ワンダーランド

雨世界

1 新しいこと。始めよっか。

 ワンダーランド


 登場人物


 新田初美 ワンダーランドを訪れた人 二十二歳


 石橋杏奈 ワンダーランドの案内人 二十二歳

 

 プロローグ


 新しいこと。始めよっか。


 本編


 愛があるならそれでいいよ。


 新田初美がワンダーランドを訪れた日は、朝からずっと雨が降っていた。

 透明な傘をさした初美がワンダーランドの入り口にある大きな門の前までたどり着くと、そこには一人の女性がいた。

 初美と同じ透明な傘をさした、ワンダーランドの制服に身を包んだとても美しい女性。

 その女性の胸のあたりには名札があり、そこには『案内人 石橋杏奈』と言う彼女の名前が書かれていた。

「初めまして。ワンダーランドにようこそ。新田初美様」

 にっこりと笑って杏奈は初美にそういった。

 初美は別に体のどこにも『新田初美』と言う名前の書かれた名札をつけていなかったのだけど、杏奈はすぐに初美を見て新田初美の名前をいった。

 それは事前に初美がワンダーランドに予約を入れていたからなのだけど、今日、初めて出会う、自分のまだ知らない人に自分の名前を呼ばれるという経験は、なんだか少し不思議な感じがした。

「はじめはして。新田初美です。今日は宜しくお願いします」

 透明な傘の下で少しだけ頭を下げて初美はいった。

「こちらこそ、よろしくお願いします。では、新田初美様。今日は雨ですので、まずはどうぞ温かい建物の中にお入りください。そのあとで、これからワンダーランドの中を、案内人である私、石橋杏奈が新田初美様にずっとご一緒してご案内いたします」

 と、杏奈はにっこりと笑って初美に言った。

 初美はそんな杏奈に小さく微笑んで挨拶を返した。

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ワンダーランド 雨世界 @amesekai

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