第27話 織田次期当主への対策

織田次期当主と出会った翌日の放課後、私達は学校の屋上で対策会議をしていた。


高山:「警備員の人たちが手出しできないとなると、少々危険ね。次期当主は正々堂々と戦いたがる人みたいだから、警備員の力を借りない可能性は高いけれど、何か対策は必要よね。」


細川:「では、わたくしの力を使う時ですね。私の叔父様である副総帥は警視庁幹部ですもの。もしもの時は、警視庁の職員を使うこともできるはずよ。」


芝山:「ありがとう。やっぱり細川さんは頼れるね。」


高山:「助かるわ、細川さん。」


蒲生:「すごい、細川さん。」


細川:「いくら褒めても、良くってよ。」


瀬田:「そうすると、問題は俺たちだな。利子ちゃん、織田次期当主は、万全の準備をしてくるだろうけど、逸話で言い負かせる自信はあるかい。」


私:「どうなんだろう。だいたい、相手はどんな準備をしているの?」


高山:「宣戦布告して来たからには、おそらく論戦を望んでいるわね。正面から言い負かすのが目的だわ。」


私:「どうすれば良いと思う?」


高山:「利子さんのおばあさんと話したことがあるみたいだから、どんな様子か聞いてみましょう。情報を集めるのも戦いの1つよ。」


私:「わかった、じゃあ早速、おばあちゃんに会いに行こうよ。」


私達は、時間の都合がつかない、蒲生さん、瀬田さん、牧村さんを残し、5人で私の祖母に会いに行った。


祖母:「よく来たわね。何かあったのかい?」


私達は、織部レン・織田次期当主の件、芝山父の筆頭株主の件、細川さんの警視庁の件を話した。


祖母:「そうかい、そうかい、あの坊やは次期当主だったのね。私に勝てなかったから利子ちゃんに目標を変えたのね。」


高山:「何か秘策があるのですか?」


祖母:「そうさね、この前教えた『心の持ちよう』『侘び茶の極意』『台子に頭をぶつける』の逸話は話していないから使えるわね。それと、あなたたち1人に1つずつ、逸話を教えてあげるわ。お互いに助けあうのが仲間というもの、利子ちゃんばかりに任せないで、1つだけで良いから逸話を覚えていって。」


細川:「わかりましたわ。ぜひそうさせていただきます。良いわね芝山君。」


芝山:「細川さんがそういうなら、僕に異存はないよ。」


古田:「がんばります。」


高山:「私も一生懸命覚えます。」


私:「私はみんなが覚えた分は、無理に覚えなくて良いんだね。」


高山:「そうよ。少し、負担が軽くなったでしょ。」


私:「うん。ありがとう、みんな。」


祖母:「じゃあ、まずは細川さんと言ったかい、あなたから話しましょう。」


その後、私以外の4人に逸話を話し終え、私には『心の持ちよう』『侘び茶の極意』『台子に頭をぶつける』の話をもう一度、聞かせてくれた。


祖母:「みんな、頑張るんだよ。それから高山さん、ちょっと良いかい。」


高山:「はい。」


私の祖母と高山さんが、ひそひそ話をはじめた。


細川:「芝山君、あなたは逸話を覚えられたかしら。なかなか難しい話だったわね。」


芝山:「僕は細川さんの分まで覚えたよ。後で、一緒に突き合わせしようか。」


細川:「良くってよ。」


古田:「私、ちゃんと言えるかな?」


私:「大丈夫だよ。私だって覚えられたんだもん、古ちゃんならバッチリだよ。」


古田:「ありがとうございます、利子先輩。先輩にそう言ってもらえるだけで、大丈夫な気がしてきました。」


高山:「おまたせ。」


祖母:「みんな、気を付けてお帰り。」


私:「はーい。じゃあ、みんな帰ろう。」


私達は、それぞれの家路についた。

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