第9話 路上の日常。膝丈から見た風景。暴走族編!

 前回までのあらすじ


 普通のブラック企業B社で(あー、仕事辞めてぇな~)と思いながらも働くGhost。仕事の合間に駅前の路上で絵を描いて色々な人との交流を続けていました。

 今回のエピソードでも路上で起きた出来事を暴走族の少年たちにフォーカスしてご紹介します!




〇エピソード・オブ・走族


・僕の隣で喧嘩しないでください。


 とある週末の夜。

 週末の夜ですのでこの駅の風物詩、走族達の鳴き声がブンブン、ブブブンと聞こえております。


 その日は駅の西口と東口を繋ぐ連絡通路で絵を描いていました。駅のホームへつづく通路から離れた場所なので人の数はやや少なめ。

 そんな場所だからか特攻服トップクを着た少年たちが闊歩する姿もチラホラ。


 まぁ、走族の少年達もただ絵を描いているだけの僕に絡んで来る事はないので、特に気にすることもなくスケッチブックに向かっていたのですが、連絡通路に響いた突然の怒鳴り声に顔を上げました。


 連絡通路の向かい側、距離にして五、六メートルくらいの所で二人の少年がめっちゃ喧嘩してました。


 いや、喧嘩というか、先輩格が後輩格を壁に押さえつけて怒鳴りつけ、後輩格が「すみません、すみません」って謝ってる。

 え~、なにこれ~。こわ~い。


 で、自己防衛がしっかり出来る人であればこのような場面に遭遇した時点でその場から離れるのだと思います。君子危うきに近づかず……昔の人の言う事はやっぱり正しい!


 ですが、そこはアホの子の僕、Ghostです。


 とりあえず、絵を描く手を止めて、ジー――――――っと様子を眺めていました。内心、


Ghost

(なにこれ、なにこれ! 面白そう!)


 とか思ってはいません。思ってはいません!


 先輩格は多少、拳でポコポコ殴っている様子でしたが拳の握りが甘い。腰を入れて打撃を打っているわけじゃないから、あれは叩かれても大して痛くない打撃だと予想できます。

 柔道等のの経験者なら簡単にできるんですが、例えば壁に押し付けつつ奥襟をつかんで頸動脈を締め上げたり……と言った様子もなし。

 うん! これはジャレてるだけだね! 後輩の方はマジでビビってるみたいだけど。

 でも、知らない人が見たらビックリするから止めておきなさいな(笑)




・駅構内で走るんじゃない!


 別の日の夜、これまた連絡通路で絵を描いているとダッシュで近づいてくる気配がありました。顔を上げると高校生? 大学生? 風の少年が息を切らせて僕の前に立っています。服装や立ち振る舞いはいたって普通……ちょっと落ち着きがない雰囲気かな? ってくらい。


Ghost

「どうかしました?」


少年

「あいつらバカだよね。あんなところで座り込んで。バーカ、バーカ」


 と”あいつら”と指さした後に再び猛ダッシュ。いったい何なんだ?


 で、少年が指さした先では暴走族の少年たち五~六人が地べたに座って駄弁だべっておりました。

 まぁ、駄弁だべっているだけで特に目立ったことはしていません。

 これを馬鹿だと言ったら駅のベンチでクダ巻いた挙句にゲロゲロやってる酔っ払いとか、女性や子供にタックルするオジサンとか、路上で木刀振り回して通報される役者Aとかの方がよっぽどバカです。


 特に気にするような事でもないかな、と思って絵を描くことを再開したのですが数分後、再び猛ダッシュする足音が……。

 顔を上げると目の前を駆け抜けていく、ついさっき僕に声をかけてきた少年。


 そしてそして、その少年の後ろをダッシュで追いかけてるのは暴走族の少年たち。


「待て、こら!」

「マジ、舐めてんじゃねーぞ!」


 みたいな怒号と共に僕の前から彼らフェードアウト。おいおい、穏やかじゃないな~。


 僕の予想では少年が特に悪さをしていない暴走族たちにちょっかい出したんだろうなぁ、と思うのですが詳しい事はよくわかりません。

 その後、お巡りさんが僕の前を小走りで通り過ぎていきます。ホント穏やかじゃないな~。と言うか、お巡りさん走るの遅っそ!!




〇意外と繊細。暴走族の少年たち。


 なんやかんやで騒動を巻き起こす暴走族の少年達ですが、悪い子ばかりではなかったように思えます。いや、中には悪い子も居たと思いますけれど……。


「すっげー。絵描いてる」


 ある日の事、そんな声に気が付いて顔を上げると目の前には特攻服を着た数人の少年たちが立っていました。


Ghost

「絵葉書にしているんで、良かったら見ていってください」


暴走族の少年

「へー、すげぇ。今どんなの描いてんスか?」


 一人の少年が凄く興味津々な様子で僕に話しかけてくれました。取り留めのない会話の後、彼は絵葉書を一枚買ってくれたのですが、体育会的な下手くそな敬語や、髪型や歩き方はギラギラしているのに無理に背伸びしていない表情や態度など、とても好感の持てる少年でした。


 まぁ、興味なさそうに少し離れた所で僕らを見ている少年も居ましたが(笑)


 《袖触れ合うも何かの縁》と言ったものですが、この後数年、この少年と会う事はありませんでした。

 がしかし、数年後に彼と再会した時、名前も知らないし、今や顔も覚えていないこの少年が僕の人生をちょっとだけ後押しするキッカケを与えてくれました。

 が、これはまだだいぶ先の話。


 to be continued(/・ω・)/

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