第26話 最初で最後の晩餐
都に住むゴロツキやチンピラが屯する古びた料亭
「いらっしゃいませ~!何名様でしょう・・・―――ヒィィ~!!」
「1名!空いてる席に座りますね!!」
チェンの姿を見た女性店員が悲鳴を上げる
「・・・ご、ごご、ご注文は、何に致しますか?」
「酒を樽ごと1つ持って来てくれ!それとアヒル肉を100人前!!」
「・・・か、かか、かしこまりました~!早急にお持ちします~!!」
チェンの無茶な注文を受けた女性店員が厨房へと駆けて行く
『・・・貴様、一体どういうつもりだ?』
「・・・何が?」
『しらばっくれるな!いつも着ているボロ雑巾は、どうした?』
「・・・別に!俺にだって着たい服の1つや2つ、あるに決まってるだろ?」
チェンが普段、肌を隠す為に愛用しているフードを着ずに
「お待たせしました!お酒の入った樽と手始めにアヒル肉20人前です!!」
「ありがと!―――もぐもぐ、もぐもぐ・・・!!」
チェンが出された料理を勢い良く食べ始める
『何を企んでいる?その量を人間が食べれる訳なかろうが!!』
「―――もぐもぐ、もぐもぐ・・・!!」
『吐くぞ!マヌケ!!人間の考えは、理解できん!!』
チェンの行動に呆れ返る
「お待たせしました!追加のアヒル肉20前で~す!!」
「―――ゴチャゴチャうるせーな!何、考えてんのか、わからねーのは、
チェンが大声を上げると何か粗相を仕出かしたと勘違いした女性店員が大慌てで席から離れる
「・・・何で一口も口にしない?これ全部、
『・・・あぁ?・・・貴様・・・我を侮辱してるのか?』
「・・・はぁ?・・・何でそうなる!?
「・・・痛ってぇ~な!店まで破壊しやがって・・・!!」
自分を殴った衝撃で店の壁に激突し、勢いそのまま壁を貫通し、店の外まで吹っ飛んでしまう
自分で殴って自分で守っても無意味だろ!?
『下等生物の分際で偉そうに我に指図するな!!』
再びチェンの顔面をブン殴る
・・・・・・
「―――上等だぁぁぁーー!!」
お互いに理性を失い、キレたチェンと
「・・・おっ!何だ何だ!?・・・あの酔っ払い?1人で自分を殴ってやがる!!」
「目を合わせるな!離れろ、離れろ!!・・・アレは、クスリでもやってるんだろ!?」
怖がった通行人達が急ぎ足でこの場から離れ出す
・・・そうだよな!
端から見れば、これは、奇妙な光景だよな!!
1人の人間が喚きながら自分の顔面を殴り続けているのだから・・・!!
『今日は、やけに反抗的だな?いつもなら、直ぐに諦めるのに・・・』
「―――黙れーー!!」
・・・今日だけは!
今日だけは、絶対に譲る訳には、いかない!!
『いつまで抵抗する?貴様は、もう晴れて自由の身になれるのだぞ!!』
「・・・だろうな!そしたら昔のように平穏な生活をおくれるだろうな!!」
『―――なら、何故!!』
「わかんねーのか!?
「―――!!」
チェンが普段、言えずにいた本音を大声で叫ぶ
「だってそうだろ?もう俺と
『・・・・・・』
暴れ回っていた
「お前がいなくなったら俺は、俺じゃなくなるし!
チェンが熱く語り続ける
「・・・もう
『・・・また貴様は、良くわからん事をほざく!だが、まー・・・―――悪い気は、しないな!!』
・・・
良かった・・・!
何か初めて心が通じた気がする!!
「大変だ!大変だ~!!」
「火事だ!火事だ~!!」
「急げ!急げ~!!」
・・・ん?
何だ・・・!?
周りがやけに騒がしいぞ!!
『・・・空を見ろ!』
「―――なっ!?」
見上げると夜中なのに一部、明るくなり、そこから黒煙が立ち昇っている
「・・・あの・・・方角は・・・温泉旅館!?」
・・・マ、マズイ!
あそこには、簡辛達が・・・!!
「
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