エピローグ

 結局、週末はシフトをいれてしまっていたバイトの時間以外、楓ちゃんと同じピンクのグロスを買いに行ったり、動画配信サービスで映画観たりして二人ですごした。


「ねむっ、月曜日、二人とも2限からでよかったね~」

「昨日も夜更かししちゃったもんね」


 大学に行く準備、一緒にメイク。仕上げは楓ちゃんとお揃いのピンクのグロス。


「茜ちゃ~ん」


 甘い声の先には瞳を閉じた楓ちゃん。

 この誘惑には抵抗できない。

 グロスで彩られた、形のいい唇に自分の唇を合わせる。女同士の柔らかい唇と唇はそれだけでふわふわとした高揚感を私に感じさせる。


「大学、サボる?」

「ダメ~、茜ちゃんらしくな~い」


 あっ、もしかして私、調子のっちゃったかな?


「大学から帰ったらね~?ほら~行くよ~」


 まさに、えへへ、といった笑顔で私の手をひく楓ちゃん。

 嬉しくてにへにへ気持ち悪い笑みがこぼれてしまう。


 きっと、これから先、私も彼女には敵わないんだ。



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鈴川さんのリップスティック 南野月奈 @tukina

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