第32話 対決、織田次期当主

私達は織田次期当主の店の前に集合した。


細川:「では、第1陣、突入しましてよ!」


芝山:「ずいぶんノリノリだね、細川さん。」


細川:「こういうのは、勢いが大切でしてよ。」


5分後、蒲生さんと古ちゃんが店に突入し、さらに5分後、私と高山さんが店に突入した。


お店の中は、店員が対応に追われていた。


主な原因は3カ所で、1ヶ所は細川さん達と店員、1ヶ所は蒲生さん達と店員、もう1ヶ所は、お店に来たお客さんでごった返していた。


織田:「来たな、利子。俺が相手をしてやる。」


店員:「若、それどころではありません。お客様に対応しなくては。」


織田:「客などほっておけ、俺は今、忙しいんだ。」


店員:「わかりました。では、勝手にさせていただきます。」


織田:「こっちだ。」


私と高山さんは、織田次期当主に付いて応接室に通された。


高山:「今日は、お一人ですか?」


織田:「ああ、相手が何人でも、一人で対処してきたからな。」


私:「では、早速、逸話を話します。」


私は『最後の茶会』の話をした。


私:「そして、おもてなしの空間が広がるのよ。」


織田:「おもてなしの心ではなく、おもてなしの空間だと?」


私:「そう、おもてなしの空間。亭主と客が共に作る空間は、おもてなしの心であふれている。1人1人では難しかったことも、協力することで新たに作り出すことができる。これを茶道では一座建立と言うの。決して難しい事ではないわ、織田さんなら、実現できる。むしろ織田さんにしか実現できない一座建立だってあるはずよ。」


織田:「俺だけの、一座建立。俺は、おもてなしの心の対策しかしてこなかった。ただ奉仕するだけの心に何の意味があるかとね。だが、考え違いしていたようだな。」


私:「じゃあ。」


織田:「利子、おまえの話は分かった、ではそこの女にも聞こう、おもてなしの心を。もしも、俺を納得させるだけの話ができたなら、俺も男だ、この街から撤退してやろう。」


高山:「では、利休が23歳の時に行った『最初の茶会』の話をします。利休は香炉にお香を焚き、客をもてなします。茶碗は珠光茶碗、水指は釣瓶と、当時利休が持っていた道具の中から、特に面白みや新鮮味を感じられるものが使われました。食事や点前は無難にこなします。後ほど北向道陳師匠に、茶器からあまりタプタプと茶を掬いれるのは良くないと指摘されます。ですが、客はたいへん満足し、松屋久政と言う人は、茶会記という形で後世にまでその記録を残します。」


織田:「おもてなしの心で、後世まで記録が残るのか!すごい、それはすごいぞ。」


織田次期当主は、しばらく笑っていたが、急に真顔になり、私に近寄ってきた。


織田:「条件次第では、今後、利休派に味方しても良いぞ。面白そうだ、親父に一泡吹かせたくなってきた。」


私:「条件というのは?」


織田:「利子の力は十分に分かった、そこの女の力もな。だが、他のメンバーの力も知りたい。1人ずつの実力を見て、もし問題がなければ俺が利休派になってやる。俺にも逸話が話せるという確証になるからな。」


私:「高山さん、どうする?」


高山:「私達、利休派が何人いるか知っていますか?」


織田:「今日、突っ込んできた連中だろう?あと4人に話をさせて、問題なければこの店は潰し、お前らの仲間になってやる。だが、お前らが負けた場合、利子、もう織田家では逸話を話せないというのはどうだ?」


私:「そんなのイヤ。でも、私たちが負けたら、直接、あなたのお父さんか、秘書の森さんと話をさせてくれるなら良いよ。」


織田:「面白そうだし、対等な条件でもないがそれで良いだろう。よし、お前らが負けたら、利子が1対1で、森さんと話ができるようにしてやる。そこの女、残りの4人を呼んで来い。」


◆◆◆


現在の高山の特殊能力

 ・説得力・中級

 ・燃え方・上級

 ・作戦参謀・中級

  『波状攻撃』『各個撃破攻撃』

 ・メモの使い手・初級

 ・逸話の伝道師・初級(☆LVUP↑)

  『最初の茶会』

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正義の利休 -織部ズムとの戦い- @shoundo

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