「投げキッスはとどかない」

どれほど焦がれても

戻らない時間

どれほど打ち続けても

返らない心


果ての見えない砂原に

足跡も落とせず

歩き続けている


求めては追い続け

高まるのは愛しさばかり

儚い写真に唇寄せて


空に向かって

投げキッス


一瞬にして消えた

熱の放物線

君の面影さえも

薄れそうな無言の空に

今日も飽くなき

思いを投げる



変わろうと思っても

簡単ではなくて

忘れようとしても

消えてくれない


賑やかな街の通りに

風にもなれず

影を引きずったまま


探しては彷徨い続け

転んでは淋しさ痛く

遠い歌に唇奮わせ


空に向かって

投げキッス


一瞬にして千切れた

吐息の帯

君の囁きさえも

閉じ込めた真白な雲に


やっぱり今日も

願いを投げる











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