4日目

 翌日16時前。

 いつもの空き地前の道路。

 いつもと違うのは朝日の従兄弟の兄ちゃんがいるってとこ。


 大人には見えないのか?



「移動してるとしたらこの空き地はもう越えることになる。ここらへんで待とう!」



 ボク、朝日、従兄弟の兄ちゃん。

 静かな空気が流れる。



 16時15分。

 分厚い雲が空を覆う。


「兄ちゃん、上!上見て!」


「あ、あ、うん」



 朝日の従兄弟の兄ちゃんが空を見上げる。

 その瞬間朝日が声を上げた。



「城だ!!」


 ボクにも見えた。


 だけど、従兄弟の兄ちゃんには見えていないみたいだ。


 次いで魚。

 昨日よりも大量の魚。どんどん増えていっているのはこれで確かだ。


 だけど、従兄弟の兄ちゃんには…見えていない。


 念の為ボクと朝日は城の写真と魚の写真を撮る。

 そして5分程経つと、魚は姿かたちなく消えていた。



「ほ、ほんとに城と魚があったのか?」


「うん、嘘じゃない。信じてよ」



 つまり、この不思議な城と魚は大人には見えない。そして時間が経つと消える。

 一体どうしたらいいんだ!


「ぼ、僕も超常現象とか好きで、そっそういうサークルに入ってるし、ムーも愛読してるけど…子どもにしか見えないなんて説は、聞いたことがない。けっ検証しようにも、僕らに見えなかったら、どうしようもできない…よ」


「ノーベル賞も、大人が決めることだもんな。てことは、オレたちにできることはもうないのか……」


「でもさ朝日、あの城は移動してるんだよな。どこに行くのか知りたくない?」


「確かに気になる」


「大人には見えなくってもボク達で追いかけて正体を突き止めてやろうよ!」


「そ、それは少し危険じゃないか?ししし心配だよ」


「大人はそうやって心配心配って言うけど、見えてないじゃないか!兄ちゃんも母ちゃんも今回のことでは使えないってこと!オレ達に任せて!絶対ノーベル賞で発表してやる!」


「そうだね!じゃあ朝日、明日もこの空き地らへんで集合で」


「おう、晴翔また明日!」


「ばいばーい」



 そういってボク達は解散した。


 試しにスマホの写真を印刷してみたけど、やっぱりボクには写って見えているけどお母さんには見えないみたいだ。


 お母さんに手伝ってもらえないのは不安だ。

 でも朝日は結構しっかりしてるし朝日がいれば大丈夫だろう。

 魚が降ってるくる時間も段々遅くなってきてるから、門限の17時に帰れるかわからない。

 お母さん怒るだろうなぁ。

 でもこれはボク達のノーベル賞のためだ。




 明日もボク達は例の場所に行く。


 明後日も明明後日も。


 移動してるなら移動した先を突き止めてやる。


 雲の隙間からじゃなく、はっきり正体をこの目で見て調べてやるんだ!



 そしてボク達はノーベル賞だ!!






「おはよ、晴翔」


「おはよう!また今日も放課後に、な」


「あぁ、ノーベル賞だ」






 ボクと朝日はニヤリと笑う。


 今日もまた、空を見上げるのが楽しみだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空から魚がふってきた おか @koge-gr

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ