異世界最強の盗賊〜盗むつもりのない聖女の心まで盗んでしまったらしい〜

ベランダ

最強の盗賊

俺はアーク。この界隈では有名な盗賊であると思っている。ごめん…。ちょっと自慢した。



俺は昔親に捨てられてからスラム街をさまよっていた。そのときに俺は今は亡くなったが盗賊の男に弟子として育てられた。


今では世界各地で金銀宝石を盗んでいる。ただ俺としては盗むことのスリルを味わうために盗賊やっているのでお目当ての物以外はもとの所に返すようにしている。



じゃあどうやって生活してるの?そう思ったかもしれない。だが、安心して欲しい。盗賊は裏の仕事。普段の俺は王都の街で料理屋を経営している。評判は結構良い。



というわけでこんな感じで自分語りは終わろうかと思う。


**

(聖女せいじょ視点)

「へへっ。まさか聖女様までゲットできるなんてな。貴族の家に侵入して宝石を盗むだけのつもりだったがとんだ拾い物したぜ!」


「「はっはっはそうだぜ。お頭!」」


うぅ…。なんで私はこんなことに…。


私は公爵家の令嬢。最近聖女に選ばれていそがしかったけど、たまたま今日は自分の家で留守番をしていたところだった。その時に入ってきた男の人達に連れ去られた…。



「へへっ、それにしてもお頭。コイツ奴隷商に売る前に楽しむんでしょう?」


「はっはっは!それはアジトに戻ってからだ。あと最初は俺だからな」


「分かってますよ〜。その代わりに俺もヤらせて下さいよ」


い、嫌だ!私初めては好きな人とって決めてるのに!こんなところでこんな奴らに。

怖いよ…。だれか助けて…。


(アーク視点)

情報屋からもらった情報によるとどうやら俺が狙っていた公爵家の宝石は他のやつらに奪われたらしい。おもしれぇ。俺の獲物を狙うなんてな。



そして今俺はそいつらを追っている。時間は余り経ってないからそう遠くまでは逃げられないはずだ。



そうしていると、前に不自然に道から外れている馬車を見つけた。


あれか。


ならまずは、馬車の中の人を鑑定するか。俺の鑑定眼はすべてのものを見通せる。


中には三人ともう一人いるな。そういえば、聖女が連れ去られたとか言ってたな。確かに回復魔法が異常に優れているな。


よし、じゃあ乗り込むか。人の獲物を横取りするなんて覚悟できてんだろうな。


「スリープ」


よし、三人とも眠ったな。耐性はなかったからな。



馬車に入り狙っていた宝石を見つけたがお目当ての物ではなかったのでどうしようかと考えていると横から声を掛けられた。


「あの、助けてくれてありがとうごさいました!」


「は?いや俺は助けたつもりなんてないのだが?」


「あの、お名前を教えてもらってもいいですか?」


おい、俺の話聞けよ。ていうか名前言ったらまずい。偽名使おう。


「名前か?クーアだ」


我ながらなんと安易な偽名だと思う。アークを逆にしただけ。


「クーア様…。なんて優しい方なのでしょう…」


ん?この雰囲気ヤバくね…。だって聖女様なんか頬を赤くそめてるし…。まさか俺惚れられたか?


まずいな…。俺は目立ちたくないんだ。盗賊やってるし。聖女様なんかに惚れられたら面倒くさ過ぎる。



「あ!そうだ!クーア様、私の名前はユリシアです!」


いや、俺名前は聞いてないけど…。ってそんなこと考えている場合じゃねえ。



いっそのこと逃げるか?いやそうするしかない。思いついたらそく行動!



「あーっと…。俺まだやることあるんだった…。だからもう行くわ」


「あ!じゃあその前にハグさせて下さい!」


「ハグ…?」


「はい!ダメですか…」


くっ!そんな顔をしないで欲しい。まぁハグぐらいで逃げられるなら安いもんか。


「ああ、分かった。ほら」


ギュッ


聖女もといユリシアは俺の胸に顔をうずめている。めちゃくちゃ幸せそうな顔だった。


「ありがとうございます!」


「じゃあな」


そう言って俺はユリシアに背を向けて走り出した。


「ふふっ♪クーア様にハグしたときにマーキングの魔法を使いました♪

私から逃げられると思わないでくださいよ♪」


そんな呟きは俺には聞こえなかった。



それからアークは王女様やギルドのお姉さんなど様々な人の心を盗んでしまいヤンデレられ追われることになるのだがそれはまた別の話。



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異世界最強の盗賊〜盗むつもりのない聖女の心まで盗んでしまったらしい〜 ベランダ @shihihi

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