4thステージ『16番:コールサイン・プロローグvs都市伝説・カナ』

控室

 異世界『控室』。


「んん⋯⋯ここのお台所、全体的に高いわね⋯⋯⋯⋯!」


 メルロレロが背伸びしながら戸棚に指を掛けようと頑張っている。指が擦るだけで開けられない。そのもう少しがもどかしい。


「んんwwwこちらでよろしいですかなwww」

「ぁ、ありがとう⋯⋯」


 クサハエルが戸棚から大鍋を取り出す。大人数で手っ取り早い食事として、鍋でも囲むつもりだったのだ。


「べ、別に、私と大して身長変わらないでしょ⋯⋯!」


 発育不良にコンプレックスがあるのか、顔を真っ赤にしてメルロレロががなり立てる。


「んんwww10.26cmは果たして『大して』で済む問題ですかなwww口を慎むべし」


 クサハエルの草が消えた。

 彼も身長にコンプレックスがあるようだ。妙な親近感を抱いて二人で握手を交わす。


「って、そんなことしたいんじゃないわよぅ⋯⋯」


 口をまごつかせながら少女はそっぽを向いた。


「んんwwwツンデレ乙ですぞwww愛くるしいですなwww」

「だろ!? だろ!? そういうとこなんだよなあ!!」


 テンション高めな高月さんが絡んでくる。聞こえないフリが丸わかりの耳真っ赤少女を肩組んで眺めながら、クサハエルはご機嫌で言う。


「んんwww我、どうして美少女にモテモテですかなwww」

「はは! 俺様も美少女だろ!? 美少女って言え!」

「んんwwwハーレム以外有り得ないwwwみんな我の虜ですなwww」


 騒いでいる二人の傍をハートが通り過ぎる。おっさん天使が視界に入るや否や、静かに舌打ち。そして視界に入れないように通り過ぎる。


「んんwww拙者、我はwww我は傷つきwwwんんwww傷つき⋯⋯www」

「いいんだおっさん! お前は今、泣いていい!」


 肩を抱き合っておいおい泣き出す二人に白い目が向けられる。異様なテンションに追いつけないハートが困惑する。


「ねえねえ! ねえねえ! シャネル!」


 例のポーズで割って入るピエロ女に、ハートは問答無用に発砲した。脳天を撃ち抜かれたプロローグが血溜まりに沈む。


「んんwww一大事ですなwww」

「⋯⋯⋯⋯別に、これぐらいじゃ死なないわ」

「んんwwwそうではなくですなwww」


 さっきまでの男泣きが嘘のようだった。ケロッとした表情で天使は告げる。


「んんwwwコールサイン・プロローグとトロイメライ・ハートwww次のゲームの準備を急ぐべきですぞwww」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る