第10話 世界の終焉

GUN=GNILグングニルリリース解放


 男がそう叫ぶと、銃口は大きく開き、橙色だいだいいろの雷光がバチバチと灯る。


エミッション放射!」


 銃口から放たれた赤黒い稲妻が、ユミルめがけて閃光を走らせる。

 ユミルの背中に直撃する。

 そのまま勢いで、鉄柵に叩きつけられた。


 稲妻の雷光はユミルから伝播し、鉄柵を炎で燃えたぎらせるように、紅い火花を散らした。

 まるで魔女が火炙ひあぶりで処刑されるような情景が、眼前をよぎった。


「ユミル!」

 鉄柵にはりつけられたユミルに手を伸ばすが、この手は届かない。



  ―θθθαθθθθγγθθθωζθθθθ――――


 その瞬間、ユミルの口から不思議な奇声が発せられた。

 その声を波動のように振動し、周りの空間を波状にゆがませていった。

 

 波動に触れた赤色の酸性雨は、浄化されるように透明色に変化し、青白い光を放つ。

 

 ユミルの体は白色に輝き出し、手足は大蛇のようにうねりながら、大地に伸びていった。やがて無数の根が生えたかと思うと、路面のコンクリートを破り、大地に根付き始めた。

 根はどこまでも無限に広がっていく、道を這い、街を覆い、暗闇の遥か彼方まで続いた。


 ユミルに目をやると……そこにはいつの間にか、荘厳そうごんな銀色の大樹が、空高くそびえ立っていた。


「くそっ、浸食が始まった、これでこの星はもう終わりだ。また戦争が始まるのか……」


 男が銃を路面に叩きつけると、地を這う根がそれを覆い隠した。

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