君は僕のそばにいてはいけない
逆めがね
一章
出会い
第1話 不滅の死神
時は1000年程前、僕は、都では知らない者はいないほど有名な貴族だった。民をまとめ、政治をし、交友関係も広い。都を歩けば、すれ違う人すべてが僕の名前を呼んだ。歳は若かったが、優秀だった。自分で言うのもなんだが。
だが僕は、すぐに死んでしまった。
死ぬことを知っていた。
原因は、呪いだった。
当時、都中では呪いが流行っていた。
他国から帰って来た人が、その他国で流行っていたものを商売として始めたらしかった。呪いというものは今まで無かったため、皆がやり始め、誰かを呪い、それはすぐに広まっていった。
僕をそれで殺したのが、僕の腹違いの兄だった。
兄は、気性の粗い人だった。僕より位が低かったため、いつでも僕の位を奪う事に必死だった。兄はそんな呪いの事を知って、高笑っただろう。これを使えば、僕を殺せると。だから、あいつはすぐに僕への呪いを始めたんだ。コツコツと僕を殺すための計画を立てていたあいつに、僕は気付けなかった。
そして、兄が呪いをはじめて一か月後、僕は死んだ。見事に兄の計画に引っかかったのだ。
薔薇という花に殺したい人の血を根に吸わせ、あとは徐々に薔薇の花びらを取っていく。花びらが無くなっていくにつれて呪われた人は体調を崩していき、花びらが零になった時に、その人の息の根が止まるという。
僕が死んだあと、兄はお目当ての僕の位を手に入れた。
そこから世の中がどうなったかは知る由もない。
時は経ち、今、2020年。
僕はもう、800年も生きている。
目当ては、僕を殺した兄だ。
神様は優しいことに、前世の記憶を残してくれた。
でも僕をまた人間にはしてくれなかった。
神は僕を、不滅の死神にしてくれたのだ。
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