第26話 辻上級警備員
学校帰り、私は警備員に止められ、その場で立ち止まった。
私:「どうしたの、警備員さん?」
警備員:「何者かに囲まれていますね。すぐ、応援を呼びましょう。」
私:「えっ!」
私達の周りには、黒い服を着た10人程の人が立っていた。
その中央からひと際目立つ、背の高い人が私達に向かって歩いてきた。
織田:「俺は織部レンの織田。代々続く織田家の次期当主だ。おまえが利子だな。」
私:「ええ、そうよ。何、やる気!」
織田:「さすがは、あの婆さんの孫だな。威勢が良い。だが今日は挨拶に来ただけだ。おまえの家の近所に織部ズムの支店を出すことになった。もうすぐ開店する。さあ、仲間と共に支店に来るが良い。織部ズムの素晴らしさを叩き込んでやる。」
警備員:「利子ちゃん、挑発に乗ったらダメだ。罠だよ。」
私:「罠?」
織田:「どうした、怖気付いたか。利休の逸話はみんなを救うのだろう。俺一人論破出来ないで、誰を救う気なんだ?」
私:「わかったわ。行ってあげる。いつ開店するの?」
織田:「開店は来週の日曜日だが、それ以降ならいつでも良いぞ。しっかり準備をして心残りの無いよう乗り込んでくるんだな。利休派最後の日になるのだから。」
織田とその仲間は、そのまま帰っていった。
しばらくして、芝山先輩のお父さんと警備員が10人程度やってきた。
私達が事情を説明すると、芝山先輩のお父さんが、困った顔をした。
芝山父:「織田一族が、とうとう動き出したか。織田家当主はここの県庁を
警備員:「私個人の判断で利子ちゃんを守ります。もし何か会社に迷惑がかかりそうになったら、辞表を出しましょう。」
芝山父:「君の名を聞こう。」
辻警備員:「辻と言います。」
私:「そんな!会社を辞めてまで私を守るなんて言わないでください。」
辻警備員:「僕もね、利子ちゃん。千利休に心を打たれたんだよ。君が話す逸話におもてなしの心を感じた。君なら本当に日本を変えられるとね。今や僕の夢なんだ。大人が夢の為に、人生をかけて何が悪いと思う?」
芝山父:「辻警備員、君を上級警備員に任命しよう。必要に応じて、5人まで警備員を自由に動かせる役職だ。君の夢、確かに聞き届けた。だが相手は織部ルケンだ。決して油断するな、そして、辞表を出すような事態にならないことを祈る。」
辻上級警備員:「はい、芝山社長。ありがとうございます。」
私は辻上級警備員に守られながら、家路についた。
◆◆◆
現在の利子の特殊能力
・逸話の伝道師・中級
『丿貫の落とし穴』『三献茶』『落ち葉の風情』
『密庵咸傑墨蹟』『森口の茶人』『一両の茶巾』
『心の持ちよう』『侘び茶の極意』『台子に頭をぶつける』
・茶道は不得手
・みんなのリーダー・中級
・利休派への勧誘力・初級
・駆け足・得意
・長官への信頼・初級
・警備員のマドンナ・中級(☆LVUP↑)
・メモの使い手・初級
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます