第37話 慰安旅行だよな?

大広間で食事をするのだが・・・

「・・すいません、仲居さん、なんで座席の2つが舞台の上に設置されているのでしょうか?」

「若様から聞いてますよ、今日婚約のお祝いだとか。料理人一同、若様の御友人の晴れ舞台に関われた事を光栄に思います。」

仲居さんからキラキラした目で見られると何も言えなくなる。


だから俺は・・・

「リョウ!どうなってやがる!」

文句は親友に言うことにする。


「どうって?お前とチカちゃんの晴れ舞台だろ?」

「違う!これは社員旅行!わかる?福利厚生の一環なの。」

「またまた、ブラック企業の極道さんに福利厚生なんてある筈ないだろ?」

「うちは違うと知ってての行動だよな?」

「もちろん!でも、組長さんから許可はもらっているぞ。

ちゃんとケーキも用意したし。」

「ケーキって、なんだよ!」

「一流パティシエがこの日の為に作った代物だよ、味は保証する!」

「味の事はどうでもいい!問題はケーキの意味だよな?」

「ふっ・・・しれた事を。

そもそも、両思いだろ?何を遠慮する?」

「チカはまだ中学生だ。」

「やかましいロリコン。こっちとら宿を用意して最大限の歓迎をしているんだ。文句を言うな!」

「ほほう・・・この悪巫山戯が歓迎だと?」

「もちろん!」

俺は迷わず、一発殴る。


「殴ったな!爺さんにもぶたれた事ないのに!」

「やかましい、お前の爺さんが殴ってないわけ無いだろ!

さあ、席を普通にしろ。」

「やなこった、ちゃんと恩師からの祝電も用意してあるんだ。俺は退けないぞ!」

「なんでそんな無駄な事をしてるの!」

「先生は呆れていたがちゃんと書いてくれたぞ。」

「俺は迷惑をかけるなと言ってる!」

「大丈夫だ、報酬として息子さんの就職を世話したさ。」

「・・・無駄に手回しのいいことで。」

「そんなに、褒めるなよ。」

「褒めてない!」

俺とリョウが言い争っているとチカがやってくる。


「ゆうちゃん、早く席に行こ。」

俺の腕を引っ張り連れて行こうとする。

「チカちゃん、ちょっと待って、こいつには少しわからせないといけない事が・・・」

「あっ、リョウさん、今日はありがとうございます。

こんなにいいお式を用意してくれるなんて。」

「いいってことよ。親友の晴れ舞台だ、何を言われても最高の物を用意するさ。」

「待て、二人共、今日は社員旅行、わかるか?慰安の為の旅行だ。

知ってるよな?」

リョウとチカは首を傾げる。

「まあまあ、ゆうちゃん席につきましょう。」

「そうだぜ、考えすぎるとハゲるぞ。」

「俺が変なのか!」

俺はチカに手をひかれるまま、席につくことになる。

そして何故か席の後ろには金屏風が配置されていたのはもう無視する事にしたのだった・・・

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