第4話  



 僕は社長室に入り、今日の面接の人たちの履歴書をペラペラと見ている。


「カン・チョウ……24 ソウル大学卒業」


 でも、顔がダメだ、男っぽくなくて、凛々しくない顔立ち。

 僕の会社では周りの会社ではできないような採用の仕方をしている。顔は普通より良くなくてはいけない。当たり前だが、頭が悪い者は不合格。また、僕の会社はファッションデザインを中心にしている。そのため、デザイン性も兼ね備えてなければいけない。


「チャン・ヨル、ソ・ウソク」 

 ふーん、と僕は鼻を鳴らす。だが、次のページに載っていた人を見たとたん、さっきまで乱雑に動いていた手が一瞬にして止まった。


「ビン……シス………」








「次の方たちは、どうぞお入りください」


その言葉に連れられて、続々面接者たちが入ってくる。


「お座りください」と僕の隣に座っている秘書が言った。


「ではまず、名前を述べ、なぜこの会社に入社したいと思ったかを述べてください」


一番右に座っていた男性が勢いよく立ち上がる。


「はい! わたくしはカン・チョウと申します。こちらに入社したいと思った理由は、ある日に見たテレビでこちらの会社が作った服を紹介していてですね、とても感銘を受けました。そして、ぜひともこちらで働きたいと思いまして、今ここに立っております」


「では、次の方」


「はい。私はチャン・ヨルです。私は………………からです」



「では、次の方」


「はい・・・僕は、ソ・ウソクと申します。………………」



「次の方」


「はい……」

 その声に僕の体が反応した。



「私は、ビン・シスです。……私がこの会社に入りたいと思った理由は、憧れたからです………………」


採用──。良くわからないが、その声を聞いた途端、頭の中でその文字が浮かんだ。どういう顔なのか、一度確認しておかないと、と思い顔を見ようとよく目を凝らして細める。


え……。


 驚きと動揺を抑えるのに必死だった。その場から去ろうと思ったが出来なかった。目の奥がじんわり熱くなり、涙がこぼれる。泣いている理由は分かっている。でも、どうしても彼女から目が離せなかった。懐かしい、この優しい雰囲気が身体中に広がった……。



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