第9話 揉め事発生

「チカちゃん、何かやな予感がするんだが・・・」

「大丈夫だよ、二人なら乗り越えられるよ。」

「乗り越えなければならない難関があるの!」

「まあまあ、」

「ねぇ、ハッキリしとこうよ!」

「そこの男!うるさいぞ!」

「あっ!すいません。」

俺は注意されたので謝りながら後ろを見たが誰もいない。

「ここだ!」

「少し目線を落とすと小さな女の子がいた。」

「あーごめんよ嬢ちゃん。」

「誰が嬢ちゃんだ!」

女の子は俺の足を蹴ってきた。

「いてっ!何するんだよ、こんなことしちゃダメだよ。」

「ゆうちゃん、ダメだから!すいません。姐さん、彼は姐さんの事を知らなくて。」

「なんだチカの連れか?もっと見る目のある奴を選べばいいのに。」

「すいません、でも、見る目があるから彼なんです。」

「ほう、言うようになったな。」

「ええ、彼の事だけは退けませんから。」

チカは女の子と睨みあっていた。


そんな中、俺はマリちゃんに聞いてみる。

「マリちゃんチカと話している子だれ?」

「ユウヤさん知らないんですか?」

「知らない。本家に来たの初めてなんだ。」

「彼女は会長の娘さん名前はモエさん、二十歳のお嬢様なの。」

「あの見た目で!」

「シッ!姐さんは気にしてるの!」

「しかし、知らなかったよ、人類は若返りの秘薬を手にしていたとは・・・」

「それ絶対姐さんに言っちゃダメだからね!」

「なにが、ダメなのかな?」

「姐さん、私は何も。」

「そこの男、何か言いたいことがあるんじゃないか?」

「先程は失礼しました。まさか、美容の技術をここまで極めた方にお会いしたのは初めてなものでして。無作法をお許しください。」

「き、きさまは謝る気があるのか!」

「まったく?」

「なっ!」

「貴女が子供に見えたのは間違いありません。ただ、それは貴女が小さいからだけではなく、見ず知らずの人を蹴る、その行為は大人として正しいのですか?」

「うっ!」

「初見で間違ったのなら仕方ないでしょ、しかし、貴女が大人だと言うなら、そのあと蹴ったことの謝罪を要求します。私は相手が子供だから怒らなかったのですから。」

「キサマは私を誰だと!」

「会長の娘さんですか?」

「なら!」

「だから?貴女は堅気でしょ?それともここでの無礼で俺を始末しますか?」

「キサマは自分の組に迷惑をかけてもいいだな!」

「あっ、俺、盃もらってないので組員じゃないんです。だから、やるなら俺を殺ったらいいだけですよ。」

「ダメ!姐さんゆうちゃんをやるなら私をやってからにして!」

「チカちゃん、ダメだよ。組に迷惑がかかるよ!」

「いいの!私はゆうちゃんと一緒にいる!」

「チカ!私に歯向かってどうなるかわかっているのだろうな!」

「はい、今までお世話になりました。本日は姐さんにゆうちゃんを紹介しようと思いまいりましたが、どうやら失敗してしまいましたね。それでは失礼します。行こゆうちゃん。」

俺とチカは会場を後にする。

そして、シンに電話を・・・繋がらなかったのでメールにした。

『シン、すまん。どうやら会長の娘を怒らせた。チカちゃんと一緒に地元に先に帰ってる。』

「さあ、チカちゃん行こうか。」

俺とチカは追手が来る前にタクシーでホテルに戻り、地元に急いだ。

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