空から魚がふってきた

おか

1日目

 空から魚が降ってきた。











「ほんとだって!昨日家に帰る途中でさ、魚が落ちてたんだ。そしたらどんどん落ちてきたんだ!空から!」


「うっそだぁ!いくら晴翔はるとでもそれは信じられねーよ」


「ほんとだって!わかったよ!証拠を見せればいいんだな?」


「証拠があればオレも信じるよ!」


「わかった!じゃあ証拠見せてやるから!」






 



 と、言い切ってしまったものの、証拠なんてどうやって見せたらいいんだ??


 突然だったから写真も撮ってないし、また今日も起きるとは限らないだろ普通。

 

 そもそも、ボクだって昨日のことが本当にあったのか半信半疑だ。

 

だって空から魚が降ってきたんだぜ?!

 

まだまだ生まれて10年ぽっちではあるけど今まで見たことなかったし、お母さんもそんな話してきたことない。

 

でもこのままじゃボクが嘘つき扱いになってしまう!

とりあえず、昨日のところにもう一度同じ時間に行ってみよう!


「ねぇ朝日、昨日ボクが見たところにもう1回行ってみようと思うんだけど朝日も一緒に来てみないか?」


「おう、行ってやるよ!」





 そう言って、ボクたちは放課後一緒に帰ることにした。


 ボクと朝日は通学路が違うので、帰る方向は全然違う。

 それなのに朝日がボクの通学班にいると先生にも怒られてしまうから、ボクたちは図書室で時間をつぶしてみんなと違う時間に帰ることにした。


 静かな通学路、いつもと違うけど昨日と同じく静かだ。





「ここだよ」


 そう言ってボクは車1台通るのもやっとな空き地に挟まれた道路の真ん中で立ち止まった。


「昨日ここで16時頃降ってきたんだ!」


「あと5分くらいか、少し待とう」



 なんだかすごく怖くなってきた。昨日は興奮してお母さんにも朝日にも言って回ったけどよく考えたらおかしくないか?

 空から魚が落ちてくるなんて。

 本当にボクは見たのだろうか…。

 朝日も緊張しているのだろうか。じっと黙って空を見上げている。


「16時になったぞ」


「なったな…。でも、何も……」


 何も起きない、そう言いかけた瞬間、ボク達が立っているところから2mほど離れた所に魚が落ちていた。


「あっ……」


 ぼとぼどぼとぼとぼとぼとと!!!!!!



 その瞬間大量の魚が地面に叩きつけられる大きな音と共に昨日よりも倍以上の魚が降ってきた。

 昨日は2匹程度だったのに増えている。


 ボクは興奮した。


「ほら!嘘じゃない!嘘じゃないだろっ!!見ただろ朝日っ」


「た、確かに落ちてきたけどオレは落ちてくる瞬間を見てない!空からじゃなくてもしかしたら家の2階から投げてるとかあるだろ?」


「家っていったってここは両側空き地だぞ?立ってる家も1階建てだし…」


「た、確かにそうだけど…でも空から落ちてくるなんておかしいじゃないか!」


「だからその原因を探そうよ!」


「そうだな!原因がわかったらオレたちノーベル賞だ!」


「ノーベル賞?!なんかすごいな!」


「よし、じゃあ明日は土曜日だから16時にここで待ち合わせだな!」


「わかった!よろしくな朝日っ」



 そう言ってボク達は解散した。

 特に何も手がかりはないけど、ボクはなんだかワクワクした。

 嘘じゃなかった!


 本当に空から魚が降ってきたんだ!

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