ウィンナー食って満足か?
もしもしー。あ、うん、今、そう、駅のドトール。
いや、別に待ってないよ。というか、バスが思ったよりも早くついて……そうそう。タクミは今どの辺?
……あ、そうなんだ。なんか用事ができた感じ? いやいや、いいのいいの別に。映画館くらい一人でも行けるし。まあ楽しんでくるよ。今度また一緒にいこ? 私は一足先に推しの死にざま見て耐性つけとくから。タクミの前で号泣したらちょっとアレでしょ? どうせ3回はノルマだったし。
……ん? いや、何でもないよ。うるさいっていうか、実は立て込んでるっていうか。……うーん、変な客……まあ、変な客かな。
ウィンナーコーヒーの妖精って知ってる? あの、この辺の都市伝説なんだけどさ……ウィンナーコーヒーを飲んでると、目の前に突然50代くらいの全裸のおじさんが現れて、ちんぽでコーヒーをかき混ぜてくるっていう。味にコクを出すんだってさ。ていうかこの話タクミから聞かなかった? あれ、誰から聞いたんだろ。
そうそう。今まさにそういう状況でね、50代くらいの全裸のおじさんが私の目の前にいるわけ。童顔のおじさん……いやいや笑、童顔だけど、50代くらいっていうのは分かるんだよねぇ。皮膚の感じというか。
でね、今ちょうどおじさんが熱々のコーヒーにちんぽ入れたんだけど、火傷したみたいですぐに引っこ抜いちゃった。笑えるよね。ちんちんの先真っ赤にしちゃって笑。あ、これは元々そういうものなんだ。へえ。
……いやいや、飲むわけないじゃん笑。おじさんに自分で飲んでもらうから。
ん? いや、別に来てない。不思議と誰も通報しないんだよね。誰も助けに来てくれないし。なんか、この店の客が徒党組んで私のウィンナーコーヒーにちんぽを入れようとしている感じ? みんな傍観してるんだけど、不思議とおじさんを応援してるような眼差しなんだよねぇ。
あ、今おじさんがもう一度挑戦した。今度は、クリームの部分を撫でただけだね。最初の火傷をだいぶかばってる。……クリームも火傷跡に染みるみたいで、結局また悶えちゃった。
何物なんだろ。何のためにこんなことしてるんだろ。なんか、不審者とかって感じじゃないんだよね? すごく真剣に、ちんぽでコーヒーをかき混ぜようとしてるの。うん、なんかおかしいよね。
あ、三度目の正直。おじさんが中腰になって、応援団みたいに後ろ手組んで頑張ってるよ。あ、クリームの部分がようやく割れた。モーセみたい笑。モーセ知らない? あの、海パッカーンって割る映画。内容? 知らない。髭おじさんが海を割る映画。
あ、おじさんがようやくちんちんの根元まで浸したよ。もうだいぶかき回したんだけど、まだまだ足りないみたい。結構しんどそう。
…………………がんばれ。
おじさんの渋い顔、タクミにも見せたいね。机に載って、インリン・オブ・ジョイトイみたいな恰好でコーヒーをかき回してる笑。おかしいね笑。
あ、ようやくちんちんを引っこ…………抜いた…………。あれ、おじさんのちんちんに、指輪が……。
――あ、タクミ。何、もう来てたの? え? この指輪……私の?
あ、フラッシュモブ…………ああ、はいはい…………。
ああ…………。へ? 返事? いやです。
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