第18話 ギルドでの買取りです。お金持ちになったので異世界の風俗街に繰り出します。後編



 ってことで、風俗街に到着した。

 ちなみに、エリスとアカネ的には浮気は良くないけど風俗はオッケーと以前に聞いている。

 それと、商売の女の人じゃなくても、ゆきずりの女を一晩抱くくらいなら何の問題もないらしい。

『英雄、色を好むと言いますからね旦那様』

『そうですよサトル殿。女にモテるということは我らが旦那様に魅力があるということですし』

 こんな感じの考え方らしいんだよな。

 ただし、何度も何度も会って情を深めるってのは浮気認定されるのでダメらしい。

 だから、その場合はちゃんと結婚して嫁の一人として新規に扱って欲しいってことなんだけど……ぶっちゃけ、俺にはあいつらが何言ってるのかサッパリ分からん。

 まあ、そこはエロゲクオリティってことで男に滅茶苦茶に都合が良いということだ。

「先ほどもお伝えした通り、我々はこの街の風俗には詳しいです。時にサトル殿はどのような種族や年齢がお好みで?」

 ここは種族のるつぼみたいなところらしいからな。

 兎耳や犬耳や猫耳なんかのモフモフ系。

 鳥人……ハーピーとかもいるらしいんだが、これもモフモフ系に属するのかな?

 他には、人魚やメデューサや龍人とかだな。

 この辺りはまだほとんど人間というか亜人だが、一つ目娘やスライム娘、他にも触手娘とかいう良く分からん種族もいるという。

 触手娘には少し惹かれるモノがあるが、ショタが襲われる系のエロ同人みたいに俺がなっても誰得なので、ここはまずはスタンダードに亜人系でいきたいところかな。

「やっぱり若い子で、見た目が可愛い人間に近い種族が良いです」

「若い子……ですか?」

 そんなことを話しながら曲がり角を抜けると、いよいよ……遂に俺たちは娼館が立ち並ぶ通りに入った。

 昔の吉原とかをイメージすれば良い感じかな?

 店の入口が全てとっぱらわれていて、中の様子が直で見える感じになっているんだ。

 で、入り口すぐのところが一段高くなっていて、そこに女の子が数人座って並んで、こっちを向いて微笑んでいるわけだ。

「さすがに綺麗な娘ばかりですね」

「ええ、この街の娼館は綺麗どころが多いと評判ですから」

 自慢気にそう語る従者のサイゾーさんに苦笑いしながら、俺は店の中で並んでいる女の子たちを物珍し気に眺めて歩いていく。

「お……エルフか?」

 と、そこで俺は立ち止まって、注意深く店の中の女の子たちを観察する。

 全員が見た目10代後半~20代前半くらいかな。

 長い耳で、淡い翠色や金の髪の色……っていうか、めっちゃ可愛い。いや――


 ――引くほど可愛い


 ファンタジー万歳! エルフ万歳! と、思わず叫びたくなるような光景だ。

 いや、エリスもアカネも可愛いけどね。

 と、そこで俺はエルフの店の看板になんて書いてるか気になったんだので、サイゾーさんに尋ねてみた。

「あれって何て書いてるんですか?」

「『エルフの館 ~熟女専門~ 』と書いてありますよ」

 ん? 熟女?

 クエスチョンマークが浮かんだので、サイゾーさんに再度尋ねた。

「熟女専門店って意味が分からないんですけど?」

「ん? 見たところ、みんな300歳は超えてますよ? どう見ても熟女でしょうに」

 いやいや、下手したら10台半ばで通じそうなエルフもいるんだが?

 ちょっと何言ってるか分からんとばかりに俺は更に尋ねる。

「でも見た目20歳くらいですよ? それで熟女なんですか?」

「はい、熟女です」

「……本当に熟女なんですか?」

「本当に熟女です。オバチャンです。下手したらお婆ちゃんです」

「でも、可愛いですよね?」

「エルフの年は分かりませんからねー。見た目が子供でも100歳とかの場合もありますし」

 いや言ってることは分かる。

 でも、見た目10台半ばから20歳よ? 

「うーん。ちょっと納得いかないというか何と言うか」

「確かに純人間族は見た目だけで決めちゃいますからね。鬼とか悪魔の血が入っている種族は重ねた年輪のマナで物事を見たりするので……」

「なるほどー。私たち人間と亜人では、根本的な問題で色々と文化的な見解の違いがあるということなのですね」

「まあこの辺りは昔からの種族的テーマでもありますしね。しかしサトル殿は本当にエルフがお好みなのですか?」

「はい。そうですね……」

 いや、彼らは苦手としているみたいだけど、どうみてもドチャクソ可愛い20歳のくらいにしか見えないんだもん。

「どうせ行くならみんな同じ娼館が良いですが、我々も安くない金額を払う身ですから。なにか双方の見解が一致する良い案がないか考えてみましょうか」

 たんまり金持ってる俺にオゴらせるつもりかと思ってたんだけど、自分で払うつもりなんだ?

 これまでの道中率先して雑用とかやってくれたし、こっちとしてはオゴってもいいと思ってたんだけどさ。

 嫁の部下ってことで、立場的には俺の方が上ってのもあるし。

 と、そこで考え込んでいたサイゾーさんがポンと掌を叩いた。

「それなら、今日はサキュバスでいきますか?」

「サキュバスですか? サキュバスって言ったら魔物じゃないんですか?」

「魔物の血が濃い種族ですが、亜人の一種です。見た目はみんな若くて美しいですし、私の知っている店だと実年齢も若い子ばっかりですよ」

「じゃあ決まりですね!」

 俺の言葉に頷いたサイゾーさんはニコリと笑う。

「オマケにテクニックは折り紙付き。みんなが大好き性の伝道者――サキュバスですっ!」


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