第15話 一人土鍋デビュー

「悪玉コレステロール値がギリギリなので動物性脂肪を減らして下さいね」


と先週、定期的な血液検査の結果先生にそう言われた。


夏バテで何もしたくなくておかずはスーパーの惣菜や冷食、デザートは菓子パンで済ませていたツケは分かりやすく血液に出るもんだ。


そういや揚げ物食いすぎたなあ…


そこで私は一念発起し、一人鍋ダイエットを敢行しようとフリマサイトでレシピ本を買い、通販サイトで一人用6号土鍋を注文して今日のお昼すぎに届いた。


早速すぐ作れそうなメニューを選んでスーパーに食材を買いに行き、冷凍水餃子と長ネギと人参を顆粒中華だしスープで蓋をして煮てみた。10分足らずで全ての具材に火を通す土鍋、恐るべし。


夕食にはまだ早いのでおたまにひとすくいの水餃子鍋を試食してみたら、スライスしょうがのパンチが効いてて美味し!


毎日摂るべき野菜にして鍋野菜の人参、ネギ、白菜もしくはキャベツは刻んで一食ぶんずつ冷凍しておけるコツが書いてあって土鍋以上にこのレシピ本は買い!であった。


たんぱく質は豆腐、鶏肉、つみれ、土曜市で値引きで買う牛スライスなど自由自在。


取り敢えず毎日やってみて年末の体重と血液検査の結果が楽しみである。


このカクヨムに投稿してから4年以上になるが、紙の本でデビューとか作家さん達で批評し合う、とか賞を狙ってコツコツ応募とか、ペケ(ツ◯ったー)


ものを書いている人なら普通の向上心が元々病人の私には物凄く負担で他のユーザーさんに強烈に嫉妬してしまう事もあったので精神衛生上良くない。と思い、


私の仕事は心身健康に心豊かに生きること。


と目標をチェンジすることに決めた。


だって、この人文才ある!と思っていたユーザーさんが、私よりもバカなコメディ書いて面白い!と思っていたユーザーさんが、


この板で仕事をするために結局は長文タイトルラノベを書くようになってしまったのを見た絶望は半端ないぜ。


私もすっと読んでもらうためにラノベっぽい文体にしてるから決してラノベを馬鹿にしている訳ではない。


けれど、書き手の自己研鑽や向上心を摘むようなテンプレばかり並ぶシステムがなあー…


ググってるだけでネット漫画のまぐわいシーンの宣伝がパッと出てしまう土壌になってしまっている目の毒な現状がなあー…


やる気も夢も希望も削ぐってもんだ。


向上心の欠片もないテンプレは容易く人のやる気を奪う。


紙媒体もネット媒体も


売り上げも倫理的にも堕ちるとこまで堕ちたんだからそろそろ向上心を持ちませんか。


という投稿を始めてから抱いていたいらちの正体が判り、


なんだ、書きたいこと書くべきこと書けばそれでいいのだ。

スッキリした夏の終わりのひとり鍋奉行のたわごとである。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の鉄のフライパン 白浜 台与 @iyo-sirahama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ