはおよそ人間的な倫理に興味を持つことが無い。それは角を用いて、珍重なつがいの性器の味を確かめるのである。

 それに生殖の能力などは無い。どだい不老不死ゆえに、生殖の必要など無いからである。それはただ快楽のゆえに性器を突く。神様が人間に裁きの雷を落とす、そのような威厳も威光もまるで無いテクニカルなセックスのテクニックだけがそこにある。

 神獣の名は「ギンギラギンに味噌カツ秀樹」、股の名を「凄絶なオムレツブランチ」。卵を割り、業火で焼き尽くし、宇宙をそこに見出すのだ。

 さすれば我らの生きるこの世界に一つの真理が見出される。我らの生きるオムレツ宇宙とは、即ち、生殖の否定に他ならないのである。卵を焼き、そこに潜在するあらゆる受精の可能性を否定し、宇宙は成り立つのである。しかし、それゆえに宇宙は堅固な空間と寿命とを保つのである。そう、生卵のようなリキッドな生命ではなく、オムレツのようにソリッドパワーを持つのである。

 陰茎よ、立ち上がれ!重力に逆らえ!そして、我が生命の果てに描かれる放物線に、一羽のウサギを据えよ。それはあらゆる生物的営みとは無縁の悪事であることを私はここに告白する!

 きぇい!!!!!!!!

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