第19話 股間が覚醒しました。サキュバスをまとめて腰砕けにしてやっつけました






 そんなこんなで俺たちはサキュバスの娼館に辿り着いた。

 サキュバスの店は高級志向のようで、他のところとは明らかに店構えからして違った。

 しかも、女の子のレベルはさっきのエルフの店と同じく超絶なハイクオリティだ。

 ただ、エルフの店と違うところもある。

 あっちはみんな清楚な感じの服装だったんけど、サキュバスは完全にセクシー系の服で攻めてきている。

 ほとんど半裸の下着みたいな子もいて、見ているだけでドキドキしちゃう感じだ。

 まあ服のセクシー加減で言うと、ウチの嫁は出会った当初は色々丸出しだったけどさ。

「お客様、どの娘を選ぶのでございますか?」

 店に入ると同時に物凄い別嬪の爆乳さんが声をかけてきた。

 年齢は20代後半くらいかな?

 銀の長髪にほんの少しだけ浅黒い肌、胸元が大きくはだけた派手なドレスが良く似合った人だった。

「えーっと……コースとかオプションとかは無いんですか?」

「ウチは何でもアリなのでコースやオプションはございません。女の子を選んでいただければ、あとはご自由にしていただければと」

 何でもアリだと?

 これはいきなり凄い言葉が飛び出してきたな。

 何でもアリってことは、あんなことやそんなこともアリってことだよな? 

「うーん……それだと、一番高い娘だと誰になっていくらになるんですか?」

 まあ、金はあるからな。

 多少は贅沢してもバチは当たるまい。

「一番高いとなると、店長である私ですね」

 唇をチロリと舐めて湿らせ、爆乳お姉さんはニコリと笑ってそう言った。

「貴女……ですか?」

「私の金額は2時間で金貨30枚となりますが、どうなされますか?」

 おいおい、日本円換算で2時間で30万だと? 普通の人の月収分じゃねーか。

 いや、でも……待てよ?

 今、俺はとんでもない金持ってるよな?

 物凄い美人で爆乳だし、この人を相手にするならそれくらいならアリ……かな?

 と、そんなことを考えながら黙っていると、お姉さんはクスリと笑ってこう言った。

「お高いと思われますか? しかし、これでも私はサキュバスの貴族なのですよ。ここの経営者でもありますし普段は店には立ちません。たまに予約制の出張で色んな種族の高貴な方のお屋敷に招かれたりしますがね」

 なるほど、セレブ専用のプレミアム枠風俗嬢さんということらしい。

「ちなみに他の子の値段は?」

「金貨5枚~10枚というところですね。ウチは高級店ですので」

 しばし、お姉さんの爆乳を眺めながら考えて、俺は素直な気持ちでこう言ったんだ。

「それでは貴女でよろしくお願いします」

 そう告げると店の奥に連れていかれて、プレイルームに案内された。

「照明はどうしましょうか? 明かるいまま? それとも薄暗く? あるいは……暗闇にしましょうか?」

 妖艶な仕草でそう言ってきたので「明るいままで」とオーダーを通す。

 俺は上の服とズボンを脱いで、ボクサーブリーフ状態になった。

 ベッドの上で寝転がって待っていると、続いて服を脱いだサキュバスのお姉さんもベッドに乗っかってきた。

 そうしてブリーフを脱がされると同時、サキュバスのお姉さんは驚愕の表情を作る。

「こ、これは……マーラ様?」

 マーラ様?

 股間をマジマジと眺め、お姉さんは口をあんぐりと開いてそう言ったんだ。

 サキュバスのお姉さんは信じられないとばかりに大きく目を見開いた。

「サキュバスは精気に敏感なのです。この有り得ないほどの精気……恐らくはサキュバスの性の伝承に存在するマーラ様以外にありえません……っ!」

 そのままサキュバスのお姉さんはゴクリと息を呑んで言葉を続けた。

「しかし、見たところマーラ様は未覚醒のようです。なので、覚醒させてもらっても構いませんか?」

 すげえ……。

 このお姉さんが何言ってるか、俺にはサッパリ分かんねえ。

「覚醒ですか?」

「はい。お客様のコレはサキュバス族の伝説にあるマーラ様の可能性があるのです。私も初めてのことなので断定はできませんが。時にお客様? 今まで女を抱いた時……おかしい現象が起きませんでしたか?」

「俺は結婚しているんですが、嫁は異常に性的に喜んでいたような気はします」

 エリスもアカネも初体験なのにアンアン言ってたしな。

 普通は痛くてそれどころじゃないだろうに不思議に思っていたんだ。

「それじゃあ間違いありませんね、これはマーラ様です。と、なると、やはりここは私がお客様の股間に魔力を流して、性魔術を施し是非とも覚醒のお手伝いをさせていただけませんか?」

 すげえ。

 このお姉さんが何を言ってるか、やっぱりサッパリ分かんねえ。

 股間に魔術とか、股間の覚醒とか……。

 いくら考えてもサッパリ分かんねえよ、こんなもん。

「で、俺のアレが伝説のマーラ様だったとして、覚醒した時のメリットは何かあるんですか?」

「お客様は更に女性を気持ち良くすることができるようになります」

「じゃあ、逆に俺に何かデメリットはあるんですか?」

「性行為が格段に上手になるのでメリットしかないかと思われますね」

「分かりました。それで、覚醒したとしてお姉さんにメリットは? どうしてそんなに覚醒をさせたがるんです?」

「サキュバスは性の営みを通して精気を吸収するのです、それは食事と同等に考えて差し支えありません。そしてマーラ様の覚醒時には特別にして膨大な精気が溢れます。それを吸収することはサキュバスとしての至上なる美味かと」

 うーん。

 しかし、股間に魔力を流すんだろ?

 もしもお姉さんが嘘をついていて、俺に危害を加えようとしていたら……?


 ――スキル:老師が発動しました

 ――太公望のスキル:仙界の駆け引きが発動しました

 ――この娘……どうやらウソはついておりません


 便利だな老師! 

 最初の頃は役立たずとか言って本当にごめんな!

 ともかく、これは全方位がウインウインの関係になる提案ってことだよな。

 だったら俺に断る理由は何もない。

「それじゃあ覚醒をお願いします」




 そして――。

 サキュバスとの一戦を終えたわけだが、覚醒したマーラ様はとんでもない実力を発揮してくれた。

 このお姉さんは百戦錬磨を思わせるとんでもないテクニックの持ち主だったんだ。

 本番前の準備運動で既に俺は腰砕け状態にされたんだが、いざ始まってみると攻守が完全に逆転した。

 で、現在の状況――

「こんなの……はじめて……です……」 

 お姉さんはさっきから俺の横で寝そべって、甘く荒い吐息と共に肩で息をしている。

 しかもずっとピクピク痙攣し続けていて、かれこれ10分以上も言葉も出ない感じだ。

 ちなみに最初は白目を剥いてのビクンビクンとした痙攣だったので、まあ……これでも状態は落ち着きを取り戻しつつあるとはいえる。

 で、ようやく身を起こすことができるようになったお姉さんに、俺は紅茶を淹れたカップを差し出した。

「ふふ、これではどちらがお客様か分からない状況ですね。申し訳ありません」

「見たところ店長さんは足腰が立たないって感じですね」

「……なにせ凄すぎましたので。本当にあんなのははじめての経験で……流石はマーラ様です」

 そうして紅茶を飲み終えたお姉さんは「ほっ」と一息をついて、俺にペコリと頭を下げた。

「申し訳ありませんがお客様、まだお元気ですか?」

「ええ、覚醒の影響かまだまだできると思いますよ」

「これは頼もしい。ならば研修をお願いしたいのです」

「研修?」

「この風俗街は今は閑古鳥状態でして……。オーガキングの発生のせいで、メインの顧客の冒険者たちにお金がないのですよ」

「ふむふむ」

「暇を弄ばしている待機中のサキュバスたちを全員呼びますので、マーラ様のお力で研修を願いたいのです。もちろん、お代金はこちらが支払います」

「どうして俺と寝ることが研修になるんですか?」

「上質の新しき精を味わうことで、サキュバスのエッチ ちからが上がるのです。お客様のマーラ様の非常識にして膨大なお力であれば、我が店の所属サキュバスの性魔法関連の熟練度が大幅に上がるでしょう」

 エッチ ちから……。

 何という馬鹿っぽいフォースの名前なんだ。



 と、まあそんなこんなで。

 俺は店にいた8人の待機中のサキュバスの全員を相手をすることになった。

 展開としては先ほどのリピートだ。

 つまりは最初は責め立てられていたのに、いつの間にか女の子全員がその場で腰砕けで痙攣していたってことだな。

「ね、言ってたとおりに凄いでしょう?」

 店主のお姉さんは、そこかしこに転がって白目を剥いてビクンビクンしてる裸体のサキュバスを見てクスクスと笑っていた。

 しかし、俺としてはこの光景は笑えない。

 なんせ集団乱交ドラッグパーティーで、全員が飛んでしまって収拾がつかなくなったかのようなカオスな光景だからな。


 ――これがマーラ様のお力か


 と、俺としてはマーラ様の力に身震いせざるを得なかったわけだ。

 あ、そうそう。

 ちなみに研修のお礼ということで金貨80枚を貰って店主には最初に30枚の代金を払ったので、この娼館では差し引き50枚の利益が出ました。

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