まだ子供だから

ふりそそぐ帰り道

夕日は向こうにまっすぐのびて

踏みしめられるアスファルト

ふかふかしてあったかい


お夕飯が私の匂いを抜きとっていく

まだ子供だからもう少し

通りかかるのは

猫の残骸ざんがい親連おやづれの子供たち


ポケットが僕の手を呑み込んで

プラスチックのチョコレートを持たせたよ

それは口の中でとけて

夕日のような味をさせたんだ


あんなにオレンジで

あんなにこぼれそうで

こんなに近くに見えるのに

どうしていつも消えちゃうの


のしかかる寄り道が

迷路めいろみたいに正直で

足から抜ける心臓の音

ぐちゃぐちゃでひんやりしてる


うしろの正面、うしろ真うしろ真っ白け

外灯がいとうしろにひとりたたずむ少年少女

まだ子供だからもう少し

呼びかけるのは

猫の固まり、道連みちづれの胎児たいじたち


首をめる夜の道

心中しんじゅうみたいに寄り添って

意識ほどけて向こう見ず

逃げ水みたいに常温のまま

まだ子供だからもう少し

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