第2話





 2020年、現在。


 僕は一人、街をブラブラと歩いている。

 黒色のコート、黒い革靴、黒い服、黒い髪、黒い瞳。180㎝を越す身長。体重は死んでいるのでない。歳は今年で760歳。僕は、見た目はまだ20代って感じがするが、歳は誰よりも上だと思う。いや、事実 うえだ。


 僕の名前は、チェギョンだ。貴族の時もチェギョン。今と変わらない。


「チェギョンって、あの貴族の名前と同じですね」


 一番良く言われることだ。本当はどちらも同一人物なのに……。そんなこと言ったら、この世界では笑われることを知った。皆、僕を馬鹿にして笑うんだ。


 もう誰も信じられない。

 誰も信じない。


 僕は人間の、人をあざ笑う時の顔が世界で一番嫌いだ。あの目、あの口。僕がこんなにも冷酷な人間になったのは、ずっと昔の事。前はもっと心があった。感情があった。でも、いつしかなくした。こういう世の中を知ってからだ。


 今は、兄を探す一心で日々生活している。兄を見つけた時は、この手で、めった刺しに殺してやる。そいつがもし、前世の記憶がなくとも。兄の生まれ代わりなら、魂が残っているから、兄に変わりはないだろう。



 そう、決めているんだ。 

 誰にも止められない。絶対に。


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