第6話 終わりのはじまり

 給食事業者が変わっても収まることのなかった不可解な事態は、ある時期を境にピタリと収束した。

 冷めた給食の味は変わらないものの、その中学校からの不可解な苦情もなくなり、帝国フーズの販路は、この耶宮市にも着実に広がりつつあった。


 そんな折り、一つのニュースが耶宮市の産業界を賑わしていた。

 大手食品メーカーの主力工場が市郊外に完成し、間もなく操業を開始するというのだ。

 耶宮市の工場誘致に応じる形で実現した、この最新設備を誇る工場は、同社の主力商品であるマヨネーズやドレッシング、パスタソースなどの市販用調味料の他に、外食産業向けの調味料や加工食品の製造を手がけ、全国に向けて出荷するという。

 そして、法人税収もさることながら、雇用の創出と言った点からも、大きく期待が寄せられていた。


 間もなく、全国津々浦々の食品売り場に、この工場で製造された商品が並ぶことになる。外食産業においても、ここで造られた食材が使用され、多くの人々の胃袋を満たすことになるだろう。そして――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うちの学校の給食はどこかおかしい 乃木重獏久 @nogishige

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ