最終話 封印

タクヤはパソコンの表示に驚く。


…カウントダウンって、残り3日?


その時パソコンにあの人から


{カウントダウンって出たんですが、なんかわかりますか?}


すぐ返す。


{僕の方も残り3日って。詳細分かり次第すぐ伝えます。}


パソコンを閉じた時。


ダーン!


「お前かー!ナナミャン一派」


また現れた。

よくわからない連中が。


…え!消しゴム???


消しゴム「いくぞー!」

タクヤ「消しゴムかー。」

消しゴム「消しカス爆弾!」

タクヤ「うわっ!」

消しゴム「どーだ!」

タクヤ「くそっ!」

消しゴム「消しゴムアタック!」

タクヤ「痛い!」

タクヤ「これでどーだ!」

消しゴム「わっ!はなせっ!消しすぎだ!」

タクヤ「消してやる!無くなれ!」


いつもながらに緊張感のない戦い。

だが魔王ならこんな簡単にはいかない。

残り3日でどうするか?

そう考えながらうちわで仰ぐ。


チャラチャラ


ナナ「よっ!」

タクヤ「今日は大人しいな。」

ナナ「お告げ長くて。」

タクヤ「お告げ!!」

ナナ「魔封じのビンはフィギュアが入ればなんでもいいらしい。」

タクヤ「そんなんで大丈夫?」

ナナ「大丈夫。このシールをビンの蓋にはっといて封をするんだって。」

タクヤ「わ、割れ物注意って…」

ナナ「なんでも、それが魔封じの呪文らしいよ。」

タクヤ「ネットの人はどうなるんだろう?」

ナナ「お告げがその人の事も言ってたけど、同じシール届けて同時進行でやるみたい。」

タクヤ「やり方は?」

ナナ「私と、ネットの人の二次元アイドルが同じタイミングで出てる時に、魔封じのビンにフィギュアを封印。それだけ。」

タクヤ「いつ?」

ナナ「3日後。魔王の魔力が最強になる日。

最強になるための変身のタイミングじゃないとフィギュアを封印できないみたい。」

ナナ「3日後の11時55分。」

タクヤ「細かいねー。」

ナナ「変身は時間厳守らしい。じゃないと変身できないんだって。」

タクヤ「なんか緊張感でないなー。」

ナナ「少しはリアルに感じてよ。」

タクヤ「はーい!」

ナナ「じゃあ、私も戦いだっ!」

タクヤ「へいへい。」


何気ないこの時間が好きだ。

2人でゲームをして、お菓子を食べて。

そんな普通の時間が。


ナナミャンが戻ってからすぐパソコンを開いて連絡をとる。


{僕の方は魔封じのシールが届きましたがそちらはどうですか?}


{私もシールが届きました。やり方、時間も聞きました。同時進行なので当日は音声で繋いでおきませんか?}


{お互いの状況わかるし、その方がいいかもしれないですね。}


{私不安ですが、仲間がいると少し安心できます。それでは当日5分前には繋いでおきましょう。}


だんだん話がリアルになってきた。

用意するのはビンだが、以前買って使ってない丁度いいサイズのがある。


そしていよいよ…


パラパラパラ


ナナ「イエーイ!」

タクヤ「ディスコか!!」

ナナ「気合いよ!」

タクヤ「大丈夫だよ。多分。」

ナナ「準備は?」

タクヤ「これっ。もうビンの蓋にシールも貼った。」

ナナ「うんうん。大丈夫だね。」

タクヤ「まだ時間あるし、はい。」

ナナ「わっ!プリン!」

ナナ「いつもありがとね!」

ナナ「いただきまーす!」


ナナミャンことナナちゃんのプリンを食べるのも今は見慣れた光景である。

そして大好きな時間。


ナナ「後5分。」


タクヤはパソコンをあの人と繋いで準備する。


タクヤ「あの〜聞こえますか?始める時の号令だけかけますね。」

ナナ「今、はいっ!て言ってたから聞こえてるみたいだね。」


11時55分


タクヤ「始めまーす!」


タクヤはフィギュアをビンに…っと

その時だった。


「させるかー!」


ナナ「魔王ね。多分。」

タクヤ「あれっ、フィギュア、こんなに重かったっけ?」

ナナ「魔王の魔力。あっ!」


フィギュアから黒い煙が!


ナナ「私が防ぐから、早くフィギュアを。」

タクヤ「わかった!そりゃっ!」

ナナ「タクちゃん早く!」

タクヤ「うりゃ〜!」


タクヤはフィギュアをビンに入れた。


ナナ「タクちゃん蓋!」

タクヤ「おう!」


蓋を閉めた。

黒い煙も消えていた。

パソコンから


「キャー」


タクヤ「あっ!大丈夫!?重たいけど頑張って!」


「はい!あっ!ビンに入れました!」


タクヤ「蓋!早く蓋を!」


「あっ!はいっ!」


急に音がしなくなった。


タクヤ「大丈夫?」


「はぁーっ、はっ、はい。なんとか。」


タクヤ「よかった。これで全部終わりですね。」


「はい。寂しいけど。元どおり。」


…元どおり?

っは!!!

ナナミャンもいなくなっていた。


タクヤ「あなたは知ってたの?」

女「彼ともう会えない事?ですか?」

タクヤ「うん。」

女「フィギュアを封印するから多分もう会えないんだって。」

タクヤ「そっか。」

女「私は大丈夫。丁度引越し決まってたから新しい環境でリフレッシュするつもり。」

タクヤ「そうだね。それがいい。」

女「ありがとうございました。」

タクヤ「こちらこそ。」

女「それじゃあ。」

タクヤ「じゃあ。」


あっけない幕切れ。

楽しい日々も終わり。


…ちょっと長い夏休み


そう考えてまた平凡な日々。

仕事が終わってアパートに。


…あれ?隣?引越し?


やはりエアコン付きの隣は決まるのが早い。

そう考え少し涼しくなった部屋に。


ピンポーン


ドアを開ける。


「隣に引越してきました。」


タクヤ「あっ!!!」

女「あっー!!」

タクヤ「すいません。知り合いにそっくりだったんで。」

女「あっ、私もあの、そっくりで。」

タクヤ「それに声も。」

女「私もなんか聞いたことあるかなって。」

タクヤ「タクヤです。よろしくお願いします。」

女「!!!」

タクヤ「えっ?」

女「あ、私、ナナミ、ナナミです。」

タクヤ「えっ!!!」

ナナミ「あっ、なんかへんでした?」

タクヤ「名前も似てたから…」

ナナミ「わ、私もそう思って。」

ナナミ「あっ、ホントに部屋の中一緒の造りなんですね。」

タクヤ「どうぞ、見ていいですよ。」

ナナミ「窓も一緒。…あっ!!!」

タクヤ「どうかしました?」

ナナミ「あ、あのビンって?」

タクヤ「あれは、うーん、思い出の…」

ナナミ「もしかして、魔封じの…」

タクヤ「えっ!ナナミさんってもしかして」

ナナミ「そういえばあの日名前も言ってなかったですよね。お互い。」

タクヤ「なら話は早い。ナナミさん、俺の好きな二次元アイドルそっくりで。」

ナナミ「同じ!タクヤさん私が大好きな二次元の彼にそっくり。名前もタッくん。」

タクヤ「こっちもそう。名前もナナミャン。」

ナナミ「びっくりね。」

タクヤ「うん。」

ナナミ「これから色々とよろしくお願いしますね。」

タクヤ「こちらこそ。」


今日生まれ初めて二次元じゃない出会いが突然やってきたのだ。


ナナミ「ねー、タクヤさん。私がホントは二次元アイドルだったらどうする?」

タクヤ「…えっ、えー!!!」

ナナミ「ふふふっ」



         完









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