世界はこんなにも美しい

荒瀬 悠人

第1話

 僕は週に一度、姪っ子の面倒を見ている。

 君が現れてからというもの、空っぽだった僕の世界に、彩りを取り戻してくれた。


 君の軽快で不規則な足音は、まるでパッヘルベルのカノンのようだ。

 希望に満ちた温かな笑顔は、僕の心の蝋を溶かしてくれた。

 こんな無様な僕が差し伸べた手を、なんの疑いもなく握り返してくれる。

 君の何気ない行動が、僕にとって絵に描いたような幸せで溢れている。

 大好きな君は、いつの間にか大人になっていく。

 柔らかな胸も、ますます膨れてきているね。


 僕の気持ちを箱に詰めて、プレゼント出来たなら、君はどんな顔をしてくれるだろう。


 君の成長を見守れるなんて、本当に嬉しいよ。


 じゃあ、また来週会おうね。

 お兄ちゃんは待ってるよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界はこんなにも美しい 荒瀬 悠人 @arase_yuto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る