第11話 戦闘準備をするが・・・

「倉田さん、申し訳ありません。」

「かまわん、チカちゃんを守って帰ってきただけで充分だ、あとはワシに任せとけ。」

「はい・・・」

「ゆうちゃん、つかれてるでしょ、取りあえず私の部屋で休んで。」

俺はチカに連れられ、部屋に行く。


倉田は組員全員を集めて問う。

「さて、ユウヤがヘマをして本家とやりあう事になった。異議のある奴はいるか?」

すると若頭の前田が、

「倉田!本家とやり合うなんて正気か!ここはユウヤを引き渡して、謝罪するべきだ!今なら金銭で解決できるはず!」

ドゴッ!

倉田のパンチが前田の腹に決まる。

前田はそのまま意識を失った。

「もう一度聞く、本家とやり合う、異議のある奴はいるか?」

「あ、ありません!」

「よし、これより戦闘態勢に入る、道具を準備しておけ!」

倉田の命令の元、組員が動き出す。

倉田にやられた前田は両手両足を縛られ地下室に放り込まれる。

「倉田、何を考えている!今ならユウヤを引き渡せば・・・」

「ユウヤを引き渡す?何を寝惚けた事を言ってる、チカが選んだ漢だぞ、そんなことをするわけないだろ。」

「倉田考え直すんだ、チカちゃんにはもっといい男を本家から貰えばいいじゃないか、なぁこのままだと戦争になるぞ!」

「ふん、腰抜けは言うことが違うな、俺はな若いやつに筋を通せと教えてきた。たとえ誰が相手だろうが俺が筋を曲げるわけにはいかん!」

「本家に歯向かうのは筋違いだろ!」

「俺は盃を平八郎から受けている、本家なんぞ知ったことではない。うちの身内に手を出す以上、敵だ!まあ、本家から来てるお前にはわからんだろう。片がつくまでそこでおとなしくしておくんだな。」

「おい、倉田!まて!」

倉田は地下室の鍵を閉める。

「ここからコイツを出すなよ!」

「はい!絶対にだしません。」

「よし。」


そんな中、平八郎達が帰ってくる。

「倉田、ご苦労。」

「おやっさん、お疲れ様です。既に戦争準備は出来ております。」

「よし、いいか、動く時は俺が指示を出す、それまで警戒態勢を維持するように!」

「「へい!」」

「俺はユウヤに会ってくる。」

「わかりました。」


「おやっさん、ヘタうちました、申し訳ありません。」

「お父さん!ゆうちゃんは悪くない!」

「落ち着け二人とも、どうせ本家は動けん。」

「えっ?」

「うちがどれだけ援助してるか知らんものはいない、それなのに娘が難癖つけて潰しにくるなんてやったらそれこそ最後だ。形だけの謝罪と賠償金を払って終わりだ。」

「それでも形だけでも、謝罪をさせるなんて!」

「息子の為に頭を下げるぐらいなんでもない、それよりよく無事に帰ってきたな。」

「おやっさん!」

「ただユウヤは少し頭を冷やしておけ、そんなんじゃいい手も思いつかないだろ?」

「・・・はい。」

「チカ、ユウヤを支えてやれ。妻になるんだろ?それぐらいは出来ないとな。」

「わかってます。」


「倉田、前田の奴はどこだ?」

「地下室で寝てます。」

「なに?」

「ユウヤを引き渡すとか寝惚けた事を言ってましたので。」

「そうか、ならこの件が終われば本家に返すか。」

「おやっさん、本家から電話が」

「おう、持ってきてくれ。」


「平八郎、いきなり出ていくとはどういう事だ。」

「当たり前だろ、敵地で遊ぶような真似はしねぇよ、それよりやりあう覚悟はできたんだろうな。」

「ま、まて!そんなに急ぐな!ワシとしても短気だったと自覚はしておる。一度話し合いをだな。」

「話し合い?今さら何を?」

「そちらのユウヤを渡してくれるだけでいいんじゃ。」

「まだ、言うか!こっちは渡さないで意見はまとまってる。トコトンやり合おうじゃないか!」

「まて、そちらの若頭は引き渡しに合意したぞ。」

「そっちが送り込んだ奴だろ、既に監禁されたよ。」

「なっ!」

「うちはなそんなにヤスヤスと乗っ取れるような組じゃないんだよ!」

「しかしだ、やり合うとお互い逮捕者がでるだろ、今の御時世それが致命傷になりかねんぞ、それでもいいのか!」

「たしかにな、だがイモ引いて極道がつとまるか!」

「わ、わかった、そちらの要求はなんだ?言うだけ言ってみろ。」

「金は払う準備はある、だがユウヤは絶対に渡さない、そして、そちらの娘からの謝罪を要求する。そして、俺達は今後本家に挨拶に行かない。」

「なっ!娘に謝罪させろと、娘は堅気なんだぞ!」

「都合のいい時だけ堅気にするなよ、組員使って追手を出したんだろ、既に堅気じゃねえよ。やり合うなら第一目標だ!」

「クッ!」

「どうする、こっちはそちらの台所事情もわかってるんだ、実際、戦争する体力がないのはそっちだろ!」

「痛い所をつくな、それで、金はいくらだ?」

「一億用意している。悪くない条件だろ。」

「一億か・・・」

「なんだ、戦争が既望ならそれでもいいが。」

「誰もそんなに事は言ってないだろ!わかったそれで手打ちにしよう。」

「ちゃんと娘に謝罪させろよ。」

「わかってる!しかし、お前の態度は親にする態度じゃないぞ!」

「あいにく俺は自分の子供を守るので精一杯なんでね。」

「あーわかった、それじゃ準備が整ったら連絡するから手打ち式をやるぞ。」

「ああ、代理を出すから。日にちが決まったら連絡してくれ。」

「くっ!わかった、だが代理でもそれなりの人を立ててくれよ。」

「若頭の前田を送るさ、やりたきゃやっていいぞ。」

「そいつは。」

「本家から来ているとはいえ一応ナンバー2だからな、まあ、条件と違う事をしたら戦争だから、気をつけてあつかってくれよ。」

「わかっている!」

そうして、戦争することなく揉め事は終了した。






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