10話 魔物へリベンジマッチ

『異世界へようこそ』もついに、十話になった。

 ありがとうございます‼

 が、正直、更新頻度が落ちていることからも分かるように昨今のコロナウィルス(および、その変異株)による飲食店の営業自粛などで中々、取材(でいいのか?)ができないのが実情である。

 閉店した店も見てきた。

 が、営業を細々としながらも続いている店もある。


 異世界への扉は、まだ開いている。


 というわけで、今回は第三話『魔物を見た』で登場したお蕎麦屋さんに行ってみた。

 三話では母と一緒に行ったが、今回は一人で行ってみた。


 そもそもの始まりは私の車が古くなり新しく刈った中古車に乗るところから始まる。

 この車、ボタン一つで動く特別仕様車である。

「まだ、千キロぐらいしか走ってない、ほぼ未使用車ですよ。掘り出し物です」

 とは担当の人。

 話を聞くと元々は試乗車だったらしい。

 カーナビなども最新鋭である。

 お店の人と一緒にお店の周りで慣らし運転をして、彼らに礼を言って店を出た。

 まずは、この車にガソリンを入れないといけない。

 と、母と言った蕎麦屋が目に入った。

――やっている

 その時、あの時の、真冬でざる蕎麦を食べた寒さと敗北感(って何?)がよみがえった。

――よし、リベンジマッチだ

 

 車を止めて店に入る。

 まだ、客は誰もいない。

「いらっしゃいませ」

 母と笑い合っていた女性店員が因縁(ってどうよ?)の席に座らせてくれた。

「カレー南蛮そばをください」

「はい」

 注文を終え、私は店内を見た。

 静かだ。

 そして、寒くも暑くもないほど良い気温。

 少しすると、徐々に客が増え始めた。

 よく見ると年配者が多い。

 夫婦や女性グループが案内されて席に座る。

「えー、○○君ってジャニーズの××に似てないぃ?」

 このコロナの中、オバサンたちは実に元気に話している。

「カレー南蛮そば、お待ちどう様でした」

 そこに蕎麦がやって来た。

 啜ってみる。

 美味しい。

 とろみもあるし、玉ねぎと豚肉だけだけど出汁も効いていて美味しい。

 カレーも程よく辛くていい。

 家で作るカレーうどんとは違う美味しさだ。

(そもそも、蕎麦と饂飩は違うけど)

 ほんのり火照る。

『ああ、あの寒い日のこれを食べておけば……』

 後悔をする。

 しかし、これでリベンジマッチには勝利した。


 天界にいる池波先生は思っただろう。

「誰の何のためのリベンジマッチなんだろう?」

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