第7話 俺は誰も裏切らない             は

今までなら俺の派閥で王都の治安は抑えられた。やっぱり?優秀な上司には優秀な部下が集まるっていうか??まあ、部下が優秀なんですねハイ。



「ところが王都の治安は荒れそうなんだよね。。」




「ええ。。。。。。」



俺のため息交じりの言葉に失望丸出しで溜息を返してくるフォー。やっぱりこの子俺を兄と思ってないよね?



「兄上それはダサいですよ。」




「フォーは兄に対して辛辣すぎると思うよ。」




「だって兄上には影やらなんやらいるじゃないですか。国家権力持っておきながら出来ないはちょっと。。。」



それはそうだね。


チートアイテム持ってるのに勝てないのは確かにダサい。


あ、影って言うのは暗部のことね。俺はその国営の暗部と仲良しさんなんだ。彼等がいれば治安維持なんて楽勝楽勝、てはずだったんだけど。。。



「そうなのだけれどねぇ、影でも意見が分かれてるんだよ。」



俺の言葉に意外そうな顔をするフォー。何故って言う顔をしている。


「影が、ですか?」



「そうそう。ファイーブのカリスマにあてられて、自分が仕える主人はファイーブ様だーって。覇王の影に俺等はなるんだーて。」




俺が今の影の現状を襲えてあげると驚愕の表情を浮かべるフォー。


うんうん、俺もビビったよ。急にそんな反乱起こす奴がいるんだもん。しかも影から。イレギュラーにもほどがある。




影ってのは元々王家に仕えている。王じゃなくて王家、ていうのがポイントで王国のためにしか働かないプライド高き民なんだ。一回それで煽ったらボコボコに殴られたし、刺された。今でも腹にその傷がある。アイツは絶対に許さん。顔は覚えている。




そんぐらい王国に忠誠誓ってるやべー奴らの一部が王子個人に肩入れしたんだ。影特有の独立性が失われてるんだよな。




あんなキメ顔で「我々は影だ。個人ではなく国に使える闇だ。」とか言ってきたのに個人に仕えちゃっているんだよ。


ふざけるなよそれなら俺刺され損じゃん。そう思って昨日そいつをいじり倒してきたんだ。目の前でタップダンス踊ってやった。めっちゃスッキリした。


愉悦に浸っている俺とは対照的に、般若のような表情をするフォー。怖い。世間では妹が何考えているか兄には丸わかりなんて言うけど、さっぱり分からん。


「今すぐ捨てましょう。」


「はい?」


やっぱり分からん。


「王家のための影。人の心から独立しているがゆえの影。それが王を選ぶなんて烏滸がましい、そのような影は今すぐ処分してしまうべきです。」



フォー!?


何か怖い事言ったね君!?俺にそんなことできないよ!?殺されちゃうもん。戦闘力ゴミの俺じゃ影を殺すなんてできるわけないじゃんか!



「フォー、俺は不殺論者なんだよ。そんなことできないさ。」



でも殺されるの怖いからしないとか言わない。妹にそれぐらいは威厳を保ちたいのさ。そうしないと本格的に汚物を見るような目で見られる気がする。




「そう甘いこと言ってファイーブを赤ん坊の頃に対処しなかったから今の事態を招いているのですよ?」




「赤ん坊を殺しとくべきだったって?」




「ええ。こうなるぐらいなら。」



フォーが言っているのはファイーブが産まれた直後の事。明らかに波乱を呼びそうなファイーブを殺すかどうかで一時期王国暗部が揺れたんだ。


そんな彼等を説得して、ファイーブが生きていけるように懇願したのが、そう、この俺スリー第三王子。


・・・本当だよ?


そしてフォーはあの時殺しとけばよかったのにって言っているんだ。悪魔か何かかな?赤ん坊を殺すなんて人の所業じゃねえや。



「6歳の子供に赤ん坊を殺すなんてそんな残虐な判断できないよ。。。。。ほら、俺人情派だからさ。」



「ポーカーで殺すか決めた癖に何言ってんだか。」



…何でそれ知ってるの。


実はさ、俺は『ポーカーで俺が勝ったら殺すの無しにしない?』『いいよ!!』みたいな感じで影長を説得したんだ。それは影長にはウケたらしく、彼等は承諾。頑張って勝って助けたのさ。


何かそれは宜しくなかったらしく、散々父王に怒られたけどな。


命で遊ぶなって。


俺としては真剣だったのにさ。


これは誰にも教えてない筈なんだが何でフォーが知っているんだ。さては影長か?あいつら俺に負けた腹いせにバラしたな。


ただ誤解があるようだから言っておこう。


「俺がカードで勝ったからファイーブは殺されてないんだよ。つまり俺のお陰でファイーブは生きているんだ。だから俺は優しい人だよ。うん俺は優しい兄ちゃんだ。」




「影長なんかと他人の命をチップにカードする人がですか?」




「いや俺の命もチップにあったよ?俺とファイーブと後何人かの命をチップにしたさ。真剣勝負ってやつだね。」



誰だっけ?テキトーに父上とか姉上とか兄上とかそこら辺の命をチップに賭けたはず。楽しかったなぁあれ。またやりたい。


そんな俺の言葉に、フォーは肩をすくめて俺を見る。なにさ。


「そんな兄上の下で生きてきて私は良くまともでいるものだと自分に感心してますわ。」




・・・・最近妹弟の俺への態度が酷いや。


フォーもファイーブもどうしちゃったの。反抗期か?


昔はあんなにお兄ちゃんお兄ちゃん言ってくれたのになぁ。大きくなったらお兄ちゃんと結婚するってフォーは言ってたし、ファイーブはお兄ちゃんみたいな立派な大人になるって言ってくれたのに。


しかも弟は俺のこと仇を見るような目で見てくるからな。なんかしたかな?心当たりといえばアイツのおきにの巫女様の実家借金漬けにしたのバレたぐらいだよなぁ。




何か嫌われる要素あったか?




「それでその影はどうしてるのです?まさかそのまま放置ですか?」




俺がそんな風に考えているとフォーから呆れたように質問された。兄的にはもうちょい尊敬された顔で質問して欲しい。



「大きな声で反乱を企てた影は長に折檻されてるよ。鍛え直しだってさ。」


影流の折檻とか想像しただけでも寒気がする。それが分かっていてあいつらも反乱なんてよく企てたものだ。勇者かよ。


けれどフォーは別のことに気付いたらしい。流石フォー。


「その言い方だと何か裏があるのですか?」



「ああ、実はそいつらを唆した阿呆影がいるんだ。そいつは長たちも放置。」



「え、放置ですか!?」



黒幕放置にフォーは驚きのあまり声を荒げる。そういうとこだけ年相応だ。今日はそんな妹の顔を見れただけで十分だよね。



「うん。今そこで俺の監視兼護衛兼側近を兼ねてる影、シャドーウ君はお咎めなし。そのまま放置してるよ。」




な、シャドーウ君?

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