継ぎ目の目は瞳

ひじと肘掛け椅子いすがごっつんこ

ひしがれた心のまま、

肘掛け椅子に肘打ちをするなんて、

こんなに悲しいことがほかにある?


肘をのせてほしいのに

傷付けたくなんてないのに

ただ寄りっているだけで幸せなのに


どうして人は傷付けあうの?

肘の骨がくだけて、痛くないでいられるの?

さけびは苦しみなんだよ

のどの痛いのはみ込めないよ


幸せをものさしではかるうち、

数がわからなくなって、

いつの間にか、

ものさしで人をたたくようになっていた


肘は固いね

肘はほとんど骨だよ

痛い痛いよ助けてよ


椅子はいつかかならずこわれるけど、

壊した椅子は、もう永遠に壊れないね

でもそれは、永遠に壊した椅子なんだよ


曲がらない肘はかたの言いなり

曲げないままの肘はずっと〝く〟の字

人は、固まってもお人形にんぎょうにはなれないね

人でなしならお手の物なのに


お人形は、ずっと夢を見ているよ

いつか人になれたらって

お人形だったなら、

肘掛け椅子にずっと座っていられるね


嫌だよ、痛いままだと、嫌な夢をみるから

うめてほしい、ひび割れをうめてよ、もとどおりにしてよ

ねぇ、無いものねだりがすべて消えたなら、

明日あしたからの明日はどうなるの?

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