TV dinner

記憶の底で冷凍してた

甘い恋心を解凍して

ただ傍に居るだけの友人を

好きな人へと巻き戻す


傍に居続けるために

雑音を全部閉ざした

無意味な意識で二人の持続可能性を

減らしたくなかった

時に仲良さそうな振りをして

彼に近づく誰もが憎くて

私だって好きだったんだと

どうしようもないマウントかましたかった


二人で居続けられるならなんでもよかった

体温を感じること以外に許されることは

なんでも試した

何度も踏み込んだ

それでも言えなかった

想いが沸騰しそうだった


何度か季節が巡っていく中で重ねた

二人の時間はどれ一つとして嘘じゃないけど

指先ひとつぶんの距離だけが

越えられないうちに君は

最愛に出逢ってしまった


もう限りなく食べ頃だった恋を凍らせたから

今更だったのだろうか

邪魔なんてできない恋が

愛に変わる過程を見つめながら

熟れた想いを食べよう


君の人生に寄り添えるならばなんでもよかった

二人の時間は形を変えていくだろう

向かいあわせの距離で

「君は永遠の友だ」と

笑う君を

ずっとずっと

好きだった






※TV dinner→レンジで温めればすぐに食べられる冷凍食品

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