2日目

「お母さん、ちょっと朝日と遊んでくる!」


「こんな時間から?17時までには帰ってくるのよ!」


「わかってるよ!」



 適当に返事をしてボクは家を出た。





 例の場所からボクの家まで歩いて10分。

 16時より前に朝日と例の場所で待ち合わせだ。

 いつもだったらこんな時間に遊びに出かけることはないからお母さんが心配そうだ。

 でも、ノーベル賞の発見をしたらお母さんも信じてくれるだろう!空から魚が降ってきたことを!






 例の場所に行くと、朝日はもう着いていた。

 なんだか難しい顔をしている。


「朝日、早いね。どうかした?」


「なぁ晴翔、おかしいと思わないか?」


 おかしいって、そもそも魚が降ってきたこと自体がおかしいんだが…。


「昨日の魚、どこいったんだろう」


「さぁ、近所の人が片付けたんじゃない?」


「ならいいんだけど…。…もうすぐ時間だな」


 朝日は持ってきたスマホで時間を確認する。






 16時ちょうど。

 ボク達は息を潜めた。



















 あれ?何も起きない。おかしいな。


「朝日…」



 その瞬間。








 ぼどぼどぼどぼどぼどぼどぼどぼとぼどぼど!!!!!!!






 昨日よりも、一昨日よりも多い!

 少しずつ増えていっているのか?



 ボクは興奮して朝日を見る。

 しかし朝日は黙って魚を見つめている。



「なぁ晴翔、量が増えてるよな」


「うん、増えてる」


「そして落ちてる場所も少し移動していないか?」


 言われてみるとそうだ。

 ボクが初めて見た時は空き地のすぐ手前だった。

 昨日は空き地の真ん中。

 今日は空き地の端っこだ。


「移動している…?」


「そうだよ!落としている【なにか】が移動してるんだ!」


「なにかってなんだよ!朝日はイタズラじゃなくって上から【なにか】が魚を落としてるって思ってるの?」


「晴翔、ラピュタって知ってるか?」


「ラピュタってあのジブリの?見たことはないけど」


「あのジブリのラピュタってモデルがあって、昔空飛ぶ島があったんだって。ほら、ワンピースにも出てきただろ?」


「でも、あれは漫画だろ?」


「オレの従兄弟の兄ちゃん、そういう不思議な話が好きで詳しいんだ。今回のことも兄ちゃんに相談したら、ムーっていう雑誌で読んだことあるって。でもまだ誰も見つけられてないんだって」


「てことは、ボク達が見つけたらほんとにノーベル賞だ!」


「そういうこと!とりあえず、この魚を兄ちゃんのところに持っていこうぜ!」



 そういってボクと朝日は魚を手に取った。両手に1匹ずつ持ったところで…………………

 

消えた。


 

魚が消えた。


「ど、どっどういうことだよ!」


「わかんないよ!朝日見て!」



 今まで道路に大量に落ちていた魚がすーっと消えていった。


「嘘だろ…せっかくの証拠が…」


「写真だ!写真を撮っておくのはどうだろう?」


「そうだな!じゃあ明日は絶対に写真を撮ろう!また明日、同じ時間に集合な!」




 そういってボクと朝日はその日は解散した。

 なんとか17時には家に帰ることができた。

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